ジェネラリスト系弁理士が必要な時代
弁理士は知的財産権を扱うプロです、と自己紹介すると、え?何それ?とか、そもそもそんな職業があったの!?とか、便利屋かと思ってた!、と今だに言われます。それはどっかのおねーちゃんばかりでなく、長年ビジネスを手掛けてきた経営者の方もです。それくらい弁理士って知られてないな~ってつくづく思うし、それだけ発信力が弱いってことも感じています。
弁理士に対する固定観念
一方、弁理士を知っている人からは、専門はなんですか?っていう聞き方をされます。つまりスペシャリスト系弁理士向けの質問が大半です。どういう意味かというと、弁理士の8割は理系出身であり、仕事の6~7割が特許関係です。そして弁理士と仕事をしたことがあるという人の多くが大手メーカー勤務(出身)です。
しかも特許を取るには新しさ(新規性)が必要なため、世の中に製品として出回る数年前から依頼をうけます。だから当然ですが、今どんな仕事をしてるのかなんて口がさけても言えません。秘匿義務というのが弁理士の規則(弁理士法)で決まっているからです(これをやぶったら懲戒処分)。
でもさっきの質問(専門はなんですか?)とか、弁理士は理系の職業とか、特許がメインとか、それはそれで正しいわけですが、これらは弁理士という業界の構造がもたらした固定観念なんじゃないかと思うんです。高度経済成長に伴ってモノづくり産業が発達し、特許を取る活動が急増しました。ピーク時は1年間で42万件の特許が出願(申請)されたときもあります。
ジェネラリスト系弁理士の重要性
そして日本のモノづくり技術のおかげで、ぼくらの生活も豊かになりました。と同時に、産業の構造が変化したことも事実です。つくるモノがハードからソフトへ、モノづくりの現場は国内から海外へ、モノづくりの主体が会社から個人へ。つまりビジネス創出の種が増えたと言えそうです。
しかし種は増えても目が出にくいのも事実。なぜなら新しいモノは過去のモノの積み重ねだからです。つまり過去が増えれば増えるほど新しさを求めるのも難しい。しかも積み重なった他人の特許に引っかかってないか(侵害していないか)どうかを気にしながら新商品やサービスを考えないといけないからなおさらです。
それに新商品やサービスには欠かせず、かつ守る(登録する)べきものの中には、ネーミング・ロゴ(商標)やデザイン(意匠)もあります。え、ネーミングって守れるの?デザインを守るのにも新規性が必要なの?ということも、まだまだ知られていません。
事業を安定して継続させるには知的財産(アイデア,デザイン,ネーミング・ロゴなど)の保護(権利化)が必要であり、事業の拡大や売却時には知的財産権の活用が不可欠な時代にますますなってきました。そんな時代だからこそ、今までの固定観念にとらわれないジェネラリスト系弁理士の働き方が問われてくるのかなってよんでます。
≪まとめ≫
ジェネラリスト系弁理士の先生は今でもちゃんといらっしゃいます。でもそれは知られていないわけです。判例解説や実務的な戦略ばかりでなく、弁理士としての想いや働き方などをもっと発信して、あ、そんなことできるんですね!とか、そういうときは相談したい!とふと思ってもらえるように発信することが大切だと感じています。
著者 ゆうすけ
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