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日本の老舗企業に伝えたい!そろそろ本気でブランド名を海外で商標登録しとかないとヤバいです!

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 商標トレンド, 商標戦略

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この手のニュースは本当に多いですね。日本の老舗企業はそろそろブランド名のパクリ対策を本気ですべきです。もし海外で「日本で人気の〇〇〇です」って書いてあったら、外国人は買ってしまいます。本物かどうかわからないからです。

今回台湾で商標がパクり申請されてたのは、都路里(つじり)、中村藤吉、丸久小山園(まるきゅうこやまえん)です。 いずれも京都で有名な老舗企業。つまり日本の老舗企業は狙われてるっていってもよさそうです。

photo credit: Counselman Collection via photopin cc

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パクられてからじゃ遅い

前にもラーメン屋の神座の商標が台湾でパクリ登録されてたニュースについて記事にしましたが、パクられるかどうかは事前にわかりようがないんです。今回のようにいつの間にかパクられてたことを現地の誰かに聞いて知るケースが大半です。

宇治茶から作った抹茶スイーツで人気の「茶寮(さりょう)都路里(つじり)」(京都市東山区)や老舗問屋など3社の社名とロゴマークが、台湾で商標登録申請されていることがわかった。
・・・
3社によると、台湾の個人が昨年7月、商標の効力の範囲を「飲食店」として申請。丸久小山園の関係者が今年2月、台湾の顧客から知らされ、発覚した。

<引用:2014/4/15 読売新聞「許せない行為…宇治茶、台湾で無断商標登録申請」>

ブランド名がパクリ登録されても「有田焼」が成功したような対策はあります。しかしその対策をするくらいなら、はじめから商標登録したほうがよっぽど簡単です。国にもよりますが、申請料や登録料やエージェントの手数料を含めても50~100万円くらいです。

ですが、もしパクリ登録されてたら、その登録を取り消すためにやっぱり50~100万円(それ以上)くらいかかります。その上、またパクられないように自分たちも商標登録しないといけないわけです。

それにもしパクリ登録が取り消せなかったら、その国でブランド名を使えなくなるんです。だからもしその国をマーケットにするなら、別名で売らなければなりません。グリコはマレーシアでのブランド名「Rocky(ロッキー)」をやめて「Pocky(ポッキー)」に統一する戦略をとりました。それくらいブランド名は海外での販売において大切ということです。 

被害を広げないよう登録できるカテゴリーは後出し申請する

とにかくパクリ申請が発覚したため、京都の各老舗企業がする対策の一つが、申請されていないカテゴリーについて後出し申請するというものです。

今後、商標の効力範囲を「茶葉の販売」として申請するなど対抗策を取る方針。

<引用:2014/4/15 読売新聞「許せない行為…宇治茶、台湾で無断商標登録申請」>

どういうことかというと、今回台湾でパクリ申請されたのは「飲食店」というカテゴリー。つまりカフェやレストランの店名に「都路里」を独占的に使う権利を取られるかもしれないということです。もし各老舗企業が台湾でカフェやレストランを経営するなら相当痛いでしょう。

そこでカフェやレストランだけじゃなくって、さらにコンビニとかスーパーでお茶の葉の商品名としてパッケージとかに「都路里」を独占的に使う権利は取られないよう、各老舗企業は「茶葉の販売」というカテゴリーで後出し申請したわけです。

このようにパクリ登録されたらすべてのビジネスについてそのブランド名が使えなくなるかというとそういうわけではなく、まだ生き残ってるカテゴリーはせめて取られないように死守すべきです。 

他にもブランド名がパクられて被害は甚大

解決した事例もありますが、それまでに長い年月と共に甚大な損失が発生しています。

今治タオル

・・・「今治タオル」に類似したロゴマークと「今治」の2文字が中国で商標登録申請された問題で、今治市などの異議申し立てを中国商標局が退けたことが10日、分かった。今治市と四国タオル工業組合(同市)は名称について再審査を請求し、今月3日、受理された。(2013/7/10)

⇒ 中国、今治タオルの商標異議却下 名称のみ再審査へ

市と組合によると、タオルなどで「今治」という名称を使う商標登録申請について申し立てをする方針。理由は「行政府の名前であり、地域ブランドである『今治タオル』の原産地として中国で広く知られた外国地名」としている。(2011/2/17)

⇒ 今治タオル、中国に商標異議へ  工業組合が申し立て

讃岐うどん

ある中国人が06年に商標登録を出願した「讃岐うどん(讃岐烏冬)」について登録を拒否するという内容の通知文だった。通知文には「讃岐は日本の昔の地名、烏冬は小麦粉を原料とする日本の麺であり、したがって讃岐地域(今の香川県)がこれを地域特産品だと指摘する内容は妥当だ。飲食店などの商号として登録する場合、誤解を誘発するおそれがある」と書かれていた。

(中略)

06年ごろ、台湾で「讃岐うどん」看板を掲げて商売をしていた日本人男性が、台湾企業から商号使用中止に関する内容証明を受けたのが発端だ。この台湾企業は1999年、「讃岐」「さぬき」「サヌキ」「SANUKI」などの各種表記で自国で商標登録を終えた状態だった。日本伝統商品を台湾人が先に商標登録をし、日本人が現地で使用できなくなったのだ。 (2011/7/12)

⇒ 日本固有のブランドを勝手に商標登録する中国、立ち向かう日本

無印良品

この問題は、香港企業である盛能投資有限公司(Jet Best Investment Limited 以下J.B.I.)が中国で商標25類(被服、履物)における「無印良品」および「MUJI」の商標を不正に先行登録していたものです。 当社は2000年5月、中国国家工商行政管理総局商標評審委員会に対してJ.B.I.の商標登録の無効取消を求めておりましたが、今般、同委員会はその取消を命じる審決を下しました。(2005/12/12)

⇒ 株式会社良品計画の申し立てが認められる

良品計画は平成12年に「無印良品」と「MUJI」の不正登録の取り消し裁定請求を中国に申し立てたが、商標取り消しまで7年。(2012/7/2)

⇒ 中国で「商標権トラブル」相次ぐ 讃岐うどんやクレヨンしんちゃんも被害

<引用> 日本の商品名や地名が海外で商標登録を先取りされてめちゃ痛い事例のまとめ

≪まとめ≫

日本の文化や伝統を守るためにとても大切なことなので、最新の状況にキャッチアップしてお伝えしていきます。老舗企業の皆さん、くれぐれも気をつけてください。

2014年4月15日

著者 ゆうすけ

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