芸能人も商標登録でトラブル!?芸名を変えないと独立できないの?
芸能人が所属事務所をやめて独立する場合、トラブルの原因の一つが芸名です。所属事務所が芸名を商標登録していると、許可がない限りその芸名を使い続けることができません。
先日、元モーニング娘。の加護亜依さんが事務所を立ち上げて芸能界復帰するニュースがありました。しかしどうやら前事務所が芸名「加護亜依」を商標登録しているらしく、簡単にはいかないかもしれません。
芸名を商標登録する3つの理由
ところでなぜ芸名をわざわざ商標登録するのかな~と考えてみると、どうやら3つの理由がありそうです。
1)芸名を他人に勝手に使わせないようにする
これは最もシンプルな理由です。同じ(または似ている)芸名を勝手に使われると、ファンが混乱して迷惑をかけてしまうかもしれません。また芸能人のキャラクターやブランドも崩れてしまいます。
2)芸名を他人に商標登録されて本人が使えなくなることを防ぐ
芸能人が売れはじめたとたん、他人にその芸名を商標登録されてしまうかもしれません。売れた後に改名するのはダメージが大きいので、泣く泣く芸名の使用料を払わざるを得なくなるリスクがあります。
3)所属事務所が商標登録の権利を持つことでその芸能人を管理する
芸能人もヒトの子、売れてしまうと所属事務所の言うことを聞かず、スタンドプレーに走ることもしばしば。そういうときに芸名を商標登録しておけば、勝手に芸名を名乗れないため、芸能活動自体を管理することができると思います。
「加護亜依」さんの芸名はどうなる!?
というわけで、前事務所が芸名「加護亜依」を商標登録していることをご本人も知っているようですが、本当にそうなのか気になったので調べてみました。
たしかに商標登録されていました。しかも登録したのは2009年12月11日。今から3年前くらいです。
しかし加護亜依さんがモーニング娘。を卒業したのが2004年。そして不倫騒動があったのは2009年。ということは、この不倫騒動を切っ掛けに、前事務所は芸名「加護亜依」を商標登録しておこうと考えたのかもしれません。
「加護亜依」の商標登録は、2019年12月11日まで続きます。このため芸名「加護亜依」で活動するには、前事務所の許可が必要です。
<追記 2013年8月21日>
〈速報〉「加護亜依」商標登録済みで本名使えず!?の記事によれば、父方の性に戻せば「加護亜依」は本名になるようです。
となると、商標法上、以下の2点をクリアすれば、芸名「加護亜依」を許可なく使っても文句はいわれません。
・看板とかにロゴで「加護亜依」とか表示せず、あくまでも自己紹介などとして普通に「加護亜依」をつかうこと
・前事務所とライバル関係にならないこと
前者はまだしも、後者は厳しいですね~。つまり商標登録されてても、自分の氏名をふつ~につかう分には、許可は不要です。
しかし商標登録を持っている人とライバル関係になってしまう場合は、ふつ~に使うのもダメということです。なぜなら、もともと商標登録もっている人に不利益になるからです。
やはり前事務所と和解するなり解決しないことには、芸名「加護亜依」をつかうのは厳しいかもしれません。
あの人の芸名も商標登録で揉めていた
最近では、超常現象パフォーマンスで話題になった「メンタリストDaiGo」さんも、日本メンタリスト教会との間で商標登録の問題がありました。
これは日本メンタリスト教会が「メンタリズム」、「メンタリスト」などを商標登録したため、「メンタリストDaiGo」という芸名が使えなくなるかもしれない、という問題です。
この問題が起こった当時、DaiGoさんは以下のコメントをしています。
「日本ではこの名称は僕たちが広めてきました。僕と藏本氏では考え方も違うし、広く知られている僕のメンタリズムの定義自体が崩れてしまう。商標登録が完了する前に、特許庁に意見書を提出する予定です」 (引用:2012/8/6 視聴率男DaiGoが真っ青 “メンタリスト”名乗れなくなるか?)
結局、芸名「メンタリストDaiGo」を商標登録したため(登録第5550684号)、引き続き芸名を使うことができるようになりました。
≪ピッタリナまとめ≫
いろいろと条件はあるものの、芸名も商標登録できます。芸能事務所にとって芸能人は商品となるため、簡単に手放したくない気持ちもわかります。法的に管理するなら、芸名を商標登録しておくのと一番効き目があるかもしれません。
商標登録はホコにもタテにもなります。なるべくならホコとして使わないよう、穏便に話し合って解決できるのがファンの皆さんにとっても嬉しいことではないでしょうか。
2013年8月17日
著書 ゆうすけ
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