2013年Web&モバイルマーケティングEXPOから学ぶ4つの活用ポイント
毎年5月頃に東京ビックサイトで行われるソフトウェアやITの総合展示会に行ってきました。今年は5月8日(水)~10(金)の開催です。
展示内容としては、ソフトウェア開発環境展、組込みシステム開発技術展、情報セキュリティ EXPO、データセンター構築運用展、スマートフォン&モバイル EXPO、通販ソリューション展、データウェアハウス&CRM EXPO、データストレージ EXPO、Web&モバイル マーケティング EXPO、クラウド コンピューティング EXPO、ワイヤレスM2M展が同時開催されているため、ちゃんと見ようと思ったら1日では足りないくらいの規模です。
そこで今回は、ネーミング戦略にも関係するWeb&モバイル マーケティング EXPOを視察し、中小企業の経営者や起業家の皆さんに使えそうなサービスや役立ちそうな情報を4つの活用ポイントとしてまとめました。
1.ソーシャルメディアを攻めと守りに活用する
ソーシャルメディアといえば、フェイスブックやツイッターが有名ですが、これらが今やマーケティングツールとして使われていることは既にご存知だと思います。では具体的にどうやって活用すべきなのか?について学びました。
一つは“攻め”の活用です。ここでいう“攻め”とは、フェイスブックやツイッターで投稿された商品やサービスに関する書き込みを集めて、これらがどのような内容かを分析して商品企画に活かすことをいいます。これについて、ある会社のブースではロッテアイス「クーリッシュ」の事例を説明していました。
発売当初、「クーリッシュ」のキャッチコピーは「なめらか新食感飲むアイス」だったそうです。ところがこれがさっぱり売れませんでした。おそらく商品を食していないうちから、なめらか・新食感・飲む、というキーワードがイメージできなかったと予想できます。
そこでロッテは主婦やビジネスマンの感想を集めたところ、「ゴロゴロしながら食べても垂れない」とか「仕事しながらでも食べられる」など、「〇〇しながら」というコトバこそお客様に商品の良さが伝わるキーワードであることを発見しました。それから「〇〇しながら」というキーワードをキャッチコピーにいれたところ、大ヒットしたわけです。
実際、クーリッシュは今年で発売10周年を迎え、その新しいCMでは俳優の遠藤憲一さんと女優の佐々木希さんがオフィスでゴロゴロしながらクーリッシュを食べているシーンがあります。
もう一つは“守り”の活用です。ここでいう“守り”とは、フェイスブックやツイッターで投稿された商品やサービスに関するクレームやバッシングの内容から商品の改良や宣伝の変更を行うことをいいます。
つまりソーシャルメディアが発達した分、風評被害も起こりやすいということです。悪いウワサはあっという間に広がります。そのためいち早く対策をすることが大事になってきます。
ソーシャルメディアの書き込み内容を分析するサービスはたくさんありますが、コストをかけなくても、ツイッターのキーワード検索で流行りのキーワードを集めることは簡単にできるので“攻め”の活用にオススメです。“守り”の活用には、商品やサービスの認知度が高まってからでも遅くはないと思います。
2.無料ツールをリンクさせて本業の集客に活用する
無料ツールが集客に欠かせない時代になってきたかもしれません。情報がインターネットで簡単に手に入るため、やろうと思えばなんでも自分でできてしまうからです。例えば士業のサービスのうち、申請書類の作成代行の価値がどんどん低くなってきているように思います。
そんな時代にあわせて、会社設立の申請書類を自動で作成してくれるウェブページを無料ツールとして提供しているところもあります。本業は、会社設立に必要な法的サービスや起業コンサルティングです。つまり登記書類を無料で作らせてあげることで見込み客を集め、その後さらに複雑な手続や詳しい相談を有料にする、という仕組みです。これも2ステップマーケティングの一つです。
書類の自動作成ツールのロジックは、例えば、ウェブ上で各記入欄に文字を入力する→書類作成ボタンをおす→所定のフォーマットに入力した文字が書かれたPDFデータを自動でダウロードする、という感じです。そんなに複雑ではないので、集客ツールとして投資するものありではないでしょうか。
3.ゲーミフィケーションをサイトのアクセスアップに活用する
ゲーミフィケーション(Gamification)とは、心理学でも研究されているほど今ホットなキーワードです。マーケティング用語として説明すると以下のようになります。
データサイエンスから物語ゲーミフィケーションとは、マーケティングの手法の一種で、ゲームが本来の目的ではないサービスにゲーム的要素を組み込むことで、ユーザーのモチベーションやロイヤリティを高めることである。(引用:ゲーミフィケーションとは 「ゲーム化」 (Gamification): – IT用語辞典バイナリ)。
つまり本人はゲームをしているつもりだけど、実は知らず知らずにちゃんとサービスを受けているわけです。サービスを提供する側にとってもスムーズに集客できるため注目されています。
例えばサイトのアクセス数をアップさせるためのゲーミフィケーションとして、サイトにアクセスする度にポイントを加算したりアイテムを与えたりし、ある一定の数量を超えるとレベルアップして特別なサービスを受けられたり記念品をあげたりする仕組みを提供しているところもあります。発展形としては、サイト内のページを順番に見てクイズに答えなければアイテムがもらえず次に進めないプロジェクト方式もあります。
こうすることで、サイトへの誘導がごく自然にできます。またこのようなゲーミフィケーションの仕組みを子ども教育の一環に取り入れると、自立心も芽生えるようです。
簡単にできるゲーミフィケーションでは、例えば「トータルアクセス数1万人まであと〇〇〇人です。1万人目の方にはビンゴ賞をプレゼント!」という手法もあり、昔から行われている王道です。
4.ウェブマーケティングでネーミング戦略を活用する
今回の視察でオモシロかったネーミングをご紹介します。やはりネーミングによる集客効果はあるようです。
フルサポ集団eレンジャー
通販の物流会社のサービスにオモシロいネーミングをつけたところ、お客様に覚えていただいているということです。
CACHATTO(カチャット)
社内LANに「カチャッと」と設置するだけで使えるサービスというのが由来だそうです。ITが苦手な人にとっても簡単に使えそうなシズル感あるネーミングです。
スマレジ
レジの画面やキャッシュボックスがなくてもスマートフォンやタブレットでレジ打ちができるサービスです。バーコードリーダーとセットでつかえます。スマートフォンとレジを組み合わせたわかりやすい省略形ネーミングでです。
パタパタメール
パタパタと折りたんだダイレクトメールのネーミングです。わかりやすさ一番です。
まとめ
ウェブマーケティングの進化のスピードは速いため、常にキャッチアップして生の情報を入手することをオススメします。また大手企業向けのサービスでも、中小企業や起業家などスモールビジネスに置き換えることはできるはずです。
ネーミングもブームのキーワードを組み合わせるなど時流にのった攻めと守りの戦略を行えば、マーケティングに大きな効果をもたらします。
<参考>
ソーシャルメディアリスニングツールの攻めと守り-株式会社ホットリンク / ゲーミフィケーションとは 「ゲーム化」 (Gamification): – IT用語辞典バイナリ / 会社設立無料サポートサービス「タダダ」 / ゲーミフィケーションで自社Webサイトのファンを増やす「Sprocket」 / フルサポ集団eレンジャー / CACHATTO(カチャット) / スマレジ / パタパタメール
2013年5月10日
著書 ゆうすけ
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