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「おんせん県」「大痛県」で話題の大分県が面白いCMで人気急上昇!?

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 商標事例研究 , ,

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最近何かとニュースに出ている大分県。コトの発端は、大分県が「おんせん県」というネーミングを独り占め(商標登録)しようとしたところからはじまります。

さぬきうどんで有名な香川県が「うどん県」と名付けたやり方のパクリなのでは?とちまたではウワサされたり、独り占めするのはけしからんと草津温泉で有名な群馬県からブーイングを受けたりと、けっこう叩かれてきたわけです。

しかしその境遇を逆手にとって話題作りに励んできました。「おんせん県」は(今のところ)商標登録できていませんが、その行為がこのような話題性を生んだため、大きな収穫なのではないでしょうか。

そこで「おんせん県」「大痛県」で話題の大分県が面白いCMや観光専門のウェブサイトを作成したため、その戦略や実態を調べてみました。

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・そもそも大分県は本当に「おんせん県」なの?

香川県はさぬきうどんの特産地なので「うどん県」というのはわかりますが、大分県が「おんせん県」ということに、え!?って最初は正直思いました。なぜなら温泉なら日本全国になるし、人によっては草津温泉(群馬県)や箱根(神奈川県)を想い出すからです。

そこで全国の温泉の数のランキングを調べました。

大分県が発表している温泉データによると、平成24年3月末時点で大分県が源泉総数、湧出量どちらも全国1位でした。二位の鹿児島県とは1500孔以上の大差です。ちなみに群馬県の温泉総数は463孔でした。これなら自称「おんせん県」というもの納得できます。

市別のデータです。やはり別府温泉が圧倒的に多いです。全国の行きたい温泉ランキングでトップ常連の「湯布院(由布院)温泉」は由布市にあります。

大分県と一言でいっても広いので、どこにどんな温泉があるかわからない><という人は、大分県の「おんせん県サイト」がわかりやすくて参考になると思います。

大分県では16の市町村から温泉が出ていて、大きく6つのエリア(別府湾エリア、宇佐・国東半島エリア、日豊海岸エリア、日田・耶馬(やば)エリア、やまなみエリア、竹田・奥豊後エリア)に分かれます。そして大分県では、地球上にはある11種類の泉質のうち、放射能泉以外の10種類が楽しめるそうです。

・手作り感たっぷりのCMに味がある

データ上は立派な「おんせん県」。別府温泉や湯布院温泉も全国的に有名です。しかし香川県の「うどん県」だけじゃなく、熊本県の「くまもん」など、地域独自のPR活動が活発なため、大分県(広瀬勝貞知事)も心中穏やかではなかったのかもしれません。

当然PR活動するにもお金はかかりますが、出した分だけ効果があるかどうかわからない日本の経済状況。それならばということで大分県が選んだ手段は「地元民のフル活用」。地元民の方言、しぐさ、ファッションなど全てをそのままに、かつちょっとお茶目に仕立てCMは手作り感たっぷりで味があります(ディレクターとかもちろんいるんでしょうけど、うまい構成だな~と想いました。)。現在YouTubeにアップしてあるので全16本の「言っちゃいましたけんCM」が見れます。

はじめに、香川県の「うどん県」をパクっていないこと、商標登録の件でネットで叩かれたことを暴露して、視聴者を惹きつけています(「パクリなのか?」「大痛県なのか?」)。

つぎに、大分県が「おんせん県」たる理由、見どころ・観光スポット、特殊な温泉の紹介をすることで、「おんせん県」に説得力を持たせています(「理由とは?」「美人女将対決!?」「歴史ある温泉とは?」「地獄とは?」「冷たい温泉とは?」「機能温泉浴とは?」「泉質数とは?」「ハジける炭酸とは?」「イケメンたちとは?」)。

最後に、大分県は食の町であることも伝えています(「カボスの味力とは?」「関あじ関さばとは?」「ブランド牛の味力とは?」「から揚げ・とり天とは?」「激旨なお寿司とは?」)。これがむしろ大きな収入源になるからでしょう。

大分県は「おんせん県って言っちゃいましたけん」とか、「タレントなし!歌なし!CGなし!」とか、自らのCMづくりを自虐的にアピールしつつ、その地域の魅力を表現しています。個人的には「パクリなのか?」、「イケメンたちとは?」、「カボスの味力とは?」がオモシロかったです。だまされたと思って見てみてください(笑)。

・やっぱり「おんせん県」は独り占め(商標登録)できないの?

これだけがんばってるから「おんせん県」は大分県だ!といって簡単に商標登録できるものではありません。

大分県が「おんせん県」をネーミングとして使いたいと申請した主な商品やサービスは、「お菓子」「観光案内」「娯楽施設の提供」「宿泊施設の提供」「入浴施設の提供」です。つまり温泉街が行っているビジネス(お土産、遊び場所、ホテルや旅館、温泉)について「おんせん県」と表示して大分が温泉の町だ!とアピールしたかったわけです。

しかしこの申請に対して特許庁は、「温泉を多く有している県を紹介する言葉として既に広く使用されている」「『多数の温泉を有する県』という意味合いしかない」という理由で商標登録を認めませんでした。つまり大分県に独り占めさせたら観光客が混乱するし他県(群馬県など)が困るだろうと判断したのです。

ちなみに永久に商標登録できないのか?というと、実はそうではありません。その手段を極端に言えば、日本中の誰もが「おんせん県」といえば大分だよね、というくらい広めることです。つまり認知度を高めれば、商標登録できるかもしれません。

でもその認知度を定量的に図るのは難しいので、たとえば新聞とか雑誌に取り上げられた事実を段ボールで数十箱くらい用意できれば、特許庁も商標登録を認めるかもしれません。あくまでも憶測ですが。。。

≪ピッタリナまとめ≫

大分県のPR活動は、「おんせん県」独り占め(商標登録)騒動がコトの発端で、しかも今のところ商標登録できない可能性はほとんどありません。しかし話題性は十分ありました。ネットでの拡散効果も大きかったと思います。ビジネスの「入り口」がいかに大切かを物語った事例ではないでしょうか。

2013年9月7日 著者 ゆうすけ

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