地名+業界内で普通に使われる一般名称のネーミングを商標登録するのは難しい
ネーミングを検討するとき、地名は有効なキーワードです。なぜならその地域の会社や商品を検索する場合、だいたいその地名を入力するからです。つまりマーケティング的においしいキーワードなので、ネーミングの一部に入れられるなら入れるべきです。エリア戦略効果もあります。
でもわかりやすさを重視するあまり、地名の後に業界内で普通に使われる一般名称をつけてしまうと、ネット検索でヒットし難いばかりでなく、商標登録的にも厳しくなります
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だって、それって普通じゃん(識別力なし)
ネーミングを商標登録するには、ユーザーがそのネーミングを見たときに、「あ、あのネーミングはあそこの会社(商品、サービスなど)のだ!」とわかるものじゃないとダメです。つまりユーザーがネーミングで会社や商品やサービスを区別して認識できること(識別力があること)が必要です。そういう条件があることを踏まえると、地名と業界内で普通に使われる一般名称とを単に組み合わせたネーミングに識別力がある、というのは厳しいわけです。
たとえば、ラーメン大好きの小池さんが東京でラーメン屋を開業し、「東京ラーメン」という屋号をつけたとします。この場合、地名「東京」とラーメン業界で普通に使われる一般名称「ラーメン」とを組み合わせた「東京ラーメン」というネーミングを見たとき、お客さんはいつでも小池さんのラーメン屋だ!と識別できるでしょうか?
ネットで検索すれば「東京ラーメン」という言葉が使われているウェブページ(ウィキペディアやイベントなど)が多数ヒットします。また「東京ラーメン○○○」という店名のラーメン屋はどこにでもあります。つまり地名と業界内で普通に使われる一般名称とを単に組み合わせたネーミングは実質的に一般名称であって、それには識別力はなく、つまるところ、普通じゃん!となってしまいます。
≪まとめ≫
地名+業界内で普通に使われる一般名称のネーミングそのものを商標登録することは厳しいです(地域団体商標は除く)。つまりここでの肝は、業界内で普通に使われているかどうか?が判断のキーポイントになります。
例えばラーメン好きの小池さんが自分の腕前を活かして「東京ラーメン」というラーメン屋開業講座を開くとします。この場合での業界とは、ラーメン屋の開業支援ビジネスの業界があたります。だから判断のポイントとしては、ラーメン屋の開業支援ビジネスの業界内で、「東京ラーメン」またはそれに近い言葉(「東京でのラーメン屋開業講座」など)が普通に使われていないかどうか、です。
2014年7月13日
著者 ゆうすけ
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