教養なくして真のプロにはなれない!野生の教育論(著・野村克也)
野村克也監督といえば、ヤクルトを優勝させたり、楽天のマー君を一流の投手に育てたりなど、指導者としての手腕は誰もが知るところです。そんな野村監督の著書「野生の教育論」には、野球選手のみならず、仕事をしている人すべてに必要な理論が満載に書かれています。
すごくためになる本なので、まだちょっとしか読んでませんが、その一部を整理しました。
技術は最後でいい
プロ野球選手も職人のようなもんだから、打ち方・投げ方・守り方のテクニックなど技術論を徹底的に教え込むのかなって思っていましたが、野村監督の教育論は違っていました。技術を身に付けるには、まず心のもちようが大切だと説いています。
態度が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
運命が変われば人生が変わる。
ヒンドゥー教の教えを引用したものだが、心のもちようが変われば、それはおのずと態度や行動、習慣に表れ、それが人格を変え、ひいては運命までをも左右するという意味だと私は解釈している。すなわち、思考が人生を決定するのである。 p138
ぼくは「言霊」を信じています。言ったことは現実になることを体感してきたからです。「言う」という動作は思考が働いた証拠でです。つまり思考が働かないことは起りようがなく、夢の実現や目標達成は難しくなります。。だから発信することが大切なわけです。
人生と仕事は切り離して考えることはできない。いくら技術を磨いても、人間としての心が間違っていたり、考え方や取り組み方が間違っていてはろくな仕事はできないのだ。心が変わらなければ、成長も進歩もありえないのである。だから私はしばしば口にするのだ。
「人間的成長なくして技術的進歩なし」 p139
やらないよりましですが、ガムシャラにやるだけではダメです。なんでこの仕事をしてるんだろう?お客様にはなぜその提案がベストなのか?ブログの記事はどんな人の役に立つか?など、常に考えることが人間的にも技術的にも成長していると実感しています。
問題意識の有無が真価を分ける
問題意識とは、常にこれでいいのか?と考えることと、ぼくは解釈しています。いいアイデアがあったら、自分に置き換えて使えるかどうか、日々カイゼンを意識しています。その点については野村監督も重要視しています。
そもそも、・・・プロの世界に入ってくる人間の能力に大差はない。にもかかわらず、いつのまにか差がついてしまう。さらに高いレベルに到達する選手と、そこで終わってしまう選手の違いとは何か―頭である。どれだけ教養を伸ばし、考えられるか、なのだ。それには、問題意識をもって能動的に物事に取り組むことが必要不可欠なのである。 p146
考えることをどれだけ習慣付けているかによって差が開くものです。それは士業も同じで、例えば大企業の判例を中小企業のお客様に話したところで、で?どうすればいいの?ということになります。有名な判例だろうが、お客様の実務を理解しなければ、ベストな提案はできないでしょう。そしてお客様の実務を理解するには、教養や問題意識が不可欠です。
見られている意識を持つと成長が早い
人の目を気にしてやりたいことができなくなるのは困りますが、なにかはじめると人に見られる機会が増えます。つまり人は見られながら成長するもので、人に見られない状況は成長の機会を逃しているともいえそうです。
言葉を言い換えれば、「人が自分を見ているという意識」を持っているかどうか、ということである。
・・・
「見られている」という意識があれば、おのずとそういう気持ちになるし、日々そういう態度で臨んでいれば、自分を必要とし、活かす場所が必ず与えられるはずなのだ。 p154
どこかでだれがか見ていると考えると、何事も励みがでます。ブログだって一人でもファンがいる限り続けるべきだし、一人しかいないからといって手を抜けば、ファンが増えないどころかいなくなってしまうでしょう。また見られている意識を持つと、魅せる意欲が湧いてきます。
≪まとめ≫
プロ野球に限らずチームを勝たせるには、個人の技術力よりもチームの組織力が大切です。またチームの組織力を上げるには、選手一人一人の教養や問題意識の蓄積が必要です。そして選手一人一人が見られている意識を持つことで、教養や問題意識の高さも上がるでしょう。経営者やチームリーダーにもオススメの一冊です。
2013年12月31日
著者 ゆうすけ
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