クリティカルシンキングで会社経営をカイゼンする簡単な4つのステップ
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最終更新日:2014/01/03
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クリティカルシンキングとは、日本語では批判的思考という意味もあるようです。「批判」というとネガティブな印象があるものの、「批(=事実を突き合わせる)」と「判(=見分け定める)」という文字が組み合わさったもので、そもそも否定的な意味ではありません。またクリティカルシンキングは、間違った議論を回避するための概念ともいわれています。
たしかに議論していると、そもそも何のための議論なのか?現状のままでは問題があることを誰もが認識しているるものの、その問題の原因や解決するための手段がごちゃごちゃになってしまうことがあります。
そこでクリティカルシンキングを会社経営のカイゼンに活用した場合のステップを考えてみました。
ステップ1.解決すべき問題を疑問系(What,How)に置き換える
実は簡単そうで意外にできないのが、問題設定です。たとえば会社経営でありがちな問題として、「売上の低下」と「継続の危機」があります。これらは一見同じ問題にも見えますが、問題を解決する手段が異なります。
「売上の低下」の場合、原因としては風評被害による顧客離れなどあります。一方、「継続の危機」の場合、原因としては「コスト拡大」などがあります。
このように問題を見比べただけだと、関連性がありそうなものの、ちゃんとわけないと後々になってやるべきことがぶれてしまう恐れがあります。したがって解決すべき問題設定はちゃんと行うべきです。
そして設定した問題を疑問系に置き換えると、次のステップにつながりやすくなります。
☆「売上の低下」 ⇒ どうすれば売上の低下を防げるか?
☆「継続の危機」 ⇒ どうすれば継続の危機を脱せるか?
ステップ2.問題の原因が何のかを洗い出す(Where)
次になぜ問題が起こったのかを考えるステップです。原因を突き詰められないと、解決する手段が定まりません。
たとえば「売上の低下」の原因は、「顧客離れ」以外にも、「リピート率の減少」、「競合の出現」、「サービスの陳腐化」などがあります。
また「継続の危機」の原因は、「コスト拡大」以外にも、「経営者の不祥事」、「他社の権利を侵害したことによる営業停止」などがあります。
このように、問題の原因は一つに限らず、他の原因はないか?複数の原因によるものなのか?を突き詰めます。
ステップ.3 洗い出した原因を深掘りする(Why)
次に洗い出した原因を深掘りするステップです。原因を深掘りしないと、真の原因がわかりません。
「売上の低下」が顧客離れの場合、「顧客離れ」の原因を突き詰めます。「顧客離れ」の原因が、品質低下の場合、次は「品質低下」の原因を突き詰めます。「品質低下」の原因が、サービスが多すぎることが原因の場合、どのサービスが無駄なのか?削るサービスはどれか?などを検討します。
また「継続の危機」の原因がコスト拡大の場合、「コスト拡大」の原因を突き詰めます。「コスト拡大」の原因が、高いオフィス賃料の場合、次は「高いオフィス賃料」を支払っている原因を突き詰めます。「高いオフィス賃料」を支払っている原因が、移転の検討不足の場合、移転先の候補やコスト削減効果などを検討します。
このように、問題の原因をどんどん深掘りしていくと、具体的にすべきアクションがイメージできてきます。
ステップ4.問題を解決する手段を考える(How)
最後に、問題を解決する手段を考えるステップです。結局、ステップ2と3は、ステップ1の問題設定が正しかったかどうかを裏付けるものであり、ステップ2と3をちゃんと行っていれば、ステップ4も正しくできるはずです。
「売上の低下」の原因が、サービスが多すぎるために品質が低下したことの場合、この問題を解決する手段は「サービスの選択と集中」です。つまり自社のセールスポイントをはっきりさせる必要があります。単に「自社には強みがない」と割り切って無計画にサービスを切り捨てるよりも、ずっと腑に落ちるはずです。
「継続の危機」の原因が、オフィス賃料が高すぎるために資金力が低下したことの場合、この問題を解決する手段は「移転」です。つまりコストを含む移転によるメリット・デメリットを明確にする必要があります。単に「オフィス賃料が高い」と割り切って無計画に移転するよりも、ずっと安心なはずです。
≪まとめ≫
クリティカルシンキングとかロジカルシンキングとか、言葉はいろいろあるので惑わされないでください。会社経営の問題とその根っこは何なのか?ということはっきりさせればいいだけです。例えば、夫婦ゲンカしてしまったことが問題だとしたら、ケンカの原因が自分にあるのか奥さんにあるのか?自分が原因なら、話を聞いていなかっただけなのか?奥さんが原因なら、単に体調不良のためだったのか?などなど、いろいろ考えられるわけです。
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2013年10月18日
著者 ゆうすけ
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