引用された分だけ価値が高い!特許解析ツールは特許活用の切り札になれるか?
特許は持ってるだけじゃ基本的に飾りです。でも見る人からみれば、その飾りがダイヤモンドに見えたり、クズに見えたりします。それがいわゆる特許の価値です。
そんな特許の価値を評価するシステムツールが新たに登場したようです。
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引用された分だけ価値が高いという仮説
例えばASを使ってある特許Xを解析する場合、特許Xの出願人が参考に引用した特許(特許Xの先行特許)と特許庁の審査官が特許Xの審査に引用した特許、特許Xより後の他の出願人や審査官が特許Xを引用した特許(特許Xの後行特許)、さらには引用された各先行・後行特許の前後に枝葉のように連なる引用関係特許群、これらを網羅したネットワークマップが生成される。
<引用:2014/10/4 sankei biz「【生かせ!知財ビジネス】特許解析ツール「アンバースコープ」日本上陸」>
あるアイデアで特許をとるには、そのアイデアを特許出願用の書類に書いて特許庁に提出します。そしてその書類には、そのアイデアに似ている誰かのアイデアについて書かれた文献(先行技術文献)を自己申告することになっています。
つまりある特許出願の先行技術文献になったということは、そのアイデアが注目されているということです。だから特許の価値を評価するときに、先行技術文献になったこと(引用されたこと)があるかないかが判断材料になるんです。
もう少しわかりやすくいうと、先行技術文献として特許出願用の書類にとりあげられた(引用された)回数が多ければ多いほど、似たアイデアについて誰かが特許をとりたがっていることになるため、そのアイデアには価値がある、という考え方です。
この考え方と同様、審査官がある特許出願されたアイデアについて特許を認めるかどうか審査するとき、そのアイデアに似ているアイデアの先行技術文献があるかないか探します。そしてあった場合、その先行技術文献をひき合いにして特許を認めない、と判断します。
つまりあるアイデアが特許になれない原因となった先行技術文献にも価値がある、という考え方です。
<関連記事> 特許の注目度を無料で調べる方法
≪まとめ≫
特許の価値を評価する仕方はいろいろありますが、結局はどれも仮説に過ぎません。なぜなら特許の価値は相手ありきだからです。砂漠の真ん中で死にそうな人にとって、水は価値が高いけどダイヤモンドは価値が低い、という考え方と同じです。そういう仮説をどうやって利用するかが特許解析ツールを使うときに大事になってくるでしょう。
2014年10月4日
著者 ゆうすけ
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