大ヒット商品「GOPAN(ゴパン)」から学ぶネーミング戦略の3つの極意
引用:パナソニックGOPAN
「GOPAN(ゴパン)」とは、米そのものからパンをつくる「ライスブレッドクッカー」で、三洋電機が2010年11月に販売した大ヒット商品です。※三洋電機は2011年4月にパナソニックの完全子会社になったため、今はパナソニックの商品です。
パッと見、「ごはん」の「ご」と「パン」をくみあわせただけのネーミングとおもいきや、そこにはちゃんと戦略がありました。
1.ネーミングはわかりやすく印象にのこること
「GOPAN(ゴパン)」など三洋電機のヒット商品のネーミングをてがけた竹内創成氏は、マーケティングにおいてネーミングが重要であると共に、ネーミングの極意について以下のように語っています。
〇ネーミングの極意は、商品の機能や目的がわかること。それでいて、極力短いこと、語感が印象に残ることだ
〇濁音が入り、3文字程度に収まり、最後が『ん』がつく商品名がもっとも印象に残りやすい
「GOPAN(ゴパン)」の場合、ごはんの「はん」と「パン」とが似ているため、ごはんでパンをつくるイメージがしやすいです。またローマ字で「GOPAN」と表したことも、わかりやすくするための工夫です。「ゴパン」だと、「ゴハン」と見分けがつかなくなるからです。
なおベンチャー企業の4分の1が、商品・マーケティング戦略でミスしているというデータがあります(参照:経済産業省「ベンチャー企業の経営危機データベース~83社に学ぶつまずきの教訓~」)。ネーミングはマーケティングに直結するため、商品のコンセプトを一言であらわすべきです。そのことを意識したかどうかで差がでます。
2.読み方を限定して商標登録されやすくすること
引用:「GOPAN」の商標登録内容
「GOPAN」は、「ゴパン」だけでなく、「ゴーパン」や「ゴップアン」とも読めます。このためもし「GOPAN」だけで商標登録を申請すると、「ゴパン」だけでなく「ゴーパン」や「ゴップアン」とよむ商標登録と比較されてしまい、登録されないことがあります。
しかしローマ字「GOPAN」とカタカナ「ゴパン」を二段書きにして申請すると、「GOPAN」の読み方を「ゴパン」に限定することができます。こうすると「GOPAN」は「ゴーパン」や「ゴップアン」とは読みませんよーと自分でいっているため、「ゴーパン」や「ゴップアン」と読める登録商標とは比較されない分、登録されやすいといえます。
3.商標登録の申請は商品販売の半年前にすませること
三洋電機は、2010年11月11日に「GOPAN(ゴパン)」を発売しています。そしてその半年前の4月27日に商標登録の申請をしています。これはベストのタイミングです。なぜなら申請から商標登録されるまでの期間は、平均半年(6ヶ月)だからです。
販売前から商標登録しておくと、販売後にネーミングがまねされても、すぐに止めさせることができます。つまり三洋電機は販売スタートの時期を想定して、商標登録の申請をしていたとかんがえられます。
まとめ
マーケティングを意識したわかりやすく印象にのこりやすいネーミングがヒット商品の条件です。また継続してマーケティングをおこなうためには商標登録が必要で、登録の内容や申請のタイミングもしっかり検討することをオススメします。
<参考>
GOPANに宿るベンチャー魂があれば三洋電機の衰退は防げた ⇒ http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20130315/1048136/?P=2&rt=nocnt
ベンチャー企業の経営危機データベース~83社に学ぶつまずきの教訓~ ⇒ http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/kikidatabase/index.html
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