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弁理士の仕事はどうなる?人工知能が特許調査してくれる時代とこれからの働き方

公開日: : 最終更新日:2015/11/05 弁理士, 弁理士キャリア, 特許, 特許トレンド

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人型ロボットや人工知能が発達したら、人の仕事がなくなっちゃうかもしれませんね。

10年後、弁理士の仕事はどうなっているかわかりませんが、少なくとも今とは違う働き方が主流になっているのではないでしょうか。

photo credit: Algorithmic Contaminations via photopin (license)

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人工知能で企業の特許調査負担が激減

教師データとの関連性の高い文書からスコア順に並び、調査の着手に優先順位がつけられることで、特許関連文書のレビュー効率が格段に向上するという。開発時において「PATENT EXPLORER」は、平均で約330倍、最大で約3,000倍のレビューの効率化を達成した。

<引用:「UBIC、トヨタテクニカルディベロップメントとの共同開発による人工知能を用いた知財戦略支援システムの提供を開始」>

おそらく、特許に関連する資料(以下、特許資料)の検索精度が高い(必要性の高い特許資料を集められる)なら、企業の調査作業が格段に楽になるはずです。

特許資料が必要な場面とは、例えば、自社製品がライバル会社の特許にひっかかってないか(侵害していないか)検討するとき、ライバル会社の特許が無効であること(特許を認めるべきではないこと)を主張するとき、自社製品で特許がとれるか(公知の技術と似ていないか)判断するときなどです。

このような場合、今までどうやって特許資料を調べたり集めたりしていたかというと、特許庁のデータベースで検索したり、市販の特許調査用ソフトを活用したり、特許調査会社に外注したりしていました。

基本的に人海戦術のため、作業者の経験や勘によって調査結果が大きく変わることもあります。つまり、必要性の高い特許資料を集められる場合もあれば、必要性の低い資料しか集められない(必要性の高い特許資料が漏れている)場合もあるわけです。

こうした特許調査にかかるコスト(人件費や外注費)を削減でき、特許資料の検索精度を高められる点において、人工知能による特許調査はとても価値があります。なぜなら、特許調査は日本国内の資料のみならず、ときにはアメリカやヨーロッパやアジア諸国の資料を集めなければいけないからです。

グローバル企業だと、例えば、アメリカのライバル会社の特許を侵害していないかアメリカ国内の特許公報を調べたり、アメリカのライバル会社の特許を無効にするためにヨーロッパやアジア諸国から証拠資料を集めたりすることがあります。つまり、グローバル社会では、国境を越えた特許トラブルの発生リスクの増加が予想できるわけです。

まだ発展途上ですが、アジア諸国の知的財産制度が整ってくれば、それらの国内において外国企業同士の特許トラブルが増える可能性があります。そのときにはきっと、それらの国内に存在する特許資料の数も増えているはずなので、特許調査も多言語に渡って行われるかもしれません。

弁理士の鑑定や見解のニーズが増えると予想

日本では知財戦略というと、特許権や自社の技術価値を守るためのものだととらえる傾向がいまだ強くありますが、知財部門がどう活用するのかを考え、経営陣に提言していかなければ、企業は知識社会で生き残るのは困難と言われています。

<引用:2014/7/30 「法律・訴訟分野のビッグデータに強み UBICの成長戦略を見る」>

そういう時代の中で、日本企業は生き残りをかけてグローバルに成長していかなければならないものの、それに伴うリスクも背負って舵を切っていかなければなりません。特許トラブルのリスクは成長度合いが大きければ大きいほど甚大です。

そのため、人工知能で特許調査ができれば、企業の特許調査の負担が減るため、作業効率がアップするはずです。自社内で、かつ弁理士や知財部員じゃなくても(知財の専門家がいなくても)、作業ができるようになるかもしれません。

その場合、企業外の弁理士としては、人工知能がアウトプットした調査結果に基づく妥当性の検討業務が増えるのではないでしょうか。例えば、人工知能が発見したライバル会社の特許に本当に侵害しているかどうかの鑑定や、ライバル会社の特許を本当に無効にできるどうかの見解を求められる機会が増えると予想しています。

ちなみに、人工知能の性能が高まって、アウトプットされた調査結果の妥当性を検討する必要がないくらい高精度になったとしたら、そのときはまた違う働き方を考えるタイミングかもしれません。

≪まとめ≫

人工知能に限らず、テクノロジーの発達に合わせて専門家の働き方も変えていくべきではないでしょうか。テクノロジーとの共生がワークスタイルのキーワードにしばらくなる予感がします。

2015年11月4日

著者 ゆうすけ

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