ソニーもアップルも新しいコトバからモノづくり(イノベーション)がはじまった
発言したことが現実の世界に影響するという考えを「言霊(ことだま)」って言ったりします。なんだかスピリチュアルな感じもしますが、学術的に考えてもそうなんじゃないかと思っています。
なんでかっていうと、頭の中で考えていないことは発言にすらならないからです。つまり発言したことは自分への予言といえるかもしれません。あ、ますますスピリチュアルになってしまいましたね。。。
そこで細田高広さんの「ジョブズ、ビル・ゲイツ、井深大の未来をつくる「1行の戦略」とは?」という記事を読んで、コトバとモノづくりの関連性を考えました。
・コトバこそイノベーション(新しい価値の創造)のきっかけ
ソニーのヒット商品の先駆けとなったのが、1955年に発売されたトランジスタラジオです。これは「ポケットに入るラジオをつくれ」という、ソニー創業者の一人・井深大氏の発言からはじまりました。
当時これを聞いた役員たちは猛反対したそうですが、それでも井深氏は想いをつらぬいた結果、海外でも大評判の商品になりました。「ポケットに入るラジオ」というコトバが、イノベーションの切っ掛けになったわけです。
またアップルの「Think different」もそうです。「発想を変える」、「ものの見方を変える」という意味で、1997年のアップル・コンピュータの広告キャンペーンのスローガンにつかわれました。
クレイジーと言われようが、CEOに復帰したアップル創業者・スティーブ・ジョブズ氏の発言が、後に本当に世界を変えてしまいました。
・経営者でもマーケッターでもなく発明者のコトバが大切
発明者というと、口下手な技術者という印象が強いと思います。しかしイノベーションを起こすのはあくまでも発明者であり、経営者でもマーケッターでもありません。
言葉のプロよりも、経営者よりも、現場の担当者の方が強い言葉を提案できることも多く、彼らの言葉が最終的に採用されることもありました。私はむしろ、それこそが本来の姿であるべきだと考えています。本来、企業そのものやプロダクトの未来を語るのに相応しいのは、その領域に向き合う当事者ひとりひとりのはずですから。(「ジョブズ、ビル・ゲイツ、井深大の未来をつくる「1行の戦略」とは?」より)
ソニーの井深氏やアップルのジョブズ氏は、経営者であり発明者でもあります。だからコトバに奥深さがあり、それを耳にするとワクワクしてくると思うのです。
今の日本では、発明者が目立たない組織体制になってしまったのかもしれません。経営者でないにしても、シリコンバレーのように発明者がもっと自由に発言し発想を共有し合う環境が必要だと思います。それが日本のイノベーションにつながるのではないでしょうか。
・コトバからコンセプトやネーミングを創る
トランジスタラジオの開発に成功した後、井深氏は海外出張のとき音楽がきける小さなヘッドホン型のカセットテーププレイヤーがあったらいいなと想ったそうです。そこでソニーのもう一人の創業者・盛田昭夫氏に頼んで、「ウォークマン」の開発に成功しました。
「ウォークマン」というネーミングも、もともとは「ポケットに入るラジオ」というコトバから生まれました。つまり「歩きながら音楽を聴くという新たなライフスタイル」というコンセプトに合うネーミングです。
そして当時のソニースピリッツを学んだのがアップルです。そしてユーザーはソニーのハイスペック品よりアップルの使いやすい「iPod」を選択しました。
つまりユーザーは、モノそのものではなく、モノがおりなすコト(ライフスタイル)に価値を感じたということです。コトバを重んじたアップルに軍配が上がりました。
≪ピッタリナまとめ≫
モノづくりはコトバありき。そのコトバをより深掘りすると、コンセプトやネーミングになります。つまりコンセプトやネーミングは、一言で腑に落ちる呪文のようなもので、モノが飽和した現代には大切な考え方だと思います。
2013年7月25日
著書 ゆうすけ
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