ゲーム業界に新規参入するなら老舗企業の商標登録に気をつけろ!
8月26日に、株式会社SC3という会社が新発売したスマホ用ゲーム『グラディウスグレイヴ(GRADIUS GRAVE)』が、㈱コナミデジタルエンタテインメントの登録商標「グラディウス\GRADIUS」を無断使用したとして、SC3が謝罪したというニュースが報じられました。
ゲーム業界に新規参入するなら、老舗企業の商標登録をチェックしておいたほうがよさそうです。
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まずは称呼検索でチェック!
ゲーム名が決まったら、特許庁の称呼検索で、そのゲーム名に称呼(響き)が似ている商標がないかどうかチェックしましょう。このとき「称呼1」または「称呼2」にゲーム名をカタカナで入力します。また「区分」には半角で「9」を、類似群コードには半角で「11C01」と入力します(区分「9」と類似群コード「11C01」でゲーム関係のカテゴリーに絞ります)。
似ている商標登録が見つかったら名称変更を検討すべき
名称が似ている似ていないの判断は、その名称の称呼(響き)・外観(見た目)・観念(イメージ)のうち、どれか一つでも似ているものがあるかないかで判断します。
今回の場合、株式会社SC3の『グラディウスグレイヴ(GRADIUS GRAVE)』のうち「グラディウス(GRADIUS)」の部分と、㈱コナミデジタルエンタテインメントの「グラディウス\GRADIUS」の称呼(響き)と外観(見た目)がほとんど同じなので問題となりました。このためSC3側は「GRADIUS」の「R」を「L」に変更するという措置をとりました。
ちなみに報道上はこれで一件落着のように思えますが、商標の似ている似ていないの3つの判断基準にあてはめると、今だ称呼(響き)と外観(見た目)は似ているとも考えられます。なぜなら称呼(響き)は「グラディウス」で同一です。また外観(見た目)はたとえ「R」を「L」に変えても、全体に占める割合が小さいため、似ていると考えるのが自然です。
イラストやプログラムの変更によるダメージはそれなり
名称を変更するということは、それに伴ってゲームのパッケージになっているイラストの変更やゲーム内で登場する名称に関するプログラムの変更が必要になります。
市場にモノが流通する商品とは違い、スマホ用のアプリなら商品回収や製造中止といったことは不要なので、モノよりも影響は小さいかもしれません。でもダウンロードされたアプリに更新プログラム用のパッチをあてる作業は、ユーザーにとって負担です。
≪まとめ≫
今回の件について、SC3側の措置がコナミ側にとって十分かどうかは不明です。商標登録に似ている名称を使い続けたことで、後々になって損害賠償を請求される可能性がないとは言い切れません。たかが名称、されど名称。気をつけましょう。
2014年8月31日
著者 ゆうすけ
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