「振り込め詐欺」の新名称公募から学ぶネーミングの考え方
引用:消費者教育ポータルサイト
現在警視庁は、被害を広げないために「振り込め詐欺」の新名称を募集しています。そこで警視庁が新しいネーミングを募集する背景や募集の仕方を整理し、そこから学べるネーミングの考え方についてお伝えします。
「振り込め詐欺」の名称はもう古い
「振り込め詐欺」という言葉はみなさんもごぞんじだと思います。これは電話で「おれおれ!」と子どもや孫のフリをして現金を銀行口座に振り込ませる「オレオレ詐欺」など、「振り込み」をさそう詐欺のネーミングとして2004年に警視庁がつけたものです。
しかし2010年からは、犯人がキャッシュカードや現金を自宅に直接とりにいく詐欺が増加してきました。これは今のところ「キャッシング受取型オレオレ詐欺」や「現金受取型オレオレ詐欺」といっていますが、警視庁としてはもっとわかりやすいネーミングをつけて被害をへらしたいという想いがあるようです。
「振り込め詐欺」という名称の影響力はすごかった
「振り込め詐欺」という名称をつけてから、都内での被害件数はへってきました。これはネーミングに影響力があったといえそうです。
しかしこの影響力が逆手にとられました。つまり「振り込め詐欺」というネーミングが認知された反面、「振り込み」以外なら高齢者はきづかないからお金をだましとってやろうという犯行の悪意がみえます。
ツイッターでの新名称の募集が防犯になる
ネーミングを募集する行為は、その趣旨やネーミングの要件を伝えることになるため、アピール効果があります。今回のケースでいえば、「振り込め詐欺」の新名称を募集することで、「振り込め詐欺」の傾向と対策を伝えることになるため、この募集自体が被害をへらす効果につながりそうです。
そうかんがえると、ツイッターというソーシャルメディアを利用した警視庁の判断はするどいのではないでしょうか。
まとめ
ネーミングは良くも悪くもヒトをコントロールします(くわしくは、「ネーミングがヒトに与える3つの影響」をご覧ください)。そのことをものがたる事例としてはわかりやすかったとおもいます。時代の流れにあわせてご自身のネーミングをみなおすことも大切です。
なお新名称の募集は4月10日まで。ツイッターなら、ハッシュタグをつかって『〇〇〇 #振り込め詐欺新名称』と入力すれば投稿できます。※〇〇〇は新名称
<参考>
「『振り込め詐欺新名称』が案の定大喜利会場に。爆笑ネタ続々投下」 ⇒ http://www.yukawanet.com/archives/4423235.html
「「振り込め詐欺」新名称求む 手渡し型増え 実態そぐわず」 ⇒ http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013032202000116.html
「「振り込ませない」振り込み詐欺急増中!」 ⇒ http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki31/1_hurikome.htm
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