商標登録の申請書が誰でも簡単に書ける8つのステップ【動画有】
ネーミングを決めるとき、他人の商標登録とかぶってないか判断することはとても重要です。しかし未経験者が安易に判断するのは危険です。そのため専門家に判断してもらうか、または商標登録の申請をして特許庁に判断してもらう必要があります。
ここで特許庁の判断の結果、商標登録された場合、他人の商標登録とかぶっていないことになります。一方、商標登録されなかった場合、他人の商標登録とかぶっている、または誰も商標登録できない一般名称であることになります。したがってとにかく商標登録の申請をし、特許庁に判断してもらうのもありです。
そこで特許庁が提供している解説動画を見ながら、誰でも簡単に商標登録の申請書がつくれる8つのステップをまとめました。
なお動画を見るときは「かんたん商標出願講座」をひらき、ピンク色のスタートボタンをクリックしてください。ちなみにこの動画はウィンドウズ対応です。 また「かんたん商標出願講座」をひらくと自動的に動画が再生されますが、一度停止してはじめから見たいときは、左下の「出願書類の作成」をクリックします。
1 商標登録の申請書の雛型をダウンロードする
まず申請書(願書)の雛型(フォーマット)をダウンロードします。ダウンロードするときは、「産業財産権相談サイト」をひらいてください。
(1) 「権利の種類ごとに調べる」の「商標」の欄のうち、「各種申請一覧」をクリックします。
(2) 「商標に関連する申請書一覧(紙手続の様式) 」をクリックします。
(3) 「1.願書等様式(通常出願)」→「(1)通常出願」のうち、「商標」の PDF版かWord版を選択してダウンロードします。
(4) ダウンロードした申請書の雛型です。
2 申請書を作成する
ダウンロードした申請書の雛型が左側、完成した申請書が右側です。これらをならべると、雛型のどこをどうかえればいいか一目瞭然です(赤字部分が自分で書くところです。)。
なお動画では申請書の上から順に解説していますが、特許印紙の計算と貼り付けを最後にすると失敗のリスクを減らせます。また申請書の作成は、パソコンでも手書きでもどちらでも大丈夫ですが、パソコンの方が修正できるのでいいです。
2-1 雛型の無駄な部分を削除する。
まず右上の様式見本、【商標登録を受けようとする商標】の四角枠内の文字と右側の文字を削除します。
2-2 【書類名】、【整理番号】、【提出日】、【あて先】を書く。
(1)【書類名】は、「商標登録願」のままで大丈夫です。
(2)【整理番号】はあってもなくてもどちらでもかまいません。商標登録をたくさんするなら、整理番号をつけておくと便利です。
(3)【提出日】は、特許庁の窓口に直接提出する場合は提出する日、申請書を郵送する場合は郵便局に投函する日を書いてください。
(4)【あて先】は、「特許庁長官 殿」のままで大丈夫です。
2-3 【商標登録を受けようとする商標】を書く。
【商標登録を受けようとする商標】は、四角枠内(8cm×8cm)に以下のパターンで書きます。
a 直接手書きする
b 印刷したものをハサミで切り取ってのり付けする(この場合、枠線は消します。)
c イメージデータを挿入する。※パソコンで作成する場合のみ
2-4 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】を書く。
区分は全部で1~45類あり、1~35類は商品(たとえば、「ラーメンのめん」などのモノ)、36~45類は役務(たとえば「ラーメンの提供」などのサービス)です。
(1) 「特許庁電子図書館「IPDL」→「商標検索」→ 「7.商品・役務名リスト」をクリックします。
(1)-1「商品・役務名」に「ラーメン」と入力して検索した結果を調べ、どのような商品名が適切かあたりをつけます(ここでは例として、「韓国風ラーメンのめん」にします。)。
(1)-2 次に「商品・役務名」に「ラーメン 提供」と入力して検索した結果を調べ、どのような役務名が適切かあたりをつけます(ここでは例として、「ラーメンの提供」にします。)。
(2) 「類似商品・役務審査基準【国際分類10-2013版対応】」(2013年4月時点の最新版)をひらき、(1)-1と(1)-2であたりをつけた区分(30、43類)にそれぞれの商品・役務(韓国風ラーメンのめん・ラーメンの提供)が適しているかを確認します。
(2)-1 第30類には、「加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料」と書いてあるため、あたりは正しそうです。内訳をみると、「穀物の加工品」に「中華そばの麺」が含まれています。
(2)-2 第43類には、「飲食物の提供及び宿泊施設の提供」と書いてあるため、あたりは正しそうです。内訳をみると、「飲食物の提供」に「うどん又はそばの提供」が含まれています。
(3) (2)であたりがついたら、申請書に具体的な指定商品又は指定役務を記載します。ちなみに(1)であたりをつけた指定商品又は指定役務(この例の場合、「第30類 韓国風ラーメンのめん」と「第43類 ラーメンの提供」)をそのままコピーアンドペーストしても問題ありません。また指定商品がたくさんある場合は、それぞれを全角カンマ(,)で区切ります。
2-5 【商標登録出願人】を書く。
(1) 【識別番号】は、はじめて商標登録を申請する場合は持ってないため削除します。1度でも申請したことがあれば、識別番号を書くことができます(番号がわからなくなったら特許庁に問い合わせれば教えてくれます。)。
(2) 【住所又は居所】は、自宅か会社の住所を書きます。
(3) 【氏名又は名称】は、個人名か法人名を書きます(個人事業主の場合は個人名)。また個人名を書いたときは個人の印、法人名を書いたときは法人の印を押します。なお㊞マークと重ならないように押してください(重なってしまうと印が見えにくいため特許庁から手続補正指令がきます。)。法人名を書いた場合、その下に【代表者】の欄を設けて、代表者の氏名を書きます。
(4) 【電話番号】は、自宅、会社、携帯電話など、連絡がつきやすい番号を書きます。
2-6 特許印紙代を計算する。
特許印紙は書類内の【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】の数によってかわります。計算する場合は、「商標登録の申請(出願)料金を簡単に調べる5つのステップ」をご活用ください。
2-7 特許印紙を買って申請書に貼る。
(1) 特許印紙は大きい郵便局で買えます(小さい郵便局では扱っていない場合がありますのでご注意ください。)。買うときは、「〇〇〇円分の特許印紙をください。」といえば大丈夫です。
(2) 特許印紙は雛型の左上の四角枠の上から横に並べて貼り付けます。
(3) 四角枠の下の( )円には、特許印紙の合計額を書きます。
まとめ
申請書の作成は誰でもかんたんにできます。重要なのは、どんな商標(ネーミング、ロゴ、イラストなど)を、どんな指定商品(モノ)・指定役務(サービス)に使うか?です。ここをしっかり検討しないと、後々大変なことになりかねません。
最後に、8つのステップをまとめておくので、チェックリストとしてご活用ください。
1 商標登録の申請書類の雛型をダウンロードする
2 申請書を作成する。
2-1 無駄な部分を削除する
2-2 【書類名】、【整理番号】、【提出日】、【あて先】を書く。
2-3 【商標登録を受けようとする商標】を書く。
2-4 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】を書く。
2-5 【商標登録出願人】を書く。
2-6 特許印紙代を計算する。
2-7 特許印紙を買って申請書に貼る。
2013年4月23日 著書 ゆうすけ
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