「世界をよくする仕事」で稼ぐ著書・大澤亮氏に学ぶキャリア形成に大切な3つのこと
仕事人ならキャリアはずっと付いてきます。他の人より光るキャリアの持ち主なら、予期せず転がってきたチャンスもしっかりキャッチしています。そういう意味で、キャリアの積み上げって大事なんだって感じています。
先天性の能力(地頭の良さなど)には差があるとしても、キャリアの積み上げの工夫次第では、経験や知識を補充して、その差を埋めることができるはずです。だからぼくは、自分のキャリアを客観視するようにしています。
でも独りよがりの客観視は危険です。方向性がずれてると、貴重な時間をロスするばかりでなく、戻すのに大変だからです。だからぼくは、キャリア形成に関する読書やセミナーにも参加するようにしています。
先日は、『「世界をよくする仕事」で稼ぐ』の著者で、キャリア支援プラットフォーム『shAIR』の大澤亮さんのセミナーに参加しました。大澤さんの実体験とに基づくキャリア形成の具体策はわかりやすく、今後の自分に役立つ学びを得られました。
そこで、セミナーにて特に印象に残ったキャリア形成で大切な3つのキーワードとその内容を整理してみました。
仕事選びは動機から
会社名、職種、給料などの条件ではなく、自分にとって仕事に没頭するツボがどこなのか?、つまり仕事に対する動機を自覚するのが大切だということです。仕事の動機を大きく3つに分けると、以下のようになります。
コミットメント系の動機(達成感、闘争心などを重視)
エンゲージメント系の動機(徹底分析、好奇心などを重視)
リレーションシップ系の動機(社交性、感謝欲などを重視)
例えば、弁理士にあてはめると、コミットメント系の闘争心があると有利。基本的に、特許などの知的財産権は、保護するにしろ活用するにしろ、かならず相手(特許庁、競合他社、提携先)がいるからです。負けん気や粘り強い人は楽しいと思います。
エンゲージメント系の徹底分析は必須。自社特許の深堀、他社特許の抜け穴など観点は様々です。リレーションシップ系の感謝欲も大切。お客さんの要求を理解し、それに見合うサービスの提供が必要です。
こう考えると、弁理士は全ての動機をバランスよく持っていることが理想的かもしれません。ちなみにぼくのバランスの自己分析は、コミットメント系:エンゲージメント系:リレーションシップ系=2.5:4.5:3くらいだと思います。分析好きですね(笑)。
偶然を活かすための戦略
仕事には運が必要であることを、大澤さんは以前勤めていたドリームインキュベータ社長・堀宏一さんから学んだそうです。(ドリームインキュベータ時代のエピソードの詳細は著書で興味深く書かれていました)。
その運というものを理論的に説明したのが、「プランド・ハップンスタンス・セオリー」(「planned happenstance theory」の日本語訳は、「計画された偶然性理論」)です。以前にこのテーマのエントリーをしたことがありますが、あらためて大切さを実感しました。
でも、単に偶然を待ってるだけじゃチャンスはつかめないと思うんです。逆に、チャンスをつかめたとき(成功体験など)は、偶然を活かす戦略を知らず知らずのうちに実行していたとも言えるはず。そのため以下のキャリア形成の戦略キーワードはとても重要でしょう。
どの土俵で勝負するか
そのためには何を磨くべきか(何に時間・金を割くべきか)
コモディティー化を避ける
ぼくの場合、土俵は、知的財産の世界。磨きどころは、中堅企業~中小企業(スタートアップ含む)が会社経営に活かせる知的財産活動の研究。その具体策の一つがこのブログだったりもします。だいぶエッジを効かせてるつもりなので、コモディティー化は当分しないと思っています。
そしてこうした戦略があってはじめて「プランド・ハップンスタンス・セオリー」が効いてくるはずです。ぼくも、このブログだけでもいろんなチャンスを得てきました。
ちなみに、芥川賞作家のピース・又吉直樹さんは、アルバイトの時間を惜しんで「ネタ作り」に励んていたそうです。
結合すればオンリーワン
目指すなら、スペシャリストか?ゼネラリストか?なんてことを昔よく考えていました。でも、今の時代は、単なるスペシャリストやゼネラリストじゃ足りず、スーパースペシャリストか、スペシャリスト並みの能力を備えたゼネラリストを目指さないと厳しくなるんじゃないでしょうか。
しかも、AI(人工知能)が発達すると、単純作業ばかりでなく、従来のスペシャリスト(弁護士、医師、会計士)の仕事も機械化されかねません。弁理士の場合、特許調査の仕事がAI化しはじめています。もはやコモディティー化している商標登録出願の仕事もそのうちAI化するかもしれません。
単ある有資格者やシングルキャリアの人は、いわゆるレッドオーシャンで戦わなくてはならず、生き残り競争が激しくなるでしょう。だからこれからのビジネスパーソンは、幅を広げつつ深掘りする活動として、以下の3つの要素が大切です。
考えて複数のスキルを磨く
米国のトレンドをウォッチする
機械をどう使えるかを意識する
複数のスキルの数は3つくらいがバランスいいんじゃないでしょうか。2つだとライバルが多いし、4つ以上だと何をしたい人なのかよくわからなくなっちゃうからです。器用貧乏ってやつですね。頭がよくなんでもできる人に多い傾向かもしれません。
米国のトレンドウォッチや機械の使い方の意識については、一先ず定期的に(例えば、1か月に1回とか)チェックする程度からはじめるといいと思います。トレンドも機械もすぐに変わるので、振り回せれないことが重要でしょう。
ちなみに、ぼくの複数のキャリアは、弁理士(6年目) × 監査役(2年目)× プロマネ(3年)です。中堅企業以下を対象に、知財活動(リスク管理含む)を活かした経営アドバイザーも目指しています。
≪まとめ≫
高齢化と少子化で労働人口が減少する一方、仕事のAI化や人材のコモディティー化のみならず、ダイバーシティ(女性や外国人の活用など)の発展で、人材の二極化がますます進みます。この時代背景に対し、個人個人がちゃんと考えて行動することが大切でしょう。気づいた時がその人のタイミングです。見て見ぬふりをせず、自分のキャリアに定期的に向き合ってみるのはいかがでしょうか。
「世界をよくする仕事」で稼ぐ― 三菱商事とドリームインキュベータで学び、サイバーエージェントに1億円で事業を売却した僕の働き方
2016年2月1日
著者 ゆうすけ
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