次は「おんせん県おおいた」!?商標登録できる理由とその影響力の考察
大分県がまたもや商標登録にチャレンジ!前回は「おおせん県」でダメだったので、今回は「おんせん県おおいた」にしたところ、特許庁から商標登録が認められたという通知がきたそうです。
そこで「おんせん県」がダメで「おんせん県おおいた」が商標登録できる理由とその影響を考えてみました。
・ロゴにオリジナル性あり!
今回大分県は、「ロゴ+文字(おんせん県おおいた)」という構成で商標登録を申請しています。このようなやり方は商標登録するときのテクニックの一つです。
大分県は、まず「おんせん県」で商標登録にチャレンジしましたが、認められませんでした。そのためつぎに考えたのは、おそらく「おんせん県おおいた」でしょう。
しかしこれでも商標登録は難しいです。なぜなら「おおいた」には、オリジナル性がないからです。単に「大分」をひらがなにしただけ、と審査される可能性が高い。となると、いくら「おんせん県」単独ではないにしても、「おおいた」という一般名称をつけただけだから、「おんせん県おおいた」で商標登録にチャレンジするハードルは高いです。
一方、ロゴは湯気で「OITA(おおいた)」と書かれていて、これはオリジナル性がありそうです。もし普通の湯気だったら、オケに顔が書いてあるだけなので、どこにでもありそうなロゴになってしまいます。
そこで大分県は、「おんせん県おおいた」では商標登録できないものの、“大分県が積極的に使っているコトバ”として証明したかったため、「ロゴ+おんせん県おおいた」という構成で商標登録を試みたと考えられます。
・「おんせん県」は使って大丈夫なの?
「おんせん県」というコトバが大分県の商標登録の一部に含まれてしまうと、他県は「おんせん県」を使えないの?というと、そうではありません。
前回の商標登録の審査で、「おんせん県」は他県が既に使っている、と判断されています。そのため大分県の商標登録の一部に含まれていても、「おんせん県」を使って問題はないでしょう。
では「おんせん県+〇〇〇」は?これもおそらく使えます。なぜなら「おんせん県」と「〇〇〇」はそれぞれ独立したコトバと判断されるからです。つまり「おんせん県」で一つのコトバ、「〇〇〇」で一つのコトバです。
「おんせん県おおいた」の場合、「おんせん県」は誰もが使っていいコトバ、「おおいた」も単に「大分」をひらがなにしただけなので誰もが使っていいコトバです(「おおいた」単独で商標登録されている場合はNG)。だから「おんせん県ぐんま」とか「おおせん県かごしま」と使って問題はないでしょう。
しかしここまで大分県に「おんせん県」をアピールされると、さすがに他県も使いにくいのではないでしょうか。ネット検索しても、上位に表示されるのは大分県の情報ばかりです。つまり商標登録できないものの、事実上独占したようなものです。これが大分県の狙いだったとしたら、新手なやり方として注目すべきでしょう。
≪まとめ≫
「おんせん県」のように、単独では商標登録できなくても、ロゴや他の文字と組み合わせた構成なら登録できる可能性は大いにあります。こうすることで、「おんせん県」自体を独占することはできないものの、「おんせん県」を積極的に使用しているアピールにもなるばかりでなく、他県が使いにくくなるという影響力を持つことができるでしょう。
<参考>
・「おんせん県」商標OK 末尾に「おおいた」付け ※10月7日産経ニュース
・「おんせん県」「大痛県」で話題の大分県が面白いCMで人気急上昇!? ※過去記事
2013年10月8日
著者 ゆうすけ
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