B級グルメの町おこしで大切なネーミングと商標登録のまとめ
B級グルメといえば、安くておいしいご当地料理として知られてますが、そもそもの目的は町おこしです。歴史のある町や〇〇の生産高で日本有数の町でも、観光客に喜ばれる一品がないと、飲食店やお土産屋などにお客様がこないため、地域経済が活性しないという厳しい現状があります。
そこで各都道府県の市町村では、地場の産品をつかったご当地グルメ(B級グルメ)をつくり、PR活動に取り組んでいます。
1.B級グルメのネーミングのつくり方と商標登録の仕方
B級グルメのネーミングの王道は、「地域名+食品名」です。なぜなら地域名を覚えてもらうことで町おこしにつながるという狙いがあるからです。
本来このようなネーミングは商標登録できませんが、地域ブランドを保護するために設けられた地域団体商標制度を活用することで、申請が認められます。今までは地域団体商標制度は、一部の事業協同組合にしか認められていませんでしたが、各地域の商工会やNPO法人なども認められるようになるようです。
特許庁が提供している資料に以下のような文章がありました。
・・・ご当地グルメなど伝統的に地域ブランドと認識されていなかったものが、「新たな地域ブランド」として注目され、その普及活動が各地域で活発になされており、地域の活性化や地域産業の発展に貢献している。しかし、現行の地域団体商標制度は、このような「新たな地域ブランド」の担い手である商工会、商工会議所、特定非営利活動法人等を登録主体としていないため、「新たな地域ブランド」を十分に保護することができないとの指摘がある。そこで、これらの団体を地域団体商標の登録主体とすること等により、更なる地域の活性化につなげる必要もある。(引用:産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会報告書「新しいタイプの商標の保護等のための商標制度の在り方について(案)第2頁)
つまり町おこしのために、地域団体商標制度のハードルを下げることになります。したがって今までよりB級グルメのネーミングを商標登録しやすくなると考えられます(時期は未定です)。
なぜハードルを下げるのかというと、ご当地グルメのネーミングを真似する業者が増えているからです。ご当地グルメは町おこしのためにやっているので、各地域の食材をつかったり、つくり方を統一したりするルールがあります。こうすることで地域の食材が売れ、経済が潤います。
しかしご当地グルメの話題性に便乗する業者はルールを守りません。また漢字をひらがなにしたりカタカナにしたり、「〇〇風」とかにして、真似してないように見せかけてきます。このため町おこしに貢献しないばかりでなく、おいしくない食事を販売してご当地グルメのブランドに傷をつけているのです。そこで各地域の商工会や団体がネーミングを商標登録して守れるようにすることが必要になりました。
なお「地域名+食品名」にこだわらず、ダジャレっぽくしたり、当て字をつかったりするのもありです。
2.主なB級グルメのネーミングと商標登録のまとめ
では各地域のB級グルメはどのようなネーミングにしているのでしょうか。商標登録されているかどうかも含めてまとめました。
十和田バラ焼き(商標登録第5461222号)
引用:十和田バラ焼き
「十和田バラ焼き」は、牛バラ肉とたまねぎとを秘伝のタレで味付けした鉄板焼きメニュー。「バラ焼き」はもともと三沢市が発祥。青森県十和田市の十和田商工会議所が所有するネーミング商標です。2012年1月6日に商標登録。
三春グルメンチ(商標登録第5471976号)
引用:三春グルメミンチの取材VTR
「三春グルメミンチ」は、ピーマンの生産量が全国で2位の福島県三春町が企画したピーマン入りメンチカツ。「グルメ」と「メンチカツ」とを組み合わせたもので、三春町商工会が所有するネーミング商標です。もともとのネーミングは「イケメンチ」でしたが、先に商標登録されていたため「グルメンチ」に改名したそうです。2012年2月17日に商標登録。
北条米スクリーム(商標登録第5217156号)
引用:北条米スクリーム
「北条米スクリーム」は、茨城県つくば市でつくられる北条米(ほくじょうまい)を原料としたアイスクリーム。北条米(まい)とアイスクリームとを組み合わせて「北条米スクリーム」としたところがネーミングのポイント。2007年夏からはじまった企画商品。2009年3月27に商標登録。
宇都宮餃子(商標登録第4546706号)
引用:宇都宮餃子
「宇都宮餃子」は、餃子で宇都宮を活性させようと目指した協同組合宇都宮餃子会が所有するネーミング商標です。2002年2月22日に商標登録。
富士宮やきそば(商標登録第4803585号)
引用:富士宮やきそば
「富士宮やきそば」は、静岡県富士宮市の特定非営利活動法人まちづくりトップランナー本舗が所有する地域団体商標です。「富士宮やきそば」のネーミングをつかうには、使用料の支払いばかりでなく、富士宮市内の製麺会社との仕入れ契約、調理方法の規定に従うなどのルールがあるようです。2004年9月17日に商標登録。
横手やきそば(商標登録第5546212号)
引用:横手やきそば
「横手やきそば」は、秋田県横手市の協同組合横手やきそば暖簾会が所有する地域団体商標です。「焼きそば」ではなく「やきそば」にすることで、地名「横手」が目立たせています。2012年12月28日に商標登録。
まだ商標登録はされていない申請中のものもあります。
八戸せんべい汁(商願2011-017239)
引用:八戸せんべい汁
「八戸せんべい汁」は青森県八戸市周辺の郷土料理で、八戸せんべい汁研究所が商標登録の申請をしています。スムーズに商標登録できなかったようで、現在(2013年5月7日時点)も申請中です。
甲府鳥もつ煮(商願2011-036207)
引用:甲府鳥もつ煮
「甲府鳥もつ煮」は、ニワトリのモツを砂糖と醤油で照り煮したもので、山梨県甲府市の特定非営利活動法人こうふ元気エージェンシーが商標登録の申請をしています。スムーズに商標登録できなかったようで、現在(2013年5月7日時点)も申請中です。
勝浦タンタンメン(商願2013-016208)
引用:勝浦タンタンメン
「勝浦タンタンメン」は、ラー油の辛さとたまねぎの甘さが特徴的で、勝浦タンタンメン船団企業組合が地域団体商標登録の申請をしています。「勝タン」の愛称でも知られています。2013年3月7日に申請。
まとめ
B級グルメのネーミングを「地域名+食品名」にするならば、地域団体商標制度を活用することをオススメします。
しかしハードルが下がる時期(法改正のタイミング)が未定なため、「三春グルメンチ」や「北条米スクリーム」のようにダジャレや当て字をつかったネーミングで商標登録することも一つの案です。
大切なことは、馴染みやすく愛されるネーミングにすることではないでしょうか。
<参考>
〇産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会報告書「新しいタイプの商標の保護等のための商標制度の在り方について(案)
〇守れ「ご当地グルメ」商標法改正へ 条件緩和でNPOなど登録可能に ←リンク切れ(2014/3/13追記)
〇B級グルメに便乗待った 商標で保護、作り方研修会も ←リンク切れ(2014/3/13追記)
2013年5月7日 著書 ゆうすけ
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