日本の地域ブランドを守れ!「今治タオル」が中国に商標登録出願した理由
「今治」というブランド名が中国で商標登録されていることが発覚したのは2009年12月。四国タオル工業組合が今治ブランドを守るために中国で商標登録出願したところ、上海市の企業に先取り登録されていたわけです。
そんなこんなで5年が経過した先日、四国タオル工業組合が再び中国に商標登録出願したというニュースが報じられました。一度失敗したものの、なぜまたこのような試みに踏み切ったのでしょうか?
photo credit: Bunnyrel via photopin cc
タオルのカテゴリーについて先取り登録がなくなったから
今年の5月に、「今治」について中国での先取り登録を認めないとする裁定がおりました。
今治市は5月、中国当局がタオルや織物の分類で中国企業の商標登録を認めないとした4月13日付の裁定を明らかに・・・した。これで、この現地企業は「今治」の名称のついたタオルなどを製造・販売することができなくなる。
<引用:産経ニュース 2014/6/6 タオルの「今治」中国の商標パクリ、ようやく一部駆逐…それでも依然「やったもの勝ち」の中国市場に日本企業・団体も“辟易”>
どうやら先取り登録を認めないという裁定に対して上海市の企業は異議を申し込まなかったと想定できます。異議申し立てが行われたかどうかわかるのが6月中旬ごろで、結果的に申し立てが行われなかったことで今回の商標登録出願に踏み切ったのではないでしょうか。
主力製品のブランド保護が最優先だから
「今治」といえばタオル。その認知度の高さが中国でも認められたため、中国企業の先取り登録を認めない裁定がおりたんです。だからまずは主力製品のブランド保護を最優先し、タオルのカテゴリーについて商標登録する方針です。
今治タオルのメーカーで構成する四国タオル工業組合(愛媛県今治市)は15日、中国で「今治タオル」の商標登録を出願したと発表した。・・・。出願分野はタオルや織物など「第24類」で、登録が認められれば中国でのPRや販売活動がやりやすくなる。
<引用:日経新聞 2014/7/16 「今治タオル」中国で商標出願 製造業組合>
一方、今治側としては、タオル生地をつかった衣類などもブランドの一環として保護したいところです。でも衣類のカテゴリーについてはまだ先取り登録の裁定中のようです。商標登録はカテゴリー毎に行うため、主力製品以外のカテゴリーについてもブランドを守る必要があります。
≪まとめ≫
日本の地域ブランドを守る活動は各地で行われていますが、「今治」のように先取り登録に対して戦って、自分たちの権利を勝ち取った事例はとても勇気がわきます。しかし一度取られたものを取り返すのはそう簡単ではなく、かなり時間とお金と体力を使います。だから早め早めに手を打つべきなんです。
<その他の日本の地域ブランドについての記事>
・日本の商品名や地名が海外で商標登録を先取りされてめちゃ痛い事例のまとめ
・日本の老舗企業に伝えたい!そろそろ本気でブランド名を海外で商標登録しとかないとヤバいです!
・後手後手の老舗企業が海外でブランド名がパクられてるのを知る3つのパターン
2014年7月16日
著者 ゆうすけ
↓↓↓このブログが気になった方はこちらもどうぞ!↓↓↓
関連記事
-
ピコ太郎さんも驚きの商標トラブル!エイベックス社が巻き込まれた状況を図解
ピコ太郎さんの話題は2017年になってもまだまだ衰えるところを知りません。話題性
-
地域の知財活動に役立つサイトまとめ
日本では、特許庁が知的財産(以下、「知財」)の取りまとめをしていますが、特許庁は経済産業省の
-
ハッシュタグの商標戦略の考察
先日、「ハッシュタグも知的財産--商標登録する海外企業」という興味深い記事が公開されていまし
-
「必殺技」の商標戦略の考察
バンダイが「必殺技」を商標出願したというニュース(2016/3/15)が報じられました。ゲーム業
-
ジェネリック家電のコピーを防ぐ特許戦略
photo credit: blood test via photopin (license)[/