弁理士はなぜマイナーなのか?教育なくして特許戦略は会社に根付かないでしょ!
昨日(2015年1月22日)のベンチャー大賞の懇親会でもやっぱり言われたんです。「弁理士さんって会ったことなかった!」とか、「そもそも何する人ですか?」とか。
弁理士の仕事は特許の書類づくりがメインなので、外部活動する人は少ないんだと、ぼくは感じています。でもその傾向は、弁理士がマイナーな原因の一つとも考えられませんか?
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弁理士ってマーケィングできてますかね?
「最良のマーケティングは教育である」「大切なのは、市場をどう捉えるか」。故・スティーヴ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が、Appleから追い出された後に設立した新会社NeXTで、社内向けに行った「NeXT」のマーケティングに関するプレゼンを書き起こし。当時のパソコン市場を細かく分析し、参入の可能性を見いだしたジョブズ氏が、競合に勝つためのマーケティング手法について語りました。
<引用:2015/1/21 ログミー「スティーブ・ジョブズが24年前に語った、最強のマーケティング術 「NeXT」はいかにして革新的成功を収めたか?」>
昔(たぶん1990年代くらいまで)はだまって座っていても仕事が常にあったと聞きます。弁理士の業界にも標準料金というのがあったんです。みんな同じ値段だから、価格競争も起こらなかった。しかも今のようにパソコンがないので、タイプライターで文字を入力する作業も費用に含まれていました。それくらい特許の仕事は儲けやすかったわけです。
でも十数年くらい前から、標準料金の撤廃(2001年1月)、パソコンの普及、インターネットの活用により、弁理士の仕事も自由競争に突入しました。さらに全体的に業務のスピードが速くなり、大手企業も特許への投資を抑えて内製化しはじめたんです。つまり、わざわざ外部の弁理士に頼む理由がなくなった、ともいえます。
そこで弁理士の業界では、中小企業の支援という大義名分をもって、今までの手続代理のみならず、コンサルティングも行うようになったんです。中小企業の成長が日本経済に大きな影響を与えるという国の狙いにもマッチしています。2003年には小泉内閣により知的財産立国の推進がうたわれ、当時は追い風ムードになりました。
ところが実際には中小企業どころか、中堅企業にすら特許戦略は根付いていないのではないでしょうか。そもそも特許をだす商品や技術力があるのか?なぜ特許を出すのか?他社と比較して独自化できているか?その特許の寿命(市場での売れ頃)は?などを然るべきタイミングでスピーディーに行う必要があるものの、現実はそううまくいってないようです。
特許戦略のニーズの高まりは感じます。メディアでも特許の事件がとりあがられるようになったからです。以前よりもユーザー自身が特許ってどうなの?必要?不要?特許による事業戦略のメリットは?なんて考える切っ掛けが増えたんじゃないでしょうか。でもその先はどうかというと、やはり他人事にしか見ていないように感じます。
国もメディアも活動し、さらに某企業では人工知能で特許文献を検索するなんていう事業まではじまった時代にもかかわらず、中堅企業以下に特許戦略がつたわっていない大きな理由は、教育不足なんじゃないかと思うんです。まだまだ特許はハードルが高く、iPS細胞や青色LEDのような大発明しか特許にならないと勘違いされているかもしれません。
≪まとめ≫
教育っていうとえらそうですが、もっと発信する必要があるんじゃないでしょうか。発信の仕方としては、リアルが無理ならネットでもいいじゃないですか。ネットの場合は発信しやすいだけです。ユーザーに役立つ情報発信。これがもっと増えれば、特許戦略が会社に根付くと感じています。
2015年1月23日
著者 ゆうすけ
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