徳島名物「里むすめ」のお菓子がうまい!模範的な商標登録の手法を研究分析
先日、奥さんのお母さんが徳島から「里むすめ」なるお茶菓子を直送してくれました。とてもおいしかたのでこれはぜひ人に教えたいなって思ったのでブログに残します。
「里むすめ」はサツマイモの商品名
そもそも「里むすめ」とは、なると金時というサツマイモの商品名です。この商品名は徳島県鳴門市里浦町の里浦農業協同組合が商標登録しています。里むすめの「里」は、里浦の「里」でしょう。
なると金時はもともと“高系14号”という品種で、1945年に高知県で誕生しました。これを改良したのが「なると金時」です。食べごろは11月~2月ごろ。
その他の県でも高系14号が別名で販売されています。石川県では「五郎島金時」、高知県では「土佐紅」、宮崎県では「宮崎紅」、鹿児島県では「べにさつま」です。
やわらかいもちが絶品
サツマイモのお茶菓子といえば、スイートポテトや芋ケンピがありますが、このお茶菓子はちょっとかわってます。なにがかわっているかというと、お餅にサツマイモを練り合わせたもの(?)であんこを包んでいるんです。
はやく食べないとかたくなってしまうということで、さっそく試食です。表面はぷにゅぷにゅしています。フォークでで簡単に切れました。そして口に入れてももちがすごくやわらかく、あっという間になくなってしまいました。
商標登録もしっかししている
商品名といえば商標登録。そこで里むすめの商標登録がどのようにされているか調べました。内容をみると、登録している商品は2つのカテゴリー(お菓子類、野菜類)です。
これは模範的な商標登録の仕方です。なぜなら里むすめはサツマイモの商品名なので、本来は野菜類だけを指定して登録すれば足ります。しかしそれだけでは里むすめを原料とするお菓子は商標登録の権利範囲外になってしまうのです。
お菓子が商標登録の範囲外だとどうなるかというと、一つは里むすめという商品名でお茶菓子を販売する模倣業者を野放しにしてしまいます。野放しにするとどうなるかというと、里むすめ以外のサツマイモでつくったお菓子も勝手に販売されてしまうわけです。これでは里むすめの売り上げに影響するばかりでなく、里むすめブランドに傷がつきます。
もう一つは、勝手に誰かに里むすめという商標をお菓子のカテゴリーで登録されてしまいます。お菓子のカテゴリーを登録されてしまうと、登録した人に許可を得ないと、本家(里浦市)が里むすめというお菓子を販売できなくなります。
ちなみに隣町の松茂町は、里むすめという商品名をつかえないため、オリジナルの商品名を商標登録していますが、お菓子については登録していないようです。もちろん、お菓子なんか売らないから関係ないという方針であれば、なんら問題ありません。
≪まとめ≫
ずっと愛されるおいしい食材やお菓子を販売しつづけるには、ブランド構築すべきです。そしてブランド構築にはネーミングが必要で、ネーミングは戦略的に商標登録することをおすすめします。
2014年1月29日
著者 ゆうすけ
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