ジェネリック家具に学ぶ権利切れのデザインを再利用するイノベーション
公開日:
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最終更新日:2015/03/08
意匠
最近、ジェネリック医薬品につづき、「ジェネリック家具」 というものが流行っています。
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ジェネリック家具のカラクリ
主に有名デザイナーが制作した家具の意匠権が切れたものを安く製造し、販売しているもの。特許庁によると、日本では意匠権の保護期間は20年。これを過ぎると、誰でも同じデザインのものを製造できるようになる。
<引用:2015/3/7 「巨匠のソファ、価格5分の1 「特許切れ」家具の魅力」by 日経電子版>
家具のデザインは意匠登録の対象です。意匠とはデザインのこと。つまり意匠登録すれば、デザインを独占し、勝手に真似されないよう守ることができるようになります。
でも商標登録と違い、意匠登録は有効期限を延長することができません。そのため権利が切れてれば、勝手に同じデザインの家具を真似して作っても法律上はいいんです。
模倣はイノベーション
ユーザーにとっては安い価格で憧れのデザイン品を購入できる点で、ジェネリック家具の文化はある意味イノベーションではないでしょうか。
コピーキャットについて書評を書きましたが、真似ることが決して悪ではありません。他人の意匠権を無視して勝手に真似する行為(侵害行為)が悪なんです。
デザインだって全くゼロから生み出すなんてことはないはずです。同業種のみならず、異業種からも活かせるヒントを探してきて、真似てみる価値はきっとあります。
権利切れかどうか確認する
そこで、これはいいデザインだ!と思ったら、まずは意匠登録の調査を行い、意匠登録されているかどうか?権利切れかどうか?いつ切れるか?を確認すべきです。
権利切れにもいろいろあって、維持費を支払い忘れて切れちゃったとか、もういらなくなったから権利を放棄したとか、全てが20年も意匠登録を維持するとは限りません。
たとえ意匠登録の権利が切れていないとしても、デザインを変更すれば意匠登録の範囲から外れるし、そのデザインをオリジナルとして意匠登録することもできます。
≪まとめ≫
特許庁の意匠登録データベースは無償公開されているので、情報収集には使えるはずです。ジェネリック家具のように権利切れのデザインを探してオリジナル品を開発するヒントが眠っているかもしれません。
2015年3月7日
著者 ゆうすけ
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