JR西日本の気になる商標登録の狙い 北陸新幹線「つるぎ」「たてやま」?他
JR西日本が2013年5月14日に「つるぎ」と「たてやま」という商標登録の申請していたことがわかりました。これは平成26年度末に金沢まで開業予定の北陸新幹線の新しい列車名になる可能性があると報じられています。公募期間前から商標登録の申請をしたことになるため、出来レースか?なんて報道も一部ではされています。
そこでJR西日本がこのタイミングで「つるぎ」と「たてやま」を申請をした理由やその他の商標登録戦略についてまとめました。
・「つるぎ」と「たてやま」はJR西日本の単独申請
北陸新幹線の列車の名前の応募期間は、2013年5月31日~6月30日でした。しかし新名称の募集先は、JR西日本とJR東日本です(画像の右下赤枠)。また応募要項には、「採用された列車名に関する商標出願権、商標権、著作権その他の知的財産権はJR西日本・JR東日本に帰属します。」と記載されています。
一方、「つるぎ」と「たてやま」の商標登録の出願人(申請した者)は、JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)のみです(下画像参照)。
過去にJR関連会社の商標登録の申請について調べたところ、JR東日本⇔JR東海⇔JR西日本など、それぞれのエリアをまたぐ列車だとしても、連名で申請していたりしていなかったりです。たとえば「ひかり」はJR東海とJR西日本の連名で申請していますが、「のぞみ」はJR東海の単独申請です(下画像参照)。また北陸新幹線の一部現在運航中の東京-長野間を走る「あさま」はJR東日本の単独申請です。
ちなみに「ひかり」は1964年(昭和39年)に運航開始し、列車の名称募集も同時期に行っているものの、商標登録を申請したのが1992年(平成4年)で、「のぞみ」「あさま」もほぼ同じタイミングで申請しています。ここから推測すると、この時期くらいから、そろそろ商標登録したほうがいいんじゃない?なんて空気がながれた背景がうかがえます。
それと、 「新幹線」も実は商標登録されていました。これは知らなかったです。やはり申請したのは1992(平成4)年9月ですね。でもこればっかりは、JR東海・JR東日本・JR西日本との連名です。ここら辺はちゃんと誰が申請するかちゃんと話し合ったのかもしれません。
・JR西日本の次なる一手は「カンセンジャー」
商標登録の申請履歴を見ると、その会社の活動内容が見えてきます。前回、「トッキュウジャー」についてお伝えしましたが、「新幹線」の本家は「カンセンジャー」で勝負してきました(下画像)。オリジナルの動画もあります。ちょいちょい笑いを入れているところがオモシロかったです。しかもシリーズもの(全3回)。動画はYoutubeで見れます。
≪ピッタリナまとめ≫
北陸新幹線は、東京-大阪間を上信越・北陸地方経由で走るもの。東京-長野間の「あさま」はJR東日本が単独で商標登録の申請をしています。そのため「つるぎ」「たてやま」も一部の区間の列車名に過ぎない可能性があります。今年募集した列車の新ネーミングは秋以降に発表されるようなので楽しみです。
<参考>
北陸新幹線、名峰を冠す!? 「つるぎ」「たてやま」をJR西が商標登録出願
2013年10月7日
著者 ゆうすけ
<追記>※2013年10月11日
東京-金沢間を走る列車の新名称は「かがやき」と発表されました。出願日は8月16日。新名称募集終了後にちゃんと申請していました。「かがやき」の由来は、「スピード感と明るく伸びていく未来をイメージさせる」というもの。
ちなみに金沢-富山間を往復する列車名は「つるぎ」に決定。しかし募集開始前の5月14日に商標登録の申請をしていたことについて、営業本部の橋本修男担当部長は「多数の応募が予想される名称で、仮に他社が商標登録した場合、使えなくなる恐れがあったため出願した」と釈明しています(参考:東京新聞 10月11日 「「かがやき」「はくたか」「つるぎ」「あさま」 北陸新幹線 名称決まる」)。
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