沖縄の塩「ぬちまーす」 モンドセレクション5年連続最高金賞の裏には特許戦略あり
沖縄にいったときに「ぬちまーす」っていう塩をおみやげで買ってきました。キメがめちゃくちゃ細かくてパウダーみたいです。しょっぱさをあまり感じません。上品でおいしい塩だな~と思っていました。だてにモンドセレクションで4年連続最高金賞を受賞していないようです。
そうしたらなんと今年も最高金賞を受賞したニュースが報じられました。どうやら塩の製造方法の特許も取っていたようですね。
塩分控えめでミネラル豊富がウリ
1997年3月から「塩専売法」の廃止により、海水から直接製塩が認められるという情報を入手した高安氏の行動力がすごいです。
高安氏が塩の製造・販売の自由化を新聞で知ったのは1997年1月。水を海水に換えれば、水分が気化してミネラルの豊富な塩ができるという確信は、すぐさま実証できたという。海水の濾過、濃縮、塩の回収方法など全部で21項目から成る製塩法の特許を出願するまでに要したのは、わずか1か月半ほど。その翌月に製塩業・ベンチャー高安有限会社を設立した。技術ができたことによって起業したのだ。
(引用:ヒット商品を支えた知的財産権 Vol.34 「ぬちマース」-弁理士会)
一般的に海水から作られた塩の塩分含有量は85%程度。しかしぬちまーすの塩分含有量は73.3%で、その分ミネラルが豊富という点が特徴です。
特許の内容
当初取得した特許の内容は以下です(特許第3250738号)。
【請求項1】遠心力発生器の回転によって海水または濃縮した海水を霧化し、かつ温風を当てることで、水分を蒸発させて塩分を結晶させ、製塩する方法において、処理室と蒸発水分の流出部との間に1段または複数段に網または布の少なくとも片方を配置し、蒸発水分が該網または布の少なくとも片方を通過する際に、塩分を該網または布の少なくとも片方に付着させ、その後、付着した塩分を網または布の少なくとも片方から剥離落下させることを特徴とする海水の処理方法。
これを見ると、遠心力できり状にした海水の水分を蒸発させるときに、水分が網(または布)を通過して塩分がくっつき、それを取るという方法です。今となってはシンプルに見えますが、1997年当時には目新しく、まだ誰もやっていなかったようです。そのため特許戦略としてはとても有効なやり方でしょう。
≪まとめ≫
モンドセレクションで5年連続最高金賞獲得の裏には、開発当初から塩の製法を特許で抑え、新参者を排除する戦略がありました。まさに海水から塩を生成する基本特許といえるかもしれません。
2014年7月6日
著者 ゆうすけ
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