今さら聞けない「®(Rマーク)」の意味・効果・注意事項と事例に学ぶ付け方
たまに見かける「®(Rマーク)」。なんだあれは?と思った人も少なくないでしょう。隅っこに小っちゃく書かれたあのマーク。それもそのはず。誰でも付けられるわけではなく、また付けても付けなくても本人の自由なんです。
そこで 今さら聞けない「®(Rマーク)」の意味・効果・注意事項と事例に学ぶ付け方をまとめました。
®(Rマーク)は登録商標の意味
®(Rマーク)は、「Registerd(登録された)」の「R」です。つまり、ちゃんと登録された商標(ネーミングやロゴ)だよ、ということを示すものです。だから登録されていない商標には付けられません。
ちなみに登録されていない商標に®(Rマーク)を付けると、ウソの表示だ!ということで、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金刑があるので気をつけましょう(商標法80条/虚偽表示の罪)。
®(Rマーク)の3つの効果
でもそんな小っちゃいマーク付けても意味ないんじゃないの?と思ったら大間違いです。®(Rマーク)には3つの効果があります。
・不特定多数に登録商標であることを主張できる
登録された商標かどうかは特許庁のデータベースで調べることができます。しかしわざわざそんなことをする人はまずいません。そのため自分から、登録したぞー!と言っておかないと、真似してもいいよって言ってるようなもんです。
そうはいっていちいち会う人会う人に言うわけにはいかない。そこで小っちゃく®(Rマーク)を付けておけば、そのマークを見た人に対して、登録商標だよ!(だから勝手に真似しないでね!)って主張していることになります。
・付けないよりは真似されにくい(勝手に使われにくい)
では®(Rマーク)を付けたら真似されないのか?というと、そうではありません。これがあっても、残念ながら真似する輩を撲滅はできないでしょう。
しかし多くは常識のある人たちのはずです。そのため®(Rマーク)を見た人は、少なからず真似したらいけないな~という意識が働くわけです。
・ブランドづくりの一環となる
ブランドは一朝一夕にはできません。®(Rマーク)を付け登録商標であることを主張し続けると共に、真似されないようにケアすることも、ブランドづくりには大切です。
逆に®(Rマーク)を付けずにほったらかしにしていたため、知らぬ間に多くの人に勝手に使われると、ヘタすると自分の登録商標だよって言っても取り返しのつかないことになるリスクがあります。ちなみに「エスカレーター」は登録商標だったけど一般名称になってしまった典型例です。
階段式昇降機を表す「エスカレーター」は、当初は米国オーチス・エレベータ・カンパニーが製造販売する階段式昇降機を表示する商標として需要者に認識されていた。しかし、現在は階段式昇降機を表す一般的名称として認識され、他社が製造販売する階段式昇降機にも「エスカレーター」の名称が使用されている。階段式昇降機に「エスカレータ」の名称を付して販売しても、それがオーチス社の商品であると意識されることはない。(商標の普通名称化-wikipedia)
®(Rマーク)付けるときの3つの注意事項
そんなに大切なものならすぐに®(Rマーク)付けなきゃ!って想っても、以下の3つの注意事項を忘れないでください。
・「出願しただけの商標」には付けられない
商標登録の申請をしたから早速®(Rマーク)付けても大丈夫ですか?という質問をよく受けます。しかし注意してもらいたいのが、®(Rマーク)は「登録された商標」に付けられるのであって、「出願しただけの商標」に付けるのはまだ早いということです。そして「登録された商標」とは、登録番号が付いた商標であり、普通は登録証が送られてきてはじめて登録番号を知ることになります。
そうはいっても真似されるのはこまる!という人にオススメなのは、「TMマーク」です。「TM」とは、「Trademark」という意味で、登録されていない商標にも付けられるマークです。つまり登録はしてないけど自分の商標(ネーミング・ロゴ)だ!ということを主張したい場合は、®(Rマーク)ではなく、小っちゃく「TM」を付けることをオススメします。商標登録していないため真似されても、やめろ!と自分の権利を主張することはできませんが、やはり無いよりはマシでしょう。
・「登録された商標」以外には付けられない
当たり前じゃん!と思いきや、意外にそうではないのです。実はせっかく登録したけど、ネーミングやロゴのデザインを変えてしまうことがよくあります。ビジネス上、当然にして商標の変更はつきものですが、変更後の商標に®(Rマーク)は付けられません(付けたらウソの表示になります。)。デザイン変更した場合、変更後の商標を真似されるリスクもあるため、商標登録しておいたほうが無難です。
また登録した商標が「ロゴ+文字」で、そのどちらか(ロゴまたは文字)しか使っていない場合、®(Rマーク)を付けられません。たとえば「おんせん県おおいた」の場合、ロゴを除いた文字部分、つまり「おんせん県おおいた」のみを使うことはできても、®(Rマーク)を付けられないということです。
・登録したカテゴリー以外の事業には付けられない
商標登録は、商標と商標を使う事業のカテゴリーがセットです。つまり登録していないカテゴリーに同じ商標を使うことはできても、®(Rマーク)を付けたらウソの表示になります。
たとえば「ラーメンの麺」を商標の使用するカテゴリーに指定していたが、「ラーメン屋の営業」を開始したため同じ商標を使う場合、「ラーメン屋の営業」に対して®(Rマーク)は付けられないということです。
事例に学ぶ®(Rマーク)の付け方
でもどんなふうに®(Rマーク)を付けたらいいのか迷うと思います。商標のデザインを崩してしまうような付け方は本末転倒です。そこで®(Rマーク)の付け方の事例をまとめました。商標の右側に付けるパターンが一般的ですが、その位置は様々です。
・右下に付けるパターン
・右上に付けるパターン
・右真ん中に付けるパターン
ちなみに®(Rマーク)以外にも、登録商標であることを主張できる他の表示方法はあります。
・「登録商標」と書くパターン
・「「〇〇〇」は●●●社の登録商標です。」と表示するパターン
・サイトの別ページで明文化するパターン
≪まとめ≫
®(Rマーク)の効果を考えると、登録された商標にはできる限り付けたのをオススメします。しかしわざわざ付けるのはめんどうだし、忘れがちです。そのような場合は、登録商標であることを主張できる他の表示方法のうち、全てを網羅する書き方(「「〇〇〇」は●●●社の登録商標です。」)でも無いよりはマシです。特にウェブサイト上では、このような表示方法が現実的かもしれません。
2013年10月10日
著者 ゆうすけ
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