「旗を立てて生きる」の意味を考える イケダハヤト氏著書からの学び
「旗を立てる」といえば、フランス革命の『民衆を導く自由の女神』の絵画を思い出します。あの絵で、銃を片手に持って民衆を導く姿は、現代のIT革命で旗を立てる人を表現しているようにも見えます。
「旗を立てて生きる」は、ハチロク世代を代表するイケダハヤト氏の新書。「ハチロク世代」とは、ウェブ業界で活躍する1986年生まれの人たちのことをいいます。世代は違うものの、問題意識を持った考え方とこの具体策はとても勉強になります。
とにかくわかりやすかったです。一気に読み切ってしまいました。イケダ氏がすごいというより、ウェブで発信したことが多くに人々に届く時代そのものがすごいなって思います。活かさなきゃ損をする時代はすぐそこかもしれません。
常に「次」を意識すること
「次」というのは人それぞれだと思います。会社にいるなら、昇進、部下の育成、新事業の提案。転職するなら、資格の取得、他社の調査、実績の積み上げ。企業するなら、人脈の構築、メディアの作成、資金集め。などなど、人によって「次」は違います。
「次」を常に意識して、「今の会社はあくまでも踏み台」として捉えれば、自然と成長意欲がわきだし、仕事にも熱心に取り組むことができるでしょう。 「次」を意識した人材は、会社にとっても役立ちます。会社にとってなによりも悪いのは、「ここにいれば安全だ」「一生この会社に勤めあげてやる」と会社にしがみつき、いわれるがままにそこそこの仕事しかこなさない人材です。(p044-045)
イケダ氏はこのコメントを、『心の中に辞表を持とう』というタイトル記事の中でしています。しかし決して会社を辞めるべきだという意見ではありません。つまり「次」を意識しないと、社内でも社外でもあっという間に取り残されてしまうという意味と、わたしは理解しています。
わたしも常に「次」を意識して行動するようにしています。それは日々の生活の中でも人生の方針を決定するときでもです。
日々の生活の中で「次」を意識すると、ムリ・ムダ・ムラがなくなります。なぜなら“ココロに遊び”を持って取り組めるからです。時間的に苦しいときはありますが、精神的に苦しいことは減らせます。
また人生の方針を決定するときに「次」を意識すると、目先の目標をクリアしやすいだけでなく、最悪なシナリオになっても冷静に行動できます。なぜなら「次」というのは、楽観的な「次」と悲観的な「次」とを想定するからです。これは京セラ創業者の稲盛和夫のコトバで学びました。
ちなみに国家資格を目標とする人に多いのは、資格の取得そのものを「次」に設定するパターンです。これでは受験勉強が辛く険しい道のりになってしまいます。だからわたしは、弁理士の資格をとった後のイメージを「次」に設定したのです。そうすると、資格の取得は通過点に過ぎません。同時に、弁理士の資格をとれなかったイメージも「次」に設定しました。悲観的に考えることは、楽観的になれるテクニックの一つです。これにより肩の力が抜け、無事に弁理士になることができました。
死ぬまで働くこと
わたしはメーカーを脱サラしたときから、死ぬまで働こうと決めました。というか、死ぬまで末永く働きたいと思いました。つまり定年とかなく、好きな時に働き、好きな時に休む、こういう生き方を目指すことにしたのです。
定年がなくなるこれからの時代、「年を取れば取るほど不利になる仕事」は一生の仕事として選択すべきではありません。
ぼくの場合はそもそも死ぬまで働く羽目になるフリーランスなので、「死ぬまで働く」前提でキャリアを考え、日々スキルを磨いています。現在注力している文筆業は、脳みそだけで仕事をするようなものですから、その気になれば死の直前のベッドの上ですら、自分の文章を綴りつづけることができてしまいます。(p065)
一般企業にいるリスクは、管理職のまま自分のピークを過ぎることだと思います。大手企業だと、管理職になるのは40才~55才くらいです。つまりライフワークを見つける血気盛んな時期なのに、自分の専門性を高められず、管理職後の「次」を設定できないのは残念です。
わたしがメーカーを脱サラしたのは6年前です。そのころはリーマンショック前で、会社もけっこう景気がよかったです。なんでこんないい状況のときにやめるの?ってみんなにいわれました。でもわたしに言わせると、わるい状況のときにこそやめるべきではないのです。なぜならわるい状況が理由でやめると、またわるい状況になるとやめたくなるからです。つまりやめ癖がついてしまいます。ちなみにやめる理由がポジティブなステップバックなら問題ありません。
イケダ氏もいうように、会社にいようが独立しようが専門性(できること)は生き抜くために必要なものです。その専門性が自分のライフワークになることが最も理想的だとわたしは思います。なぜならそこに真の生き甲斐があるからです。
「Why」を続けること
ワイフワークを見つけることは、簡単なことではないと思います。簡単に見つかったら、逆に疑わしいものです。迷いながら、試しながら、「Why」と自分に問い続けることで、少しずつ道ができるのではないでしょうか。
ぼくが知る優れた企業、優れたビジネスパーソン、優れたリーダーは、みなさん強い「Why」を持っています。彼らは自分がやっていることに対して、心の底から納得感を抱いています。 他の人から「なんであなたがそれをやるの?」「そんな問題解決できないよ」と言われようが、決して自らの軸をぶらすことなく、だれも解決できていない課題にタックルしていきます。(p112)
わたしは自分のミッションを設定する前に、そもそもなぜ仕事をするのか?を考えました。なぜならそのミッションがわたしのライフワークになるからです。つまり一生やり続けたいと思える具体的な何かを見つけるには、その根底にあるもの(わたしの場合は仕事)の「Why」を考えなければ、見つかりようがないと思うのです。
わたしが仕事をする最大の理由は、自分に関わる人と選択できる人生を歩みたい、と思ったからです。自分に関わる人で最も大切なのは、家族です。家族と、時間的にも金銭的にも、選択できる人生を共に歩みたいと考えています。ときには一杯280円の牛丼を10分で食べたいし、ときには1枚10000円のステーキを時間かけて食べたい。これが自分に関わる人と選択できる人生の最大の魅力だと思っています。
仕事をする「Why」が明確になった後に、ミッションの「Why」と、ミッションの具体策であるネーミング企画の「Why」を考えました。それらを本書でも紹介しているフレームワーク(サイモン・シネックが著書「ゴールデンサークル」で提案しているもの)にあてはめました。
「Why」があいまいなものは、それぞれフレームワークをつくるべきだと思います。なぜならたくさんあると頭の中では整理しきれず、ごちゃごちゃになって迷い、軸がぶれるからです。また同じようなアイデアでも、フレームワークで見える化すると、その違いがはっきりします。そのため行動指針が定まりやすいのです。つまりフレームワークでの見える化は、自信をつけるテクニックとも考えられます。
まとめ
「旗を立てて生きる」、この一言がわたしに考えるきっかけと今後の進め方のヒントをくれました。コトバの感じ方は人それぞれです。それは感性のみならず、タイミングでもかわります。自分の宿命、環境、境遇を受け入れ、「旗を立てる」生き方をする人が増えれば、この国はもっと明るくなるのではないでしょうか。
旗を立てて生きる──「ハチロク世代」の働き方マニュフェスト (就職しないで生きるには21)
2013年6月21日
著書 ゆうすけ
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