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海外ブランドと契約する日本企業が知っておくべき商標戦略の光と影

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 商標事例研究, 商標戦略

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バーバリーと三陽商会のライセンス契約終了の報道に対して、商標登録の価値や商標の使用契約の観点から解説します。 今後、海外ブランドと契約する日本企業の方々は知っておくべきです。

photo credit: SimonQ錫濛譙 via photopin cc

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商標登録と商標の使用契約のメリット

ライセンシー側にも「ゼロからブランドを育てる時間やコストが不要・・・」・・・ライセンサー側も手間暇かけず、在庫も持たずに製品の現地化とブランドの浸透が図れるのは大きなメリット。そして多くの場合、契約更新のイニシアチブはライセンサー側にあるのが実情です。ブランド価値が確立された旬の市場を狙い、販売権をいただいてしまう。

<引用:2014/9/7 THE PAGE「国内のバーバリーブランドはどうなるの? ライセンス契約終了の背景と先行きは」>

商標登録は、ブランド名やブランドマーク(これらをまとめて商標といいます)を日本の特許庁に登録することで、登録した本人(商標権者)のみに使う権利があることを主張できるものです。だからもし本人以外の誰かが無断で商標を使用したら、その使用行為を止めさせることができます。そうすることでブランドを築くこと、つまりユーザーがその商標を見たら商品の品質を信じて購入したくなる購買意欲をうえつけることが、商標登録の真の価値です。

そのためには、その商標を使い続け、ユーザーへの認知度を高めなければなりません。たとえば商品だけじゃなく、包装用の紙袋やブランドサイトや従業員用の名刺に表示して、人目につくようにする必要があります。そういう地味な努力がブランドを築く土台となります。だからブランドなんて簡単にはつくれないわけです。

そのため自分でゼロからブランドを築くのは手間暇がかかります。それは日本国内の企業のみならず、海外の企業も同じです。名もない日本企業としては海外のブランド力を利用して商品展開したい、海外で有名な企業としては日本国内で商品を販売する商流が欲しい、この両社の利害関係の一致が商標の使用契約につながったというわけです。 

商標の使用契約が終わった後の対応

・・・三陽商会が立ち上げたバーバリー・ブルーレーベル(女性用)とバーバリー・ブラックレーベル(男性用)は、「バーバリー」の名前とブランドマークを外し・・・ます。両レーベルはすでにロゴを刷新。ホースマークが消え、BURBERRYの文字とレーベル名のサイズ・配置を逆転させた新デザインが、秋物からタグや値札に反映されています。

<引用:2014/9/7 THE PAGE「国内のバーバリーブランドはどうなるの? ライセンス契約終了の背景と先行きは」>

商標の使用契約の内容は両社の合意で行われるので、その内容は様々です。でも一般的には、使用していい期間を決めます。商標を使わせる側(ライセンサー)としては、使用させる期間の終了時に契約を見直すのがローリスクだからです。そして再契約するもしないも、ライセンサーの都合次第です。

商標を使わせてもらう側(ライセンシー)としては、商標登録の威力を感じている場合、使用の続行を交渉します。水戸黄門の印籠のように、パッと見で商品価値を伝えられる商標をみすみす手放すわけにはいきません。商標の使用料だって、商品を売上げるための投資になります。

だからライセンサーにもう商標使わせるのイヤだ!と言われるとけっこーイタイんです。なぜならそのブランド力を一気に失うからです。三陽商会としてはレーベルシリーズを自社ブランドとして売り出すようですが、「バーバリー」のファンは離れていくことが予想されます。「バーバリー」のエンブレムが入っていなければ、いくらあったかくてかっこいいコートでもいらない!という感じに。 

商標の使用契約打ち切り事例

1997年11月にアディダスとの28年にわたる契約を打ち切られたデサント・・・。・・・同じ年の2月にはディオールが鐘紡との提携を解消、2005年にはアニエスベーがサザビーリーグと、07年にポロ・ラルフローレンがオンワード樫山、11年にはヘンリー・コットンズがレナウンとの契約を打ち切り、いずれも自社の日本法人が販売を行っています。

<引用:2014/9/7 THE PAGE「国内のバーバリーブランドはどうなるの? ライセンス契約終了の背景と先行きは」>

日本のマーケットを狙った海外ブランドとの契約解消事例はけっこくあるようです。海外の企業としては、国内に商流ができたこと、本社機能との連携が取り易いこと、自社内で意思決定できることを考えると、日本法人を立ち上げたほうがメリットが大きいと感じているはずです。そのためライセンシーである日本の企業として、海外のブランド力を活かせるうちに自社ブランドを展開する戦略が必要です。 

 ≪まとめ≫

海外のブランドを発掘して日本に持ち込むビジネスモデルは今も健在です。その際に海外のブランド企業との契約対象の一つが商標です。しかし出口戦略は考えておくべきでしょう。ユーザーの信頼を一気に失う威力のある商標の使用打ち切りに耐えられるリスクヘッジと自力で道を切り開く打開策が必要です。

2014年9月7日

著者 ゆうすけ

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