弁理士がモノづくりの商品企画から参加すべき3つの理由
最近、知的財産が日本を支える、知的財産を活用しよう、クールジャパン戦略を実現するには知的財産の確保が必要、など「知的財産」というキーワードが注目されています。知的財産とは読んで字のごとく、「知的」な「財産」であって、アイデア、デザイン、ネーミングなどをいいます。つまり物体はないけど価値あるものだから大切にしよう、という思想です。
しかし実際に弁理士として働いていると、「知的財産」への意識が低いお客様はまだまだ多いと感じています。それはなぜかと考えると、ひとえに我々弁理士が知的財産の重要性や取り組む価値について伝えきれていないのではないか、とひしひしと感じるようになりました。
会社にとって商品企画は存在価値そのものです。新しい何かを生み出し続けなければ、存在価値が薄れていきます。なぜならお客様は常に新しい何かを求めているからです。そしてこの新しい何かが知的財産となります。だから知的財産は垂れ流しにしないでちゃんと管理すべきだし、他人がどんな知的財産をもっているか把握すべきなのです。
そこでそんな知的財産の専門家である弁理士が商品企画から参加すべき3つの理由をまとめました。
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弁理士は検索能力が高い
商品企画とは今までにない何かを生み出すことです。ということは、今までにあったものとなかったものをちゃんと把握すべきはずです。これは画期的なアイデアだ!と自画自賛しても、たいてい同じアイデアを考えている人がいます。
そのため商品企画には事前のアイデア収集が必要です。世の中にあるモノやサービスにはどんな課題があるか?その課題をクリアできる既存のサービスはないか?既存のサービスではクリアできない理由はなにか?など、検索能力のみならず、分析能力や提案能力も必要でしょう。
その点弁理士は、アイデアの種となる数十万件の特許や商標の文献の中から、最適なキーワードを選んで必要な情報を選び抜く能力に長けています。またヒアリング能力も高く、商品のポイントを明確にすることができます。そのため弁理士ならアイデア収集という大切なポジションをまっとうできるはずです。
弁理士はブランド化の提案ができる
商品企画で考えなければならないのは、その商品を販売する業界内でのブランド化です。常に新しい商品をヒットし続けるのに、その商品をブランド化してシリーズモノにするのは一つの戦略です。
そしてブランド化でつかえる一手といえば、特許や商標を登録して自分のアイデアだと主張できる権利をとることです。商品は売れなければブランドになり様もありませんが、売れてからブランド化を検討すると、後の祭りになる可能性もあります。
理想的なのは、権利が取れるアイデアやデザインやネーミングをリリースすることです。だからはじめから特許や商標が取れるモノづくりをするのが効率的といえます。その相談役になれるのは弁理士以外にいません。
弁理士しか権利のリスク対策ができない
新しい何かを世の中に送り出すということは、それなりのリスクがつきものです。商品自体の品質の低さでクレームを受けるのは仕方ないにしても、どこからともなく、その商品は権利侵害している、という理不尽な通知がくることもあります。
その点、自分に権利があることを主張できればトラブルの被害を最小限にできるでしょう。そして権利とは、特許や商標だけでなく、デザインやノウハウなど登録していないものも含みます。そのためにはいつその企画をスタートしたのか?いつから事業として準備しはじめたか?などの証拠を残しておくことも、権利侵害というリスクを減らす大切なことです。
ジョイントベンチャーのような違う組織が協力して商品企画する場合も、どこまでアイデアやノウハウを提供し合うか?秘密保持契約はだいじょうぶか?といった検討事項を洗い出して契約書を交わすことも大切です。
≪まとめ≫
弁理士って案外便利です(笑)。知的財産という企業のコアな部分を扱うプロなのでそれなりに地頭もいいはずです。そして使える弁理士かどうかのポイントは、事業全体を考えて必要な権利取得やリスク回避の提案ができるかどうかです。
2014年1月24日
著者 ゆうすけ
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