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コンサル重視に転換する製造業に期待すること

公開日: : 最終更新日:2016/05/11 ビジネスモデル, 特許

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先日(2016/5/9)、「日立、営業2万人増員 コンサル重視へ転換」という記事が日経新聞に取り上げられていました。

売ったら終わりの製造業だけでは、アジア企業との厳しい価格競争に耐えられないという見通しのみならず、そもそも大企業を支えるほどのイノベーションの創出も苦しい状況になってきたのでしょうか。製造業だけじゃマズい、という意識は共感できます。

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やっぱり製品力と知財力の向上に期待

ただ、製造業のコンサルって、そもそも本業の製品(モノ)ありき。コンサルといいながら、実際は製品の営業。商品のカスタマイズや運用の提案も、コンサルというよりは営業の切り口だし、保守やメンテナンス等のアフターサービスは製品に付随するオプションサービスに過ぎません。

だから、コンサルタント(≒営業マン)の良し悪しで、商品価値が高まるとは言い難いでしょう。仮に製品が売れたとしても、それは営業活動の結果か、製品そのものがよかったか、顧客がその製品の必要性を自覚していたか、のどれかではないでしょうか。

一方、純粋なコンサル会社には、顧客の課題解決や業務改善のメニューやデータがあって、それらを実行するメソッドやフローを体系化したものが商品。っていうか、商品はあってないようなものです。

だから、コンサルタントの良し悪しで、商品価値は変動します。コンサルタントの手腕次第で顧客に与える成果が全然違うということ。顧客も、コンサルの必要性を自覚してはいるけど、その成果については最初から具体的にはイメージしきれていない状態ではないでしょうか。そのため、コンサルタントの責任も重いわけです。

つまり、製造業がコンサルに重視するといっても、純粋なコンサル会社のようなコンサルティングではなく、本質的には営業力の強化が狙いということを見失わないでほしいです。特に、営業担当の方にはぜひ意識していただきたい。

なぜなら、産業全体の売上高に占める製造業の割合は相当高いわけだし(流通や小売の売上を加えたらなおさら)、製造業が本業なら、やはり製品力で勝負して欲しいというのも、微力ながら製造業の支援をしている身分としては想っています。

あと、製造業のコンサル転換の成功例として、記事の中でも引き合いに出されているのがIBMです。1990年初期の業績悪化に伴い、ソフトウェアとサービス業へ転換したことで業績を回復した事例は、国内のみならず世界中の製造業にとって参考になる経営戦略でしょう。

しかも、IBMは転換後も知財戦略を重視し、1993年〜2013年の21年間で米国での特許取得件数は連続トップとなったわけです(詳細はこちら)。IBMから特許が多く生まれる理由という記事も参考になります。日本でも毎年継続的に特許を取得しています(以下、年間特許取得件数の統計(2016/5/9J-PlatPat調べ))。コンサルから得られた産物とも考えられますね。

2015年→382件、2014年→572件、2013年→718件、2012年→872件、2011年→487件、2010年→415件、2009年→395件、2008年→527件、2007年→626件、2006年→484件、2005年→397件、2004年→434件、2003年→520件、2002年→545件、2001年→570件、2000年→516件、1999年→331件、1998年→322件、1997年→726件、1996年→960件

≪まとめ≫

メーカーの中には、本業の製品が下火になってきたからコンサル重視に転換しようという企業もあるようです。経営層からは、特に戦略があるわけでもないのに、買収できそうな会社を探してこいという指示もでているとか。そのため、コンサル重視に転換する企業には、あくまでも営業を強化しがいのある本業の製品力と、コンサルで得たノウハウやアイデアを活かした知財力の向上に期待したいです。

2016年5月10日

著者 ゆうすけ

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