特許の注目度を無料で調べる方法
自社の特許にどれくらいの価値があるのか?けっこう気になりますよね。特許の価値を評価するという仕事もあるくらいニーズは高まっています。ただ大金を支払った分だけ信ぴょう性のある価値をはじきだせるかというと、まゆつばものです。所詮は仮説に基づいた価値に過ぎないという専門家もいます。
それならもっと手軽に知る方法、できればお金をかけない方法を調べたところ、以下の2つのやり方がありました。
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1.出願書類の閲覧が請求された件数で確認する
これは特許庁のデータベースで確認します。具体的には特許出願の「経過情報」にて調べます。経過情報の調べ方はこちらを見てください(特に、「2.「出願情報」から特許になるまでの経緯を確認する」を参照)。
このうち、「審査記録」の欄をみます(下記画像)。 そして、「ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書」という記録の件数を調べます(赤枠内)。
ここで、「ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書」とは、出願から特許になるまでに特許庁に提出された審査に関する書類全てをオンラインで入手したいときに提出するものです。
つまりこの請求書が提出されたということは、この特許の審査に関する情報(経過情報)を知りたかった者がいたことを意味します。経過情報を知る目的は様々(自社特許出願の特許性の検討、当該特許の無効性の検討など)ですが、その情報を得るために出願書類の閲覧をわざわざ請求した意味は深いはずです。
2.他の特許出願を牽制した回数で確認する
特許は審査を通過した発明にあたえられます。そして審査では、既に公開されている先行技術と比較され、特許になるならないかが判断されます。つまり先行技術として後に申請された特許出願の邪魔(牽制)をしたものほど、他の者が欲しがっている特許であるといえます。
この検索は、最近注目されている特許情報の閲覧サイト・アスタミューゼの「技術情報」から特許番号を入力して行います(下記画像の赤枠内)。
特許番号を入力して検索した結果、検索一覧が画面に表示されるので、該当する項目をクリックしてページを開きます。そして表示された画面を下にスクロールすると、「実績」という項目があり、そこには「技術文献被引用数」と「牽制数」という数字が表示されています(下記画像の赤枠内)。
「技術文献被引用数」とは、拒絶理由を構成するものではないものの、先行技術として付記された回数を意味します。
一方、「牽制数」とは、ある特許出願がその後に他の出願中特許の権利化に対し、「拒絶理由に該当する先行技術として引用された回数」を意味します。つまりこの件数が多い場合、それだけ先行技術として他の企業(出願人)が特許にしたいものを先に得ているということになります(中には数百件牽制している特許もあります)。
≪まとめ≫
特許がどれくらい注目されているかがわかれば、その特許を手放してもいいかどうかの目安となります。特許の維持年金の支払いをやめるときや他社に特許を譲るときなどの判断材料になります。
2014年9月1日
著者 ゆうすけ
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