解散後の「SMAP」という商標の行方
今朝(2016/1/13)はショッキングなニュースからはじまりました。某スポーツ紙の報道なので、真実はまだわかりません。ただ、もし解散が本当だとしたら、もうこの「SMAP」という名称が聞こえなくなるかもしれません。
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「SMAP」はジャニーズ事務所の商標登録
当然といえばそうですが、SMAPが結成された年(1988年)に最初の商標が出願されています(登録第2286334号)。その後もたびたび出願されているのは、保護範囲を広げるためでしょう(以下、J-PlatPatによる検索結果より)。
なぜなら、「SMAP」が有名になればなるほど、その名称に相乗りして、グッズなどのバッタもんを売る業者が増えるからです。グッズが公式か非公式かの見極めができないファンを狙った悪徳商法ともいえます。
どんなグッズなどを保護している(悪徳商法から守っている)かというと、以下のような商品やサービスです。これらに「SMAP」という名称をつけて販売することは、ジャニーズ事務所の許可がなければできないことになります。
「ゲームなど(9類)、トランプなど(16類)、かさなど(18類)、靴ブラシなど(21類)、運動靴など(25類)、靴飾りなど(26類)、すごろくなど(28類)、加工食品など(29類)、コーヒーやサンドイッチなど(30類)、魚介類など(31類)、ビールや清涼飲料など(32類)、演芸の上演など(41類)、旅行者の案内など(39類)」
芸能界にとって商標登録は死活問題
というわけで、SMAPが解散したら、残留するメンバーで「SMAP」と名乗るか、またはジャニーズ事務所が「SMAP」の使用許可や譲渡をしない限り、「SMAP」という名称が日の目を浴びることはないかもしれません。
たとえ「SMAP」が本当に解散したとしても、この商標登録をジャニーズ事務所が捨てる可能性は低いからです(既に解散している「光GENJI」(登録第3047281号)の商標も登録を維持し続けています(2014年12月に商標登録の更新申請済み))。
実際には使わなくなった商標(例えば、「光GENJI」)でも、登録状態を維持することはよくあります。なぜなら、登録状態を維持しない(登録の更新申請をしない)と、その商標が他の誰かに使われたり、下手したら商標登録されてしまうリスクがあるからです。
芸能事務所にとってタレントは命です。ファンにとってもタレントが全て。どこどこの芸能事務所に所属してるからあのタレントが好き、というわけではないはずです。だから、タレントが他の事務所に移籍して同じ芸名やグループ名を名乗ると、元の事務所にとっては致命傷にもなりかねません。
だから「SMAP」の解散後も、この商標をジャニーズ事務所が管理すれば、「SMAP」はある意味永久欠番(殿堂入り)のような存在になるのではないでしょうか。
≪まとめ≫
いずれ正式な会見があるとは思いますが、芸能界での商標登録に関するトラブルは過去にもあったので、一足先にお伝えしました。報道のされ方から見ても、商標を含む「SMAP」というブランド価値は計り知れません。
<参考記事>
芸能人も商標登録でトラブル!?芸名を変えないと独立できないの?
2016/1/13 著者 ゆうすけ
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