高くても欲しくなるデザイナーズ家具「リグナ」から学ぶネーミング戦略
引用:リグナ東京
先日、経営者マーケティング研究所(所長:岡田有史氏)が主宰する「成りあがり経営者の会」に出席しました。そこでデザイナーズ家具「リグナ東京」を主宰するアビリタ株式会社の小澤良介代表の講演できいた内容と、質問してお答えいただいた内容の一部をまとめました。
家具会社の代名詞になることが目標
「家具会社といえば?」。この質問をされたほとんどの人が、イケア、ニトリ、大塚家具とこたえるそうです。つまり家具は店舗に実物をおいて売るのがあたりまえで、テレビCMできるくらい大きくなければ家具会社として認知されない、という業界の常識がありました。
しかしこの業界の常識を非常識ととらえたのが、リグナ東京を主宰するアビリタ株式会社の小澤良介代表です。小澤代表は家具の仕事ができれば利益は二の次とおもうほどの家具愛好家。そんな小澤氏だからこそきづいたギモン、それは、なぜかっこいい家具がまとまったウェブサイトがないのか?ということでした。
そこで10年前から、デザイナーズ家具をインターネットで販売するビジネスをスタート。まずはインターネットで誰でもみられるデザイナーズ家具のライブラリーサイト(メディア)をつくることからはじめ、このメディアをきっかけに少しずつ家具メーカーとの契約数を増やして事業を拡大。老舗家具メーカー「カリモク」も注目するほどに。
独自のSEO対策も効果があり、いまでは「デザイナーズ家具」というキーワードで検索エンジントップに表示されるほど認知されました。
「リグナ」は神さまからの贈り物(リグナの由来)
そんな小澤代表はオシャレな家具好きだけあって美的センスがバツグン。むかしから絵が得意で、学生時代に全国大会で大賞をとったこともあるほどの腕前。そのためネーミングにももちろんこだわりがありました。ブランド名「Rigna(リグナ)」はまさに会心の命名です。
思いついたのは、ふと都内をドライブしていたとき。ブランド名には、小澤代表の名前(良介(Ryosuke))の「R」を頭文字につけたいとかんがえていました。また有名なネーミングは、最後の文字が母音「ア」でおわる、という特徴をとりいれました(たとえば、「コカ・コーラ」)。その結果、言いやすく,覚えやすく,響きがよいブランド名「Rigna(リグナ)」が誕生したのです。
さらにインターネットで検索したところ、頭文字だけがちがう「Ligna」を発見。これはラテン語で「木」という意味があることをしりました。このことからデザイナーズ家具をあつかう会社としてはこの上ないネーミングと確信。神が舞い降りたと小澤代表は感じました。なお後日占い師の方に占ってもらったところ、なにも問題がないから信じて進みなさいとのコメントをいただいたそうです。
デザイナーズ家具もネーミングが重要
インターネットで家具を販売するということは、お客さまに家具の実物をみないでかってもらうことになります。ではそもそも家具の実物をみないでかう人が本当にいるのかどうか?いたとしてもビジネスになるくらいいるのかどうか?というギモンがわきます。
これのギモンについて小澤代表は、9割のユーザは家具の実物をみてかうけど、1割のユーザは家具の実物をみないでかうため、この1割のユーザが「Rigna」のお客さまとかんがえています。つまり家具業界の市場規模が数千億円だとしたら、その1割でも数百億円の市場規模があるため、ビジネスとして十分になりたつということです。
その点インターネット通販の場合、大きな店舗やテレビCMなど、必要以上に投資する必要はありません。しかし実物がない分、家具に興味をひかせ、かっこよさをより忠実につたえなければお客さまにかってもらえません。
そこで小澤代表は、家具のネーミングに注目しました。通常、家具のネーミングは家具メーカーがつけるそうです。ところがネーミングがいまいちだと、お客さまに家具のよさがつたわらないため、たとえ家具がかっこよくても売れません。
たとえば地方の家具メーカーさんが、その地方でゆかりある名称を家具名につけても、その名称にお客さまのイメージがコントロールされて、家具のかっこよさはまったくつたわりません。※参考:「ネーミングがヒトに与える3つの影響力」
そこで「Rigna」では、家具メーカーがつけたネーミングをみなおし、いまいちなネーミングは改名しています。またネーミングばかりでなく、家具のキャッチコピーにも一工夫しています。なぜなら、なんかこの家具が気になるからくわしい説明をみてみようかなって、お客さまに思わせることが大切だからです。
わたし自身、「家具会社といえば?」という質問をされたとき、大手企業しか思いだせませんでした。なぜなら大きな店舗やテレビCMでみかける会社しか記憶にのこらなかったからです。でも小澤代表の家具への情熱や「Rigna」の活動を聞き、デザイナーズ家具についてもっと知りたいと思うようになりました。
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