これから10年生きる弁理士に必要な3つのセンス
2014年現在、弁理士の登録者数は約1万人。そのうち約20%が企業に勤めている弁理士、残りの約80%が特許事務所などに勤めている弁理士です。
昔は企業に勤める弁理士はめずらしかったんです。なんでかっていうと、特許事務所に勤めたほうが方が儲かるから。でもそれはもう昔の話。特許事務所の従来のビジネスモデル(企業から特許出願など案件を受注する代理業務)は崩れつつあるようです。
今後はより会社経営や事業戦略に知的財産の活動を提案できる弁理士が必要なんじゃないかと想定しています。そこでこれから10年生きる弁理士に必要な3つのセンスを考えてみました。
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■ 生きる勘をまず持たないと駄目
いい商売のアイデアがあっても、どこでも儲かるかといったらそうではない。「場」がないといかん。
・・・
人間には、おのおの持ち場があるということですよ。自分に適した土地かどうかを見る、生きる勘をまず持たないと駄目ですわ。<引用:2014/11/28 東洋経済オンライン「シャープの全盛期を支えた「独自性」とは?」>
クリエイティブ
モノづくりと知的財産は密接な関係があります。製品の企画や設計開発において、他社のものと比べてウリはどこか?仕組み?ノウハウ?デザイン?それは製品によっていろいろあります。
そのような点を知的財産の観点からコメントできれば、オリジナル性の高いモノづくりができると思うんです。そのためには弁理士がクリエイティブの勘所を持っておくことが大事ではないでしょうか。
最終的に、どの部分を特許などで守るべきか?どの部分は自社内で極秘に管理すべきか?などをクリエイティブな観点も含めてジャッジすることが必要でしょう。
プロジェクトマネジメント
今までの弁理士の仕事は、スポット対応がほとんどでした。特許の出願の依頼を受けたとき、特許になるよう審査官とやり取りするとき、他社の特許に侵害してないか調査するときなど。
しかし製品開発と特許への取り組みをちゃんと並行して考えているお客さんはなかなかいません。多くの場合、製品開発終了後に特許活動のダンドリを考えます。
そのため弁理士も製品開発の工程や進捗を踏まえて特許活動のダンドリを提案することが必要だと思うんです。どのタイミングで先行技術調査や特許出願を行い、その結果を製品開発にどうリンクさせシナジーを生むか?などが大切なポイントではないでしょうか。
コミュニケーション
そうはいってもお客さんが何を望んているかを知ることが一番重要。そんなことやんなくていいよって思ってるかもしれないし、むしろ早く教えてほしかったって言われるかもしれないし。
従来の弁理士はどちらかというと受け身系が多いと感じています。頼まれたことを120%がんばるって感じ。お客さんのかゆいところに手が届くようなサービスの仕方はあまりされていないように思うんです。
傾聴力っていうか対話力っていうか、結局は話し合いが全てではないでしょうか。どんなビジョンを描き、そのために何をしようとしているのか?それを知らないかぎり知的財産活動の提案はありえません。
≪まとめ≫
冒頭で引用したシャープの佐々木正元副社長のコメントが印象的だったので今回の記事を書こうと思いました。「生きる勘」、大事だと思います。資格を活かすも殺すも自分次第。能力、センス、強み、性格などを自覚し、どう生きていくか?そしていろんな人たちとどう共生していくか?を考えたほういい時代ではないでしょうか。
2014年11月29日
著者 ゆうすけ
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