ビジネスの明暗をわける商標登録!マイクロソフトSkyDriveの改名どうなる?
米Microsoftと英British Sky Broadcasting Groupは、「Sky」という商標をめぐって裁判で争っていましたが、Microsoftが負けを受け入れたため、クラウドストレージサービス「SkyDrive」の名称を変更する予定であるというニュースが報じられました。
「SkyDrive」はクラウドストレージサービスをイメージしやすいネーミングだと思います。だから改名するのはもったいないし、マイクロソフトとしては心中穏やかではないかもしれません。
・マイクロソフトが負けたのはナゼ?
マイクロソフトが使っていたのは「SkyDrive」。一方、British Sky Broadcasting Groupが商標登録していたのは「Sky」。これが似ているかいないかを裁判で争いました。
一見似てなさそうですが、なぜマイクロソフトは負けてしまったのか想像してみました。
まず「SkyDrive」はSkyとDriveを組み合わせネーミングです。ですが、Driveの「D」が大文字なので、ひとつづきのコトバには見えにくいです。
またDrive(ドライブ)という単語は、記憶装置などIT業界では一般的なコトバです。そのため「SkyDrive」は、「Sky」の部分が商標として価値がある部分とも考えらえます。
そう考えると、British Sky Broadcasting Groupの「Sky」とマイクロソフトの「SkyDrive」は似ている、と判断されてもおかしくはありません。このためマイクロソフトは裁判で負けを認め、和解を受け入れたのではないでしょうか。
・和解の条件は改名なのか?
この前の5月に、マイクロソフトは「SkyDrive」のユーザー数が2億5,000万人を突破したと発表しています。それにもかかわらず改名するのはちょっと痛すぎます。
報道では、British Sky Broadcasting Groupの対応について、以下のように書かれています。
和解に基づき、Microsoftは今回の裁定に対して予定していた控訴を行わず、Skyは、Microsoftが新しいブランド名へと秩序に従って移行できるように、合理的な期間、SkyDriveの名称を使用し続けることを許可する予定である。
これを見る限り、時間あげるから改名してね!っていうメッセージに読めます。つまりマイクロソフトは「SkyDrive」というネーミングをイギリス国内では使えなくなるわけです。
よくあるパターンは、ネーミングの使用料をはらって使い続けることです。しかしそれも認めてもらえない。そして裁判もあきらめた。となると改名しない限り、サービスを続行できません。
・「SkyDrive」という世界ブランドが崩れるのか?
イギリス国内で使えないといっても、SkyDriveのメインはクラウドストレージサービスです。そのためテレビCMや看板を中止するのは簡単でも、インターネット上の「SkyDrive」を中止するのは簡単ではありません。
なぜならSkyDriveのサーバーにイギリス国内のユーザーがアクセスすれば、パソコンやスマホに「SkyDrive」と表示されてしまうからです。苦肉の策として、イギリス国内のユーザーのみアクセスできないようにするとか、イギリス国内のユーザー専用に改名したサービスを提供するとか。。。それも現実的な対応とは言えません。
となると、「SkyDrive」そのものを改名しなければなりません。ということは、「SkyDrive」という世界ブランドが崩れるため、マイクロソフトは新たなブランディングが必要です。
≪ピッタリナまとめ≫
商標登録はそのサービスのコアとなるネーミングやロゴの使用を止めさせる一撃必殺の威力を持っています。そのためライバルの範囲とかぶると致命的です。どこから文句を言われるかわからないため、商標登録しないとしても使用するときは十分注意することをオススメします。
2013年8月1日
著書 ゆうすけ
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