知財戦略は付け焼刃じゃ効果なし!本当に大切なのは知財活動の文化をつくること
知的財産(以下、「知財」)のニュースがよく流れるようになったからだと思いますが、知財に詳しくない人からもいろんな質問をされるようになりました。
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知財活動の文化が営業利益率に差を生む
ぶっちゃけ、知財のニュースで話題になるのはトラブル系(アイデアをパクラれた、情報が漏れた等)が多いんですけど、そういう時代背景にあると感じています。
日本にはじめて特許制度が登場したのは1871年(明治4年)で、140年以上の歴史。産業の発達や技術水準の向上により、特許に対するあるべき姿も変わってきているはずです。
そのため、もはやビジネス上、知財を避けては通れなくなってきています。知財を避けてきた会社と地道に取り組んできた会社との差がますます大きくなるかもしれません。
また、中小企業においては、特許の有る無しで従業員一人当たりの営業利益率が約3倍の差があるなんていうデータもでています(下記左画像)。
<引用:知財金融ポータルサイト内「評価書活用のメリット」>
このデータだけを見ると、特許をもってれば儲かると勘違いされそうです。だから、知財戦略とうたって目的のはっきりしない特許出願をし、その気になるのはマズイです。
技術のオープン・クローズ戦略も、今では知財戦略の具体策になってますが、血のにじむような商品開発とマーケティングがなければ、オープンだのクローズだのしたところで、付け焼刃でしょう。
本当に大切なのは、会社や事業部内で知財活動の文化をつくることです。アイデアを共有し商品開発の質を高める活動、ライバル会社の知財情報を収集しモデリングする活動など。
つまり、知財活動の文化をつくることで、組織内のコミュニケーションに流動性が生まれ、その結果としていい商品開発やマーケティングにつながり、意義ある特許の取得が実現するはずです。
だから、従業員一人当たりの営業利益率に約3倍の差が生じるのも、知財活動の文化の有る無しが大きな要因だとぼくは考えています。特許がモチベーション維持の動機になっているのかもしれません。
≪まとめ≫
知財戦略は、知財活動の文化が前提です。突発的にライバル会社から警告を受けたから対策するとか、一先ずリリース前に特許を出すとか、そういうのは応急措置に過ぎません。知財活動の文化を通じて、売れる商品開発や健全な商品開発を行い、その結果として会社に利益をもたらすわけです。
2015年5月30日
著者 ゆうすけ
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