意匠登録の調査を特許庁のデータベースで行うときに使える主な検索項目と注意点
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最近ではハードウェア・スタートアップが注目されているため、特許だけでなく意匠登録も有効に活用すべきです。意匠登録とは、新商品のデザイン(意匠)を守るためのものです。よっぽど似ているデザインでなければ意匠登録できる可能性は十分あります。だからデッドコピー(まったくのパクリ品)対策なら意匠登録が有効です。
逆にいうと、デザインに特徴がある新商品を開発したら、そのデザインが登録されていないかチェックすべきです。もし先に登録されていることを知らずに新商品を販売したら、権利侵害で販売中止を要求されるリスクがあるからです。
そこで意匠登録の調査を特許庁のデータベース(意匠公報テキスト検索)で行うときの主な検索項目と注意点をまとめました。
1.意匠に係る物品
まずはどんな商品(物品)のデザインを検索するかを決めます。デザインが似てても物品が異なれば、基本亭に比較対象から外れるからです。この場合、「意匠に係る物品」を選択します。
ここで注意することは、物品名です。意匠登録するときには、勝手に自分で物品名を決めていいわけではありません。意匠法では、物品名を別表というところでだいたい決めています。だからこれを見て検索したい物品名を特定します。
2.意匠に係る物品の説明
「意匠に係る物品」に別表に書かれている検索したい物品名を入力して検索しても、何百、何千件とヒットしてしまうことがあります。この場合、「意匠に係る物品の説明」を選択し、検索したい意匠の特徴をキーワードで絞ることができます。たとえば検索した意匠に係る物品が「コップ」の場合、このコップの取っ手に特徴があれば、「意匠に係る物品」に「取っ手」と入力します。
しかしここで注意することは「意匠に係る物品の説明」に必ずしも意匠の特徴が書かれてるわけではないということです。意匠登録をするとき、「意匠に係る物品の説明」を必ず記載しなければならないというルールがないからです。
3.意匠の説明
また意匠登録するときには、物品のデザイン全体だけでなく、物品の一部分のデザインを登録することがあります。このような場合を想定するならば、「意匠の説明」を選択し、「部分意匠」と入力します。
しかしここに「部分意匠」と入力すると、物品のデザイン全体を登録しようとする意匠(全体意匠)が検索結果から漏れるのでご注意ください。
4.出願人/意匠権者
ピンポイントでライバル企業の意匠登録を検索したいときもあります。そんなときは「出願人/意匠権者」を選択して、ライバル企業の社名を入力します(詳細は、競合他社の特許・商標・意匠の調べ方を見てください。)。
5 (現行)日本意匠分類・Dターム
1.~4.の検索項目だと、関係ない意匠登録がヒットしたり超関係ある意匠登録がヒットしなかったりすることがあります。そこでとにかく漏れなく検索するなら、「(現行)日本意匠分類・Dターム」を選択して、分類リスト・(現行)日本意匠分類・Dタームから検索したい物品のDタームを入力します(たとえば、検索したい物品が「カメラ」なら、「J 一般機械器具」 → 「J3 光学機械器具」の順番でクックし、分類リストから「J3200」(カメラ等)を選択します)。
ここで「(現行)日本意匠分類・Dターム」は2005年以降に出願された意匠登録に付与されています。そのため2005年以前に出願された意匠登録を検索する場合は、「旧日本意匠分類」を選択し、分類リスト・旧日本意匠分類から選んだ旧意匠分類を入力します。
≪まとめ≫
意匠登録の調査は、特許や商標登録と違ってキーワード検索しにくいです。つまり意匠登録公報に書かれている内容を期待してキーワード検索すると、調査漏れが生じます。そのためここで紹介した各検索項目をバランスよく組み合わせて調査するのが効果的です。
2014年6月2日
著者 ゆうすけ
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