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キャリアポルノは人生の無駄なのか?自己啓発本と自己実現の関係

公開日: : 最終更新日:2014/01/03 おすすめ本 , ,

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photo credit: RichardStep.com via photopin cc

キャリアポルノ」とは、「キャリアポルノは人生の無駄だ」の著書・谷本真由美さんが創ったコトバです。「キャリアポルノ」は、「フードポルノ」というコトバが語源です。

「フードポルノ」とは、料理の本やレシピを眺めて楽しむだけで、自分で料理して食べずに欲望を満足させること。主に低所得者が多いといいます。なぜなら食材費の高騰や賃金の低下などで外食する機会が減るからです。この現象を「ポルノの鑑賞」に例えたのが「フードポルノ」です。

そのため「キャリアポルノ」とは、自己啓発本を読んで楽しむだけで、自分で行動しないで成功体験を妄想して欲望を満足させることと谷本さんは定義しました。つまり努力せず楽に成功したいと思う人が「キャリアポルノ」になる傾向があるということです。

そして「キャリアポルノ」はある種の中毒・依存性もあるといいます。なぜなら自己啓発本を読んでいる間は一時的に何とかなると根拠のない高揚感を得てしまうものの、何ら問題の解決にはなっていないからです。またあくまでも「本」なので罪悪感なく手軽に購入でき、かつ読んでいるときは「勉強している」と自己肯定させてしまいます。

一方、著者の谷本さんも自称・元「キャリアポルノ」。しかしご親族のことや人として生きる本質を感じ、「キャリアポルノ」から脱却したようです。

ぼくも若干「キャリアポルノ」の気質はあるかもしれません。自己啓発本は否定してませんし、楽しく読めているからです。そこで「キャリアポルノ」にならない自己啓発本の読み方と自己実現について考えてみました。

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・読んだだけでは無駄

これは間違いないです。ぼくも以前は読むだけで満足していました。なぜならなんだか「読んだ感」を得られるからです。

売れ筋の本になればなるほど字が大きく、行間の余白が大きいのも特徴です。これはなぜかというと、字が大きくて余白が大きければ早く読み終わるので「俺はこんなに早く本が読める。よし、この調子で大金持ちになる」というやる気を持ってもらうためです。著者は書くのも楽だし、編集も校正も他の本に比べたら楽なのです。まさに、売る方にも買う方にもWin-Winのソリューション、それが自己啓発書なのです。

ぼくは基本的に本を読むのが遅くて、小説やエッセイは一か月に1冊読めたか読めないかくらいのレベルでした。一方、自己啓発本は言い回しがやさしく、行間が広くて文字数も少ないため、とても読みやすいのです。そして谷本さんが定義する「キャリアポルノ」になりかけました。

しかし100冊程度読んだあたりから、結局どの本も言っていることは同じなのでは?と思い始めました。というのも、自己啓発本の著者はみな自分が読んだ自己啓発本からヒントを得て、見せ方を変えてオリジナル本に仕立て上げているだけだからです。

それが悪いというわけでありません。しかしそう気づけたおかげで、読んだだけでは意味がないことを確信しました。それから気になる部分だけデータ化して保存しておくようになりました。これによりいつでも復習したり何かのヒントにしたりできるようにしたかったのです。

・アウトプットしなければインプット(記憶)すらできない

ところがデータ化しても後々見直すことってめったにありません。お蔵入り状態です。というか、整理しているものの、いつどんなデータを保存したか覚えていないのです。それだと結局読んだだけと変わりません。

それ以降、書評などでアウトプットすることを意識しました。「ブログで成長できる3つの理由」という記事にも書きましたが、自分の考えを発信することが永続的な知的成長になるからです。

またアウトプットするつもりで読むと、自己啓発本の無駄な部分(=自分にとっては余計な部分)をカットしてくれます。以前はインプットを重視していたので、必要・不要の線引きがなかなかできませんでした(どこも重要で為になると勘違いしていました)。だから読んでもすぐ忘れてしまし、身になっていなかったと想います。

自己啓発本は内容が簡単なため、書評の練習にもなります。2~3つほど気になる部分を引用(書き写し)して、その部分に対する自分の考えを発信するスタイルは簡単でオススメです。

・書評から得るものはデカい

そしてがんばってアウトプットした分、自分の血となり肉となります。これも「自己実現」の一つと個人的には考えています。著書の中では、「自己実現」についてマズローの理論を当てはめています。

さて、そのマズローの理論では、人間の欲求を5つの段階に分類しています。

1.生理的欲求
2.安全の欲求
3.所属と愛の欲求
4.承認(尊重)の欲求
5.自己実現の欲求

(中略)

…表現活動や運動、仕事などの自分の好きなこと、自分で表現できることをやることが「自己実現」であり、その「自己実現」とは、「生きがい」のひとつだというわけです。「自己実現」と「生きがい」はほとんど同じものだと考えてもよいでしょう。(p159)

ブログで自己啓発本の書評をアウトプットすることによって得られる具体的な自己実現は3つあります。

1.金銭(広告収入や書籍のアフィリエイト収入など)
2.著書とのつながり
3.ファンの獲得

「1.金銭」は、アウトプットの数が多ければ多いほど増えます。「2.著書とのつながり」が得られるのは、著者にとっては書評は嬉しいものだし、著書の宣伝にもなるからです。実際にぼくは書評をきっかけにして幸運にも素敵な著書の方々と知り合えたこともあります。「3.ファンの獲得」については、自分の思想や意見を書評にのせて発信することで得られると思います。まだ無名のうちに思想だけを発信してもファンには伝わり難いです。そこで著書のチカラをかりることで、自分の思想が伝わりやすくなります。

マズローの理論のうち、「5.自己実現の欲求」は仕事でも趣味でもなんでも得られます。自己成長・収入・人との出会いの3つの「自己実現」ができる可能性を秘めているのは、自己啓発本の書評によるアウトプットだけかもしれません。

≪ピッタリナまとめ≫

書評もいざ書こうとしても、慣れてないとなかなかうまく書けないかもしれません。でもそれが普通です。「キャリアポルノ」から脱して自己啓発本とうまく付き合っていく意味でも、アウトプットは効果があることを実感しています。

キャリアポルノは人生の無駄だ (朝日新書)

2013年9月2日

著書 ゆうすけ

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