将棋の駒でいうと「歩兵」のような弁理士でありたい
先日、ご縁があって某上場企業の社外役員に就任することになりました。弁理士としては異例の人事であり、長年キャリアを積んだ大先生ならまだしも、ぼくのような若手を起用するという事例は今まで聞いたことがありません。それくらい光栄なことである反面、その責任の重さをひしひしと感じています。
そうはいっても弁理士としての働き方には自信があり、きっつい仕事もなんだかんだいってクリアしてきました。そして過去を振り返ると、ぼくの立ち振る舞いは、将棋の駒でいう「歩兵」だったように思うんです。
「歩兵」は非力だが無きゃ負ける
「歩兵」は全部で9つあり、将棋の駒では最も数の多い種類です。そして「歩兵」は1回に1マスの前進しかできません。後退も横移動もできません。だから将棋の駒の中では最も非力です。
しかし将棋には「歩のない将棋は負け将棋、所詮歩がなきゃ成り立たぬ」という格言があるくらい、「歩(歩兵のこと)」は重要な役割を持っています。それは目の前の相手の駒を確実に取るということ、またときには王様の壁になることです。
会社経営において知的財産への対応は、人事や技術開発やマーケティングに比べて優先順位は低いです。しかしそこを蔑ろにしたりバカにしたり油断したりしていると、痛い目に合う時代になってきました。
だからぼくは会社経営において優先順位は低いかもしれませんが、知的財産のプロフェッショナルとして、「歩兵」のような働き方をしたいと考えています。
成ったら金と同じ力を持つ(と金)
ところが「歩兵」はずっと非力のままかというとそうではありません。ある一定の領域に入ると「と金」という駒に変身します。これは「金」と同じ力を持ち、1回に前後,左右,斜め前方のいずれかを選択して1マス移動することができます。
弁理士は知的財産のプロフェッショナルでありながら、ジェネラリスト的な能力も求められます。それは特許や商標や意匠といった領域もこなすことばかりでなく、会社経営や事業方針を理解し、会社の代表や技術者や知的財産担当者といったあらゆる立場の人とコミュニケーションを取りながら仕事を行います。だからいわゆる職人気質の人は弁理士に向かないとぼくは考えています。
だからぼくは、フットワーク軽く、かつ果敢に敵陣に乗り込んでいく「と金」のように、会社経営や事業戦略に対しても積極的に取り組める役割をこなしたいです。
一人だけでなんとかしようとはそもそも思ってない
最後に、ぼくは自分の非力さを自覚しています。ぼくにできることは限られているし、弁理士だろうが役員だろうが偉そうにするつもりはありません。もちろん立場的に威厳を保つ場面はありますが、ぶっちゃけそういうのはあまり好きではないんです。
ぼくの強みはそんなぼくをフォローしてくれるメンバーや仲間や知人がいることです。つまりぼくにできないことをできる人たちが、ぼくの周りにはいます。弁理士のようなおかたい業界では、学歴や出世などプライドの高い先生方が多くいます。そういった環境において、ぼくのような対人関係のつくり方自体が強みになります。
また先日、ぼくの友人でレストランとウェディング会社を経営している社長も同じことを言っていました。自分にコンサルのオファーがくるのは、自分が持っているリソース(ヒトや情報)を期待しているからだ、と。だからぼくは「歩兵」として振る舞いつつ、時には他の「歩兵」や「飛車」や「角」の力をかりて会社に貢献することが使命と思っています。
2014年6月28日
著者 ゆうすけ
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