ギリシャ文字とそれを使ったネーミングの意外な由来/意味まとめ
ギリシャ文字(α,β,γ・・・)は、もともと古代ギリシャ人がギリシャ語を表すために使っていました。そしてぼくたちが今でも使っている「アルファベット」という言葉は、ギリシャ文字最初の2文字「アルファ(α)」と「ベータ(β)」に由来しています。
またギリシャ文字は24文字ですが、アルファベットは26文字です。最近注目されたギリシャ文字といえばロケットの「イプシロン(Ε)」があります(打ち上げに失敗残念でした><)。
そんな奥が深いギリシャ文字とそれを使ったネーミングの意外な由来/意味をまとめました。
・アルファ(α)
アルファは、第1文字です。冒頭に位置する文字であるために、物事のはじめを象徴する。また一つの星座の中で最も明るい星のことを「α星」と呼びます。
トヨタ自動車の車種「アルファード(ALPHARD)®」は、この「α星」に由来します。
また昭和38年(1963年)に誕生した瞬間接着剤「アロンアルファ®」は、東亞合成の合成樹脂製品の統一商標「アロン®」と瞬間接着剤の化学名である「アルファシアノアクリレート」の「アルファ」を組み合わせた造語です。またギリシャ文字の第1文字「アルファ」とかけて、全く新しい市場の開拓を目指した、当時のパイオニア精神を表現したものです。
ちなみに「アロン®」は、東亞合成の創業当時の社名「矢作工業」にちなんで、「アロー(矢)」とナイロンやテフロンの「ロン」とを組み合わせた造語です(参考:東亞合成㈱ホームページ)。
・デルタ(Δ,δ)
デルタ(Δ,δ)は、第4文字です。その字形(三角形)から、河川の影響で三角形になった土地を「デルタ地帯」と呼びます。
アメリカ合衆国の航空会社では最長の歴史で世界第2位の大手航空会社「デルタ航空」は、創業がジョージア州メイコンで、路線を展開していたミシシッピー川のデルタ地帯に由来します(参考:ウィキペディア「デルタ航空」)。
・イプシロン(Ε,ε)
イプシロン(Ε,ε)は、ギリシャ文字の第5字です。
ロケット「イプシロン(Ε)」は、日本で開発されたロケットに代々ギリシャ文字(ラムダ(Λ)、ミュー (Μ))が使われていたことに由来します。「Evolution(改革、革命)」という想いも込められているそうですが、実はJAXA名誉教授の的川泰宣氏と森田泰弘氏が飲みながら決めたというエピソードもあるようです(参考:2013年8月27日週プレNEWS「JAXA・森田泰弘「イプシロンの名前は……実は、飲みながら決めました(笑)」より)。
<追記>2013年9月16日
イプシロンの打ち上げが9月14日に成功。また同日、惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の分離も成功。このSPRINT-Aのネーミングは「ひさき」。「ひさき」の由来について宇宙航空研究開発機構は以下のように発表しています。
(1)内之浦の地名である「火崎」(津代半島の先端部の岬)
・内之浦で最初に朝日が当たる場所であり、内之浦の新しい夜明けの象徴
・内之浦の漁師が漁の安全を祈願する場所であり、内之浦を旅立つ船の安全な航行の象徴
・突端であり、衛星形状のイメージとも合致
(2)観測対象が、太陽(ひ)の先(さき)
(引用:イプシロンロケット試験機打上げ成功!惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の愛称は「ひさき(HISAKI)」に)
・ゼータ(Ζ,ζ)
ゼータ(Ζ,ζ)は、ギリシャ文字の第6字です。
「ゼータ(Ζ)ガンダム」は、エゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社による共同開発計画「Ζ計画」で開発された機体の一つで、リック・ディアス(=ガンマ(γ)ガンダム)から数えて4番目に開発されたため、その開発コード「ζ(ゼータ)」に由来します(参考:ウィキペディア「ゼータガンダム」)。
