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知財活動支援は行き届いていない?2014年の特許出願件数のうち中小企業は13%

公開日: : 商標, 意匠, 特許

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先日、特許庁から「特許行政年次報告書2015年版」がリリースされました。特許出願件数などは2014年の集計結果となっています。ぼくも弁理士になってから毎年チェックしています。

知財関係者以外の人が見てもデータの意味がよくわからないかもしれませんね。でも、かなりボリュームあるため、少しずつご紹介していきたいと考えています。

そこでまずは、出願件数から見る中小企業への知財活動支援の実態について考えました。ちなみに、中小企業の件数は約386万社で、日本国内の企業件数の99.7%です(残りは大企業)。

photo credit: Arrows showing up (Blender) via photopin (license)

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出願件数全体に占める中小企業の割合

特許出願 13.2%(35,007件)
意匠出願 34.1%( 8,507件)
商標出願 49.5%(49,514件)

<引用:特許行政年次報告書2015年版「中小企業・地域における知的財産活動」>

これは、2014年に日本国内に出願された特許、意匠、商標の総数のうち、中小企業の割合を示すものです。

ここでおさらいですが、特許は技術的なアイデア、意匠は商品のデザイン(形状)、商標は商品名やマークを権利化して守ることができるものです。

そして、上の統計からみると、中小企業により出願された特許は全体の13.2%、意匠は全体の34.1%、商標は全体の49.5%となります。詳細は引用元をご覧ください。

このデータで感じることは、中小企業の特許出願件数が、企業件数の割合(日本国内の99.7%が中小企業)にしては少ないことです。

知財活動の意義が伝わっていない

中小企業の特許出願件数が増えない理由として、いくつか考えられるのは以下です。

①特許を出すつもりがない
➁資金がないため特許を出せない
③特許を出せるかどうか判断していない(気づかない)
④自社品を作れないため特許を出せない
⑤なんらかの制約(親会社との関係等)のため特許を出せない

このうち、理由として妥当なのは①のみです。良くも悪くも意思(ヤル気)がなければ特許は出せませんし。また、極秘の技術なら特許を出さない(非公開のままの)ほうがいいです。

一方、②~⑤が理由で特許を出せないのは残念です。まず②の解決方法としては、助成金やクラウドファンディングといった資金調達の方法があります。

<参考>東京都の会社が特許や商標の申請・調査でお得な助成金・補助金まとめ
<参考>シフトし続けるスタートアップ起業家に学ぶハードウェア開発と特許・商標ダンドリ戦略

次に、③の解決方法としては、弁理士の無料相談窓口があります。無料相談窓口にいる弁理士は、物腰のやわらかい人が多いと思うので、気軽に利用してみてください。

<参考>特許相談も初回無料の時代!弁理士は実績と提案力と相性のバランスで選ぼう

また、④の解決方法としては、3Dプリンターやその提供施設(都内なら、DMM.makeとか)があります。試作品が昔より安く作れるようになったし、いろんなアイデアを共有できるようになりました。

<参考>モノづくりでこまったら近くの自治体へ!3Dプリンターと補助金と弁理士の活用

最後の⑤ですが、これには政治的な圧力があったりして判断は難しいと思いますが、自社のアイデアならちゃんと特許で保護した上で、親会社の要求を検討するスタンスにすべきです。泣き寝入りしたり、ましてやちゃっかりパクられたりしないように注意してほしいです。

たとえば部品をつくっている中小企業では、新しい部品を開発し、特許を出願して公開になる前に顧客である装置メーカーに見せることがある。それを見た装置メーカーから改良要求が出て、改良して無事に納品したとしても、気づいた時には、その装置メーカーに用途特許を全部登録されてしまい、その部品は他の装置メーカーに売れなくなるというような失敗が多いのである。(p38)

<引用:「知的財産戦略 技術で事業を強くする」丸島儀一著>

このように知財活動の支援先や対策はいろいろあるものの、活動自体の有効性があまり伝わっていないように感じます。それはひとえに、知財活動の意義がまだまだ伝わっていないからではないでしょうか。

ちなみに、意匠と商標の出願件数の割合は妥当と感じています。特に、中小企業で商標が関係ないという会社はほぼゼロのはずです(少なくとも社名は大切な商標です)。だから、企業全体から言うと、もっと増えてもおかしくないでしょう。

≪まとめ≫

誤解してほしくないのは、特許を出すべきというわけではないということです。極論を言えば、特許は出さなくても問題ありません。大事なのはその理由です。②~⑤の理由で特許を出さないというのは、企業の基礎体力(考える力や情報の共有意識)が不足していると言えるかもしれません。特許をはじめ知的財産を築く文化をつくることを検討してほしいと感じています。

<参考>知財戦略は付け焼刃じゃ効果なし!本当に大切なのは知財活動の文化をつくること

2015年6月15日

著者 ゆうすけ

知的財産戦略

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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