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日本の企業や起業家が非連続イノベーションに特許戦略を取り入れる必要性

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 特許, 特許戦略

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持続的イノベーションと非連続イノベーションについてオモシロい記事があったので、これらのイノベーションと特許戦略の経緯や未来的思考について考察しました。

photo credit: Bratislavsky kraj via photopin cc

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持続的イノベーションと特許の因果関係

しかし、現在の国内マーケットでは逆転現象が起きています。つまり、そんなに新機能をつめ込まれてもユーザーには必要ない……だから商品を買わない……という現象が起こっているのです。したがって、これ以上「持続的イノベーション」を繰り返しても、売れる商品が生まれにくくなってしまっています。

<引用:lifehacker「5年先を見据えて伸びる会社員が「起業体験」で学ぶワケ!」>

持続的(連続)イノベーションを繰り返すとは、フルモデルチェンジ(またはマイナーチェンジ)=改良発明を繰り返すということです。言い換えると、改良発明によって顧客ニーズに応えてきたことになります。つまり日本の企業の多くが、この持続的イノベーションに伴う改良発明に対して特許を取り続けたことになります。日本国内の特許出願件数のピークは2001年の43.9万件/年です。

しかし近年では、顧客ニーズよりも商品の技術が高くなってしまいました。つまり改良発明では顧客ニーズに応えられなくなってしまったわけです。そのため直近での特許出願件数は34万件/年となり、ピーク時の2割以上も減ってしまいました。この原因は、2008年のリーマンショックによる経済低迷とも言われていますが、真相は私たち消費者のニーズが変わったからといえそうです。

持続的イノベーションと非連続イノベーションの対比

そのため日本の企業は持続的イノベーションから非連続イノベーションに切り替えなければならなくなりました。たとえ切り替えないまでも、非連続イノベーションを取り入れなければ、持続的イノベーション(既存事業)がシュリンク(縮小)するのは時間の問題です。以下の図を見ると、持続的(連続)イノベーションから非連続イノベーションへの切り替えについてイメージしやすいのではないでしょうか。

<引用:内閣府「コラム1-4図 連続イノベーションと悲連続イノベーションのイメージ例」>

この図を用いて日本の企業の特許戦略を考えると、過去では持続的(連続)イノベーションにより企業内の技術やノウハウを改良発明に応用できたため、特許化による技術防衛が比較的し易かったといえます。たとえば過去の特許技術情報を流用し、新たに特許化する部分のみ追加するというやり方です。

結果的に、取得した特許一つ一つの範囲は狭くなりました。したがって企業が保有する特許の質より件数が勝敗を決めるという状態になってしまったわけです。しかし持続的(連続)イノベーションに行き詰ったことで、過去に取りまくった大量の特許が不要になってしまいました。

非連続イノベーターと特許戦略

一方、非連続イノベーションにおいては、企業内の既存事業にはない新たな領域にチャレンジすることになります。そのため企業内で蓄積した技術やノウハウは活かしきれず、これだけではリソースが足りなくなる状況は目に見えています。そのため自社で足りないリソースを補給しなければなりません。ゼロから構築することはこのスピード社会においてむしろリスクです。

そのときに必要となるのが、非連続イノベーションの先手を打っている起業家、その新な領域でキャリアを積んだ人材、既に事業化に成功した組織に加え、その領域で蓄積された特許技術やノウハウといった知的財産全般です。非連続イノベーションにトライしたい企業としては、投資できる資金のバランスを考えて必要なカードを集めることになります。

そして逆に考えれば、先に出した非連続イノベーションにおける実績は、これらの企業にとって魅力的となります。その魅力をひき立てるのが、特許であり、他の知的財産権であり、門外不出のノウハウなわけです。そのためにも起業家やスタートアップにも特許戦略が必要といえます。

≪まとめ≫

起業家が非連続イノベーションを育てるだけじゃなく、企業が非連続イノベーションについて学べば、互いの利害関係が一致するはずです。その際に特許をはじめ知的財産の構築がなされていれば、自社のポジショニングや他社へのアピールがしやすくなるでしょう。

<参考>

Startup44田寮 |チーム・ゼロイチ

2014年9月2日

著者 ゆうすけ 

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