海外で商標が先取り登録された都路里と今治タオルのちょっと待ったコールの違い
昨日に引き続き、また日本の地域ブランドが海外で守れたニュースです。今回は、京都・宇治茶の老舗ブランドの都路里です。今治タオルのケースと似ていて、どちらもそのブランド名(商標)が先取り登録されそうになったんです。
そこで、それは困る!と言わんばかりに、どちらもちょっと待ったコールをしたんです。しかしそのタイミングの違いが命運を分けました。
photo credit: Neal. via photopin cc
都路里は審査前
宇治茶の老舗など3社のロゴマークが台湾で無断で商標登録申請された問題で、台湾の知的財産局が申請を却下したことが16日、分かった。3社は抹茶パフェなどを販売する茶寮都路里(さりょうつじり)(京都市東山区)、宇治茶製造販売の老舗、丸久小山園(京都府宇治市)と中村藤吉本店(宇治市)。
<引用:2014/7/17 毎日新聞「商標:宇治茶老舗など3社ロゴ 台湾当局が無断登録却下」>
この事件は、台湾である個人が都路里など日本で有名なブランド名の商標登録を先取りしようとして出願した事実を、登録される前に発見したものです。今治タオルの事件では、登録後の異議申し立て期間中(その商標登録に意義あり!と申し立てることことができる期間中)に発見しています。
何がどうちがうかというと、都路里の場合はまだ審査がされていない状態にちょっと待ったコールをしました。つまり審査官がその商標登録出願を認めていいかどうか判断するための審査をはじめる前だったんです。
その段階でその商標登録を認められては困る!と思った場合、特許庁にその根拠や理由が書かれた書類(情報提供や上申書など)を提出することができます。そして審査官はその書類の信ぴょう性を確かめながら審査を行います。
都路里の場合、審査の結果、ん~たしかに認めるべきではない!と判断されたため、先取り登録の阻止に短期間で成功することができました。
今治タイルは審査後
一方、今治タオルの場合は、ステージが違います。ひとまず商標登録が認められた後(審査結果が出た後)にちょっと待ったコールをしたんです。つまり登録と認めた事実をひっくり返そうとしたわけです。
このような場合、特許庁としては、んじゃ君の意義を採用してあげるよ~、とそうやすやすと審査結果を取りやめることはできません。じっくりと、ちょっと待ったコールをかけた人(今治タオルの場合は、四国タオル工業組合など)の異義内容を判断します。
だから結論が出るまで3年くらいかかっちゃうわけです。
≪まとめ≫
いずれも今のところブランド名の保護に成功しています。台湾でも中国でもちゃんと先取り登録である根拠や事実を伝えれば、ちょっと待ったコールが受け入れられそうです。
しかし都路里と今治タオルのように、タイミングが数か月遅いと、結果が出るまで数年違うことも あります。いずれにしても、海外への商標登録と定期的なパクリチェックはますます必要になってくるでしょう。
2014年7月17日
著者 ゆうすけ
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