士業で生き残るためのコンテンツ営業 情報は出し惜しみしない
弁護士、弁理士、公認会計士、司法書士、税理士、行政書士などいわゆる法律家をまとめて「士業(しぎょう、さむらいぎょう)」といいます。最近では士業も「営業」しないと食べていけない時代になってきたと言われています。
しかしやり方はいろいろあるものの、仕事をする上で「営業」は当たり前のことです。昔は黙っていても仕事がきた“夢のような時代”があったそうですが、ようやく士業の業界も自由競争の時代に突入しただけ、と個人的には想っています。
そうはいっても士業は基本的に「請け負い業」です。つまり相談されてなんぼという世界。メーカーや一般的なサービス業と違って、「商品」がありません。だから営業しまくる「自転車操業」しか道はないのか?というと、それもちょっと違うと想います。なぜならインターネットの時代だからです。
そこでこれからの士業のビジネススタイルとして有効なコンテンツ営業について考えてみました。
・まずはコンテンツづくり
以前、インバウンドマーケティングの記事を書きましたが、士業に求められているのは、コンテンツだと想います。
お客さんにとって、法律ってちんぷんかんぷんです。何回説明されても、わからないものはわからない。それは説明が悪いというより、単に難しいから理解できないだけとぼくは考えています。
それなら説明したことをお客さんがいつでも簡単に復習できるようにしてあげるのはいかがでしょうか。このようなお客さんのためになるわかりやすい法律情報が、士業のコンテンツになるからです。
しかし法律情報をそのままあげても、やっぱりわかり難いわけです。そういうときは、話題のニュースをわかりやすく解説してあげると喜ばれます。「学べるニュース」の池上彰さんが人気になったのはまさにこのスタイルを実行したからではないでしょうか。
このように親しみやすく面白味のある法律情報が、士業のヒットコンテンツになると考えています。
・コンテンツが営業の起爆剤
一般的に「営業」というと、お客さんのところに行って商品の説明や宣伝をすることを意味します。最近ではお客さんの問題(ギャップ)から課題(ギャップを埋める対策)を設定し、その課題を解決してあげる提案をする「提案営業」もあります。
「提案営業」自体は悪いことでありません。士業はお客さんの法律に関する課題を解決するのが仕事なため、積極的に提案してお客さんの選択肢を増やしてあげるべきです。でも「提案営業」はお客さんによって内容が変わるため、(効率化を図れるものの)営業する度に情報収集したり資料作成したりしなければなりません。
つまりそれだけ営業コストがかかることになります。自由競争の時代、営業コストをおさえることは士業にとっても大切です。その点コンテンツがあれば、お客さんが自ら問題に気づき、課題を設定できる機会が増えます。つまりコンテンツがお客さんを教育してくれるのです。
コンテンツがブログの記事一つ一つのかたまりだとすると、記事が増えれば増えるほどコンテンツが大きくなります。コンテンツが大きくなると、問題を抱えているお客さんのココロをつかむチャンスが増えます。チャンスが増えると、仕事に結びつきやすくなります。仕事に結びつきやすくなると、売上を立てやすくなります。つまり営業マンの代わりになるわけです。これが、コンテンツが「資産」となるカラクリです。
そしてコンテンツの副産物は沢山あります。たとえば利益に直結させるならば広告収入、コンテンツを増やすなら書籍化も可能です。今は電子書籍なら誰でも手軽に安く作れる時代。はじめから本を書こうとするのではなく、お客さんのリアクションを確認しながらコンテンツを大きくするのが効率的ではないでしょうか。
≪ピッタリナまとめ≫
士業はスペシャリストのため、コンテンツはつくりやすいはずです。ちょっと違う見かたをすれば、差別化できるコンテンツ営業ができるのではないでしょうか。
2013年8月31日
著書 ゆうすけ
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