人事部のための特許発明者の検索方法
優秀な社員の確保はどの会社にとっても重要なテーマです。どこかの会社に転職してしまうリスクはつきもの。転職支援やヘッドハンティングの会社も情報収集しているでしょう。
そのため、たとえ従業員だとしても、正当な評価のみならず、適切な対応が必要です。でも、適切な対応をするには、従業員の能力や成果を把握しなければなりません。
ただ、大きい会社ほど、部門毎の垣根(聖域)があって、情報共有がされておらず現状把握もままならないこともあるのではないでしょうか。特に、技術者のスキルチェックは、技術者以外(例えば、人事部門)の人には難しいかもしれません。
そこで、情報共有ができていない人事部が技術者の成果を客観的に把握するツールとして、特許庁のデータベースが使えるかもしれません。
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誰でも発明者を調べられる
知的財産権の活用に力を入れている会社が多い。しかし、どの特許を使って収益があがり、それは誰が創出したのかを分かっている経営トップはどれだけいるだろうか。まして、知財の責任者は良く分かっていても、人事がそれを理解して人材活用につなげているケースはあまり聞いたことがない。米国の有力ベンチャーには、特許を調査した上で人材にアプローチをかけている企業もあるという。
<引用:2016/2/1 「組織には逸材が埋没している」 by WEDGE Infinity>
日本の特許庁が無料提供しているデータベース(J-PlatPat)で、誰がどんな特許を持っているか(出願したか)を検索することができます。
発明者で検索すると、その人が転職者でも、転職前の会社でどんな発明をしていたか?転職後の会社でどんな発明をしているか?を比較することもできます。
調べ方は簡単です。J-PlatPatの「特許・実用新案テキスト検索」を開きます。そして、「検索項目」のプルアップ(プロダウン)メニューから「発明者」を選択し、検索キーワードに発明者の氏名を入力するだけです。
あ、種別のチェックボックスもご注意ください(「特許公報」にチェックを入れれば、登録済みの特許もリストアップされます)。
大会社の従業員なら、発明者として特許の公報に名前が載ることは名誉でしょう。一方、中小企業では社長が発明者だったりもします。ただ、特許の資料に名前がのっても、その特許の持ち主(特許権者)になれるわけではありません。
でも、会社としてはちゃんと発明者を認定し、特許の資料に名前をのせるだけじゃなく、会社への貢献に対するご褒美をあげることも大切ではないでしょうか。発明者のモチベーション低下は、会社経営の死活問題になりかねません。
だから、技術部門では発明者を明確にする仕組み(部下の発明を上司が横取りしない組織?)、人事部門では発明者の貢献度を把握し評価につなげる仕組みが必要でしょう。
≪まとめ≫
どこの会社の誰がいつどんな発明の特許をとったか(出願したか)は調べられます。ただ、特許の内容が公開されるのは、特許出願してから1年半後なので、すぐにはわかりません。特許に関連する事業が好調だったりすると、その発明者はヘッドハンティングの対象にもなりかねませんので、人材流出や情報漏えいのリスクには注意が必要です。
2016年2月4日
著者 ゆうすけ
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