・カッパ(Κ,κ)
カッパ(Κ,κ)は、ギリシャ文字の第10字です。
1950年代に生まれたイタリアのスポーツブランド「Kappa」は、は古代シナイ文字が起源といわれ、「K(カッパ)」は上に向けられた手のひらを表現し、まるで勝利を祝うような力強いポーズがスポーツの象徴として最適であるということからブランド名に「勝利」の意味を込めて名付けられました。なおロゴマーク(背中合わせの男女)は、「アダムとイブ」 を表し、は常に原点に立ち戻ってスポーツと人間を考える姿勢を表しています(参考:株式会社フェニックスホームページ)。
・ラムダ(Λ,λ)
ラムダ(Λ,λ)は、ギリシャ文字の第11字です。
「ラムダ(Λ)ロケット」は、個体燃料の観測ロケットシリーズとして名付けられました(参考:ウィキペディア「ラムダロケット」)。
・ミュー(Μ,μ)
ミュー(Μ,μ)は、ギリシャ文字の第12字です。
「ミュー(Μ)ロケット」は、ペンシル→ベビー→カッパ(Κ) →ラムダ(Λ)に続く観測ロケットシリーズとして名付けられました(参考:ウィキペディア「ミューロケット」)。
・ニュー(Ν,ν)
ニュー(Ν,ν)は、ギリシャ文字の第13字です。
「ニュー(ν)ガンダム」は、当初「シャアを超える」という意味で「Hi-Sガンダム」と予定されていが、シャアの頭文字はC(ローマ字読みではSであるが、フランス語読みではCである)と指摘されお蔵入りとなったため、仮称で「NEWガンダム」と呼んでいたらギリシャ文字「ν」とうまく合った、という由来があります(参考:ウィキペディア「ニュー(ν)ガンダム」)。
・パイ(Π,π)
パイ(Π,π)は、ギリシャ文字の第16字です。
「πウォーター」は、人間の体の3分の2を占める生体水に限りなく近く、超微量の励起状態の鉄イオン(2価3価鉄塩)から誘導された水という意味で使われています(参考:πウォーターとは?)
・シグマ(Σ,σ)
シグマ(Σ,σ)は、ギリシャ文字の第18字です。 数学で「シグマ(Σ)」は数列の和(総和)を表します。
カメラやレンズのメーカー「株式会社シグマ」の社名は、“より良い製品を、より多くのみなさまのもとへ”届けたいという想いが込められています。これは発想と実現とををつなぐ「創造的技術力」の源泉をなすのが、技術・知識・経験・英智の「総和」であるという理念にもとづきます(参考:株式会社シグマホームページ)。
・キー(Χ,χ)
キー(Χ,χ)は、ギリシャ文字の第22字です。
キリスト(χριστός)を表す頭文字で、「Xmas」の「Χ」に由来します。つまり英語「Christmas」の略語として「Xmas」が使われていますが、もともと「Christmas」の「Christ」はギリシャ語「キリスト(Χριστος (Christos))」を意味するため、ギリシャの「Χ」を用いて「Xmas(X-masなど)」となりました(参考:ウィキペディア「Χ」)。
・オメガ(Ω,ω)
オメガ(Ω,ω)は、ギリシャ文字の第24字です。
時計ブランド「オメガ(Ω)」は、1894年に発表された高性能な新型ムーブメントに「究極」という意味を込めて、ギリシャ文字の最後に登場する文字がブランド名として使われたのが由来です。1903年に、ルイ・ブラン兄弟会社から「オメガ」に社名変更しました。(参考:オールアバウト「オメガの歴史」)。
≪ピッタリナまとめ≫
ギリシャ文字の順番(第〇文字目)を活かしてネーミングしている傾向が多いようです。また「デルタ(Δ)」や「オメガ(Ω)」など文字の形をそのままネーミングに活かすのもありだと思います。
2013年8月28日
著書 ゆうすけ
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