今の時代、シリコンバレーの「モノ」ではなく「働き方」を真似るべき。
シリコンバレーといえば、世界最先端の技術の発祥地として注目され、その技術を日本に持ってくることが優先されがちです。今まではそれでよかったかもしれません。技術を真似るのが日本の得意技でもあったからです。
しかしこれからは単に技術を真似るだけではアジア諸国の競争力に対抗しきれないと思います。なぜならものすごいスピードで技術力がアップしているからです。結局、価格競争で負けてしまいます。
となると、今の時代に日本がシリコンバレーから真似るべきは、「モノ」ではなく「働き方」ではないかと考えました。そこで「シリコンバレー流世界最先端の働き方(伊佐山元氏 著)」を読んで感じたことをまとめました。
・できることからはじめて自分らしさを発揮する
シリコンバレーだろうが日本だろうが実力主義には変わりありません。しかしシリコンバレーのほうがその傾向が強いようです。そんな環境に身を置いた伊佐山氏がとった以下の行動は、ビジネスパーソンとしての本質だと思います。
そのなかで取った行動は、自分が直感的に良いと思った人物や、憧れる人間の属する組織に身を置いて、毎日全力で仕事に取り組むという、極めてシンプルな行動だ。
一方、時に自分の組織を離れて、業種の違う人間との交流を心掛けた。そうすることで、何か見えない力によって、自分は向かうべき方向に向かい、自分が生涯手がけたいと思えるような夢を見つけることができたと思っている。それこそ、故スティーブ・ジョブズが言ったように、自分のやりたいことは、事前に計画した点をたどったというよりも、後になって「点と点がつながってゆく」形で現実化していった。(p38)
個人的に「自分探し」は意味がないと思っています。なぜならそもそも自分を探すものではないから。ひいて探すなら、自分に共感してくれる人ではないでしょうか。
しかし共感してもらうには、自分にできることをわかりやすく伝えることが必要です。とにかくわかってほしい!というのは子どもの考え方です。そのためには自分でできることをひた向きに取り組み、成果や成長度合いを客観的に判断してもらうことも大切です。
できることと成果ありきで、想いや夢に現実味が帯びてくるのではないでしょうか。
・社会貢献という考え方をもつ
起業が成功したかどうかは、金銭的利益で判断するのが一番シンプルです。儲かってないということは社会に必要ない、と厳しく考えるのも、ときには必要だと思います。
しかし利益のみならず、社会に貢献しているかどうかも大切のようです。なぜなら社会貢献がビジネスの基盤を作り上げるという考え方をシリコンバレーでは根付いているからです。
しかし、多くの寄付者は、その後も資金を援助するだけでなく、実際の授業に講師として参加したり、さらには学生の進路の相談に乗ったりと、大学との交流を活発に行っている。インテルの創業メンバーのアンディー・グローブ。グーグル前CEOだったエリック・シュミット。航空会社ジェットブルーの会長であるジョエル・ピーターソン。VCの大御所のピーター・ウェルデル。これらの現役で活躍している経営者が、自らの講座を持ち、毎週学生に授業している。(p84)
日本では、社会貢献=ボランティアととらえる人が多いと思います。そしてボランティアというと、貧しい人たちのために寄付金を集めることと思われがちです。だから起業と社会貢献がかい離してしまうのではないでしょうか。
個人的に、自分の能力を発揮することで社会に貢献できるスタイルが理想ではないかと考えています。シリコンバレーの例でいえば、卒業生として大学生に自分の経験談と合わせて就職活動の相談にのることは立派な社会貢献です。
もっとビジネスライクに、自分の仕事で無料相談を受け付けることも、大きな意味での社会貢献ではないでしょうか。だからぼくもネーミングと商標登録という特殊な能力を活かして無料相談を実施し、中小企業や個人事業主の方を支援することから、社会貢献に取り組み始めました。それがぼくのビジョンにつながるからです。
大切なことは、誰かのためを考えた行う行動が結果的に自分のためになるという考え方です。
・技術力+αが必要
職人は技術のことしかわからない、それ以外はノータッチ、という時代は終わったと思います。雇われる職人ならいいですが、職人として起業するならば、シリコンバレーのマインドは必要です。
純粋な技術力や製品の品質で勝負できた時代は、特許や職人の腕が勝ち負けの大きな要素を占めた。しかし、最近のベンチャーの商品やサービスの企画には、心理学や統計学、素材や色彩学の知識が不可欠になってきている。利用する人間の理解を深め、その感性に訴える勝負という、極めてアナログなセンスや能力が問われる時代になっている。商品の性能よりも、そのデザイン性やユーザー体験を高めることで、消費者の所有欲、利用欲を高める仕掛け。これは人間の感性の理解に他ならない。(p108)
ぼくが弁理士として心掛けているのは、お客さんの技術やサービスがユーザーに受け入れられるかどうかということです。わかりやすくいえば、単に特許や商標を取るだけではなく、取った後もその特許や商標が活かせるかどうかです。
そのため習慣的にユーザーの心理を考えるようになりました。ネーミングにしろITシステムにしろ、ユーザーのココロを刺激できるものかどうかが今後は重要だと思います。
・反応を見ながら軌道修正する
はじめから大きなことをやると、失敗したときの痛手がひどいです。借金して何かをするという考え方は危険です。
何が売れるか予想しにくい時代、手探りしながら進み、ファンの反応を見ながら軌道修正する。そのスピードをあげることが成功の近道のようです。
しかし、グーグルのような「Forever Beta」をモットーとし、「失敗」と「修正」を繰り返すというアプローチこそ、これからの時代に重要視されるはずだ。利用者の市場の声を聞きながら、頻繁に修正をかけてゆくやり方。当初は、「こんな完成度の低いサービスを提供するのは非常識だ」という声も多かったが、今では、より早く新サービスを展開し、ユーザーからの反応を見ながら、修正を頻繁に行っていくというアプローチが新たな“常識”となっている。このような地味な作業の繰り返しが、結局、イノベーションへの近道なのだ。(p121)
小さなアイデアで起業する場合、その取っ掛かりとして使えるのがブログです。ブログのアクセス数やフェイスブックのいいね!の数など、客観的にお客さんの反応を見ることができるからです。しかもお金がかからない。だからぼくは小さなアイデアの価値化を推進する理論として以下のモデルを提案しています。
ぼくが思うブログとは、自分の能力や情報(=コンテンツ)をインターネットで必要な方に届けるものです。
そしてブログ運営は、発信し続ける継続力、記事を書く集中力、情報を集めるキュレーション能力、新しいことを考える創造力、わかりやすく表現する伝達力など、様々な能力が必要であり、かつこれらを鍛えることができる有効なツールです。
≪ピッタリナまとめ≫
シリコンバレーで成功した「モノ」を真似るのではなく、成功した「やり方」を真似る。そうすることで、また新たな日本式の成功を得ることができるのではないでしょうか。
2013年8月16日
著書 ゆうすけ
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