【図解】特許・意匠・商標の侵害検討の思考パターンと対比ステップの概念
特許と意匠と商標はそれぞれぜんぜん違いますが、考え方(侵害検討のアプローチとか)は一部共通しているところがあります。なぜこんなことを考えたかというと、そもそもの切っ掛けは、意匠の実務ってどういう考え方のアプローチで取り組むとやりやすいのかな~と疑問に思ったからです。
そこで特許・意匠・商標の侵害検討の思考パターンと対比ステップの概念を図解します。なおこの図解はそれぞれの考え方をザックリと分けたものに過ぎず、これですべて区分けできるわけではありませんので悪しからず。
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この図は、左に行くほど事象を構成としてとらえるため、論理的思考が強いという意味です。逆に右に行くほど、事象を印象としてとらえるため、主観的思考が強いという意味です。
特許は論理的思考
そのような位置関係上で考えると、特許は事象を構成でとらえるため、論理的思考が強いといえます。この場合の事象は特許発明(及び侵害品)です。特許の侵害を検討するときは、特許発明を構成する要件(構成要件)毎に、侵害品を構成する要件と照らし合わせます。そして最終的には特許発明に対して、侵害品が構成要件を充足しているか否かを判断します。
商標は主観的思考
一方、この対極にあるのが商標です。商標は事象を印象でとらえるため、主観的思考が強いです。この場合の事象は商標(ネーミング、ロゴなど)です。商標の侵害を検討するときは、登録商標と侵害対象商標とを、外観,称呼,観念それぞれ類似・非類似を検討し、最終的には需要者が混同するか否かで商標の類似・非類似を判断します。
意匠は論理的思考+主観的思考
最後に、特許と意匠の中間に位置するのが意匠です。意匠は事象を構成としてだけでなく、印象としてもとらえるため、論理的思考・主観的思考、どちらも含まれていると考えられます。この場合の事象は登録意匠(及び侵害品)です。意匠の侵害を検討するときは、登録意匠を基本的構成態様と具体的構成態様とに分けて評価の重み付けを行い、侵害品を構成する構成態様と照らし合わせます。そして最終的には意匠の美観を共通にするか否かにより、類似・非類似を判断します。
≪まとめ≫
全く違うことでも、考え方やアプローチの共通点を探ると、それらをどのように効率的に取り組むべきかが見えてくるのではないでしょうか。全てをバラバラに考えたらきりないですから。
2014年7月15日
著者 ゆうすけ
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