ブランド戦略における三陽商会とマッキントッシュと八木通商の商標登録上の関係
三陽商会は、契約が終了したバーバリーにかわり、「マッキントッシュロンドン」というブランドを新たに立ち上げ再スタートしたことを発表しました(10月15日)。
ところで三陽商会は「マッキントッシュロンドン」の以前から、「マッキントッシュフィロソフィー」というブランドを展開しています。
またそもそもマッキントッシュブランドの本家である英マッキントッシュ社は、アパレル商社の八木通商と関連があります。
となると、商標の使用契約が問題になりそうです。英マッキントッシュ社とのみ契約しているのか?それとも八木通商とも契約しているのか?その辺を公開情報から分析してみました。
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「マッキントッシュロンドン」は英マッキントッシュ社名義
「マッキントッシュロンドン」は、三陽商会と英マッキントッシュ社との間でライセンス契約がなされています(fashionsnap調べ)。契約期間は5年間、2019年まで。
しかし「マッキントッシュロンドン」は日本のみのブランドのようです。それは商標登録出願内容から推測できます。
「マッキントッシュロンドン」の名義(出願人)は英マッキントッシュ社ですが、今のところは日本国内にのみ商標登録申請しているようです。そして三陽商会はライセンス契約にて、この商標の使用権を得たことになります。
三陽商会と八木通商が商標の使用契約をしている可能性もあり
またそもそも「マッキントッシュ」というブランドも英マッキントッシュ社が商標登録の持ち主です。だから「マッキントッシュロンドン」のライセンス契約では、この商標の使用契約も含まれていると推測できます。
しかし英マッキントッシュ社と関連がある八木通商は、「マッキントッシュ」という商標を日本国内で独占的に使える契約を英マッキントッシュ社としている可能性もあります。その場合、三陽商会は八木通商ともライセンス契約が必要になります。
≪まとめ≫
海外のアパレルブランドにとって日本というマーケットはまだまだ魅力がありそうです。シニア層や高所得者向けに高品質の商品をブランド力で展開する動きが各業界で見られます。そんなときに必ず関係してくるのが、ブランド名の使用契約です。独占契約ならまだしも、既に国内企業と契約を結んでいる場合、その会社との契約も必要になることがあります。
ちなみにブランドのライセンス契約は出口戦略もちゃんとしておかないと、いろいろイタイことになるのでご注意ください。
<関連記事>海外ブランドと契約する日本企業が知っておくべき商標戦略の光と影
2014年10月16日
著者 ゆうすけ
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