ビジネスモデル特許を取る意味はあるのか?トレンドからの逆算思考
公開日:
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最終更新日:2014/10/15
特許
特許を取る意味についての基本事項は以前にお伝えしました。でも業界によって特許を取る目的や狙いは違うはず。となると、ビジネスモデル特許を取る意味はあるのか?という疑問がわきます。
そこでトレンドを逆算してビジネスモデル特許を取る意味を考えてみました。
photo credit: Carlos García Torrado via photopin cc
ビジネスモデル特許の歴史はまだ15年
ビジネスモデル特許ブームは2000年からはじまりました。一方、日本の特許制度(専売特許条例)がはじまったのは1885年(明治18年)です。
つまり日本の特許130年の歴史のうち、ビジネスモデル特許の歴史はまだ15年しか経っていないわけです。
一方で、スピード重視のITビジネスをけん引している企業の特許出願状況を踏まえると、熾烈な陣地取りが繰り広げられています。そのため早く特許を取らないと陣地取りできなくなるリスクもあります。
まだまだ必須特許を取得する可能性は残されていると考えられますが、翻って言えば、取れるうちに取っておかないと必須特許プレイヤーになり損ねてしまい、オンライン広告事業の市場からはじき出される可能性があります。
<引用:鮫島正洋編集代表「技術法務のススメ」p79>
では実際に日本国内で活動するIT企業の ビジネスモデル特許取得件数はどれくらいなんでしょうか?特許庁の公報テキスト検索で調べてみました。
なお検索条件は、IPCという技術コードを「G06Q30/02」に絞りました。これはマーケティングや広告に関する技術を意味します。
・ヤフー 308件
・楽天 168件
・グーグル 77件
・グリー 11件
・ディー・エヌ・エー 9件
・フェイスブック 4件
これを見ると、ヤフー、楽天、グーグルはマーケティングや広告に関する技術について、かなり特許を取っていることがわかります。
一方、グリーやディー・エヌ・エーはゲーム事業がメインなので、マーケティングや広告に関する特許は少ないようです。
またフェイスブックは独自のSNSにマーケティングや広告技術をからめているので、特許件数は少なくても独自の陣地を獲得していると考えられます。
≪まとめ≫
総じて、スピード重視の業界だけに、ビジネスモデル特許は早く出して特許を取るにこしたことはなさそうです。ちなみに特許は発明者の保護と産業の発達のバランスを考えた制度です。これをイノベーションの妨げとひと言で片づけてしまうと、それはそれでまた違う面倒なことが起るんじゃないでしょうか。
2014年10月14日
著者 ゆうすけ
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