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野村克也監督に学ぶ人を動かす3つの方法と人の能力に応じた3つの接し方

公開日: : おすすめ本, 教育論

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チーム作りや組織論は、時代によって多少違うかもしれません。でも野村克也監督は不変の理論を持った上で、その時代や人の個性を考えた指導を心掛けているようです。

そこで野村克也監督に学ぶ、人を動かす3つの方法と人の能力に応じた3つの接し方をまとめました。

photo credit: Al_HikesAZ via photopin cc

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野生の教育論――闘争心と教養をどう磨くか

人を動かす3つの方法=「論理」「利害」「感情」 

野村監督が指導者として優れている点は、選手の特徴をちゃんと分析して発言しているところと感じています。つまり選手が持つ強みを指導にフル活用するのです。阪神タイガースの監督時代に新庄剛志選手を育てた理論が非常にためになります。

人を動かす方法には、大きく言って「論理」「利害」「感情」の3つがあるが、新庄の場合、論理で動かそうとしても不可能だろう。「利害」というのも年俸などを決めるのは私ではない。となれば、残るは「感情」しかない。ひとことで言えば、楽しく野球をやらせることにしたのである。 p188 

 

まずその人が「論理」「利害」「感情」のうち、ザックリとどのタイプか見極める必要があります。新庄選手の場合は「感情」でしたが、かえって感情論が逆効果な人もいるはずです。 

ひょっとすると「利害」を最優先する人を動かすのが一番楽かもしれません。わかりやすいからです。でも「利害」だけだと、お金をたくさんもらえるところに行ってしまうリスクがあります。 

今の時代の経営者やリーダーとしては、その人の生き方や仕事をする理由を「論理」的に考えさせながら、「感情」を動かしてチームや組織に貢献するよう動機づける方法がベストではないでしょうか。 

人の能力に応じた3つの接し方=「無視」「称賛」「非難」

「論理」「利害」「感情」を見極めて人を動かせたとしても、その人がこちらの期待する活躍をしてくれるかどうかはまた別です。なぜなら人の能力や成長スピードに違いがあるからです。野村監督としてはその点も見極めて接し方を変えているのが学ぶポイントとなりました。

監督時代、私は「無視・称賛・非難」というやり方で選手を育ててきたというのは、いたるところで話してきたことであるが、我慢力と感謝の心を育てるために、この方法はいまこそ効果的なのではないかと思っている。

私がそうだったように、「周りになんとかして認められたい、そのためには何をすればいいのか」と考えることから人間の成長は始まる。とすれば、箸にも棒にもかからない段階の人間は「無視」すればいい。 p246 

 

ほめてのばせとよく言われていますが、どう考えてもほめられない人もいます。たとえば何回も同じミスをしたり、ミスったことに問題意識を持たない人です。ていうか、そもそも問題意識を持たないから同じミスをするわけです。 

それなのに、そんな人がたまにいい仕事をしただけでほめるのは、甘やかしの極みだし、なめられるし、他のチームメンバーにも悪影響になり兼ねません。そんなデメリットしかない教育法だからこそ、野村監督はその人を観察しつつも「無視」し続けるべきだと説いているはずです。 

できない人は「無視」し、問題意識を持って取り組み考え抜いた末に出た結果は「称賛」し、さらにワンランク上を目指すべきタイミングになったら「非難」する、このステップを指導者としてちゃんと意識すべきでしょう。 

≪まとめ≫

人を動かすことは最も難しいことですが、さらに先を読んでその人に接することが指導者や責務です。大げさかもしれませんが、その人が自分の手から離れたとしても、自立した人生を送れるように心掛けなければ、真の指導・真のチーム作り・真のチームワークは生まれないのではないでしょうか。

2014年1月3日

著者 ゆうすけ

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