マイクロソフトがSkyDriveをOneDriveに改名!これが商標登録の威力!
昨年の夏ごろ、マイクロソフトのクラウドストレージサービス「SkyDrive」が改名されるかもしれないというニュースをお知らせしました。
おさらいすると、British Sky Broadcasting Groupがイギリス国内で「Sky」を商標登録をしており、マイクロソフトの「SkyDrive」がBritish Sky Broadcasting Groupの商標権を侵害していると裁判で判断されたため、「SkyDrive」を使えなくなったという事件です。
そしてついてマイクロソフトが「SkyDrive」の改名を発表しました。新たなサービス名は「OneDrive」です。
©microsoft
OneDriveのコンセプトは「1カ所」
ユーザーにとっても改名の影響は大きいです。 今までの呼び名が変わるということは、サービスの印象も大きく変わる可能性があるからです。その点を考慮してか、マイクロソフトはOneDriveのコンセプトを以下のように表明しています。
Microsoftでは、「SkyDriveのような人気サービスの名前を変えるのは容易ではありませんでしたが、新しいOneDriveという名前は、お客様に提供できる価値と私たちの将来のビジョンを一番よく表現していると考えています。そのビジョンには、一生のうちにたくさんのデバイスを使うお客様も、大切なデータは1カ所に保存したいということを反映しています。写真や動画、ドキュメントもすべて、1カ所に。いつも使うデバイス間でもシームレスにつながっている場所、それがOneDriveです」と説明している。(引用:マイクロソフト、「SkyDrive」を「OneDrive」に改称へ)
取って付けたのかもしれませんが、コンセプトを改名発表時に告知するのはプラスでしょう。「Sky」は壮大さがイメージできる一方で、「One」はコンパクト感がイメージできます。クライドストレージサービスにとって容量の大小はユーザー獲得に大切なファクターです。それなのに「One」をつかうのはちょっとリスキーな気もします。そこで「1カ所」というコンセプトを「One」で表現したと宣言することでユーザーの離脱を防ぐ効果もあるでしょう。
ネットサービスでは海外にも商標登録しないと危険
でもなぜアメリカが本拠地のマイクロソフトが、イギリスの会社に訴えられて裁判で負けて改名に追い込まれてしまったのでしょうか。国が違うんだから関係ないんじゃないの?と疑問がわくところです。
しかしネットサービスの場合、国をまたいでユーザーが利用します。つまりSkyDriveのユーザーは全世界の人々なわけです。マイクロソフトではネットサービスを基本的に英語で提供しています。だから他国にサービスを提供していない、という言い逃れは厳しいでしょう。
だからマイクロソフトは自国(アメリカ)のみで「SkyDrive」を商標登録するだけでは足りず、少なくとも英語圏の国には同じように商標登録すべきでした。試みたけど、イギリスでは「Sky」が先に登録されていたため、できなかったのかもしれません。
日本でもブランディングの影響は大
イギリスで裁判に負けたからイギリス国内だけサービス名を変更する、という応急措置はできません。これがネットサービスの宿命です。今回の改名は世界規模になるため、その影響は半端ないでしょう。それは日本も同じです。
そこで日本での「OneDrive」という商標登録があるかないかみたところ、1つ申請中のものがありました(画像参照)。しかしこれはマイクロソフトが申請を指定すべきサービスとかぶっていなさそうです。
商標権のトラブルを二度と起こさないために、日本でも登録はしておきたいところでしょう。今のところまだ特許庁のデータベースで公開されていないようです。
≪まとめ≫
商標権のトラブルを考えすぎてサービスリリースに影響が出てしまっては本末転倒です。まずはリスクを検討し、そのリスクを受け入れるか、未然に回避するかの選択が大切です。日本の場合、まず日本語でサービス提供を開始すれば、海外の商標権に引っかかるリスクは低くなります。しかし海外展開を考えるなら、海外の商標とかぶらなさそうな名称(たとえば、「TERIYAKI」とか)でリリースするのが安全パイでしょう。
2014年1月28日
著者 ゆうすけ
